日銀の追加金融緩和で一時円安・株高となるも、続かず円高・株安へ

先週は、アメリカでFRBのQE3の実施に続き、日銀も追加の金融緩和を実施すれば9,350円を試す動きになりそうだとしました。 19日(水)の日銀金融政策決定会合で追加の金融緩和を発表し、為替は一時1ドル=79円台の円安となり、日経平均も9,288円まで上昇し△108の9,232円となって、8月20日の高値9,222円を超えました。 しかし、欧米に比較すると日銀の追加の金融緩和はインパクトに欠けると受け止められ、一気に1円近い円高へ戻してしまい、これを嫌気して20日(木)は▼145の9,086円の大幅反落となりました。週末21日(金)は△23の9,110円で引けました。一連の大きなイベントが終わり、材料出尽くしから目先手掛かり材料不足となっています。

当面は、世界的金融緩和から上値を試す展開が続く可能性が高い

先週のメッセージで、ECBの無制限の国債買い入れの金融政策、さらにFRBの住宅ローン担保証券の無制限購入に続き、日銀も追加の金融緩和を発表し、日米欧の主要国がそろって金融緩和政策をとることになったことで相場環境が過剰流動性相場となり、株式市場に資金が流入してくる可能性が高いと述べました。

しかし、世界経済の減速は続いており、そう簡単にはここから株式市場は上昇していくのは難しいという見方もあります。

私も世界の経済はそう簡単には回復しないとみていますが、投資は確率の問題とも言えますので、世界同時の金融緩和が続けば(中国も金融緩和を続けており、新興国も金融緩和をせざるを得なくなる)、供給される資金はどこにいくのかとなります。企業は、現状では世界経済の回復に展望をもってませんので、設備投資などを行わないものと思われます。そうすると、ジャブジャブ余ったお金は、目先商品市場や株式市場に向かう確率が高くなると思われます。

但し、欧米の金融緩和が無制限になったといっても、ECBのトップが替わったりドイツが反対すれば終わりますし、FRBも11月の選挙でオバマ大統領が落選するとバーナンキ議長はクビになりますので、当面というのは11月の大統領選までの間ということになります。

確率で考えれば、11月の大統領選挙まではよほどの新たな悪材料が出てこない限り大きな下げはないと考えられ、世界的な金融緩和を前提にすれば上がる確率が高いということになります。但し、株価が上昇しても実体のない上昇となりますので、新規の買いは損切りポイントをきっちり決めておく必要があります。塩漬株を多く保有されている方は、戻りを待ってキャッシュ化していくことに徹した方がよいでしょう。

先週まで売買代金が1兆円を超えてきて、外国人の買いも増加しつつありましたが、再び減少し、本日は6日ぶりの1兆円割れの9,133億円となっています。株価も▼40の9,069円で引けました。チャートの形からは押し目買いの形ですが、下値メドは、一つ目は9,000円でこの水準は強力な下値抵抗ラインといえます。200日移動平均線が9,016円、25日移動平均線が8,996円、75日移動平均線が8,884円にあります。

(指標)日経平均

先週の予測では、FOMCのQE3実施表明を受けてさらに上昇余地が広がり、8月20日の高値9,222円を突破して、まずは9,350円を試す展開を想定されるが、それには日銀の追加の金融緩和などで円高圧力が和らぐことが条件になるとしました。

19日(水)は、日銀の追加の金融緩和を受けて為替が1カ月ぶりに一時ドルで79円台、ユーロで103円台の円安となり、日経平均は9,288円まで上昇しました。しかし、日銀の追加緩和は不足との見方で逆に円高基調となり、中国経済の悪化、反日行動を嫌気して20日(木)は▼145の9,086円と反落し、週末21日(金)は△23の9,110円で引けました。

今週は、大きなイベントも終わり手掛かり材料に欠けることから、一進一退の動きが想定されます。日銀の金融緩和も円安が続かず、すぐに円高に振れたことで上値を追えない状態になっています。目先の下値メドは9,000円(200日移動平均線:21日時点で9,014円)で、ここを切ると8,800円水準までの可能性があります。中間配当の権利付最終日である25日を過ぎてからSQ値の9,076円を上回っているかどうかが10月相場に向けてのポイントとなります。24日(月)は、為替が円高へ振れているため売り先行で始まるもののアジア株が底堅く推移したため下げは限定的で、▼40の9,069円で引けました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、FOMCのQE3実施表明を受けて高値圏のもみあいを上放れしたので、基本的には上昇相場が続く可能性が高いが、短期的には過熱感が強いのでスピード調整の場面があるかもしれないとしました。

QE3発表後の相場の急伸の翌週ということもあり、利食い売り優勢となりました。1週間では0.1%の下落とほぼ横ばいで終わりました。

今週も引き続いてもみあいが続きそうですが、余剰マネーが株式市場に流れ込むとの期待は続いており、新たな材料を探す状況といえます。今週は住宅関連指標の発表が多く、好調であれば株式相場の押し上げ要因となりそうです。但し、目先はそれほど上昇余地はなく、一服欲しいところです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、基本的にはQE3の実施でドルが売られやすい(円高)状況となるが、日銀の追加の金融緩和があれば79.5円を目指す可能性があるとしました。日銀は19日(水)の金融政策決定会合で追加の金融緩和を発表し、その直後は79.22円までの円安となるものの長続きしませんでした。欧米に比べて追加緩和策が不足とする見方が増え、すぐに円高へ振れて週末21日(金)は78.13円で引けました。

結局、日米欧の金融緩和からリスクマネーに向かった流れはひとまず一巡し、安全通貨とされてきた円が売られる展開も一巡したといえます。今週は、アメリカ市場で住宅関連指標が発表されますが、回復の鈍さを示すものとなれば、ドル売り・円高となる可能性があります。77.5~79円を想定。

ドル/円