先週の日経平均は、円高修正続かず、5月上旬にあけた窓の下限にハネ返される

20日(月)の時点では、円高修正続けば5月7日に下方にあけた9,344(5月2日の安値)~9,206円の窓埋め、価格帯別出来高でみると9,150~9,350円は出来高が薄く、9,350円まで上昇する可能性を想定しました。

20日(月)の前場は、25日移動平均線と75日移動平均線がゴールデンクロスして先高期待が出ましたが、前場に9,222円まで上昇したところで、5月下旬の9,344~9,206円の窓の下限にハネ返されました。その後は円高修正も一服し、NYダウも年初来高値目前に同じくハネ返されて軟調となったこともあり、日経平均ももみあいとなって週末は▼107の9,070円となりました。 7月25日の8,328円の安値から8月20日の9,222円までの約3週間で上昇率は10.7%となっており、利益確定売りも出るところです。出来高はますます細っており、薄商いの中を先物主導での上下動となっています。

ここからは、日柄調整か値幅調整か見極めるところ

日経平均のチャートをみる限り、20日(月)にゴールデンクロスを達成して先高感はありますが、日米共に目先の上値抵抗ラインにハネ返されています。NYダウは5月1日の13,338ドルにあとわずかの13,330ドル(8月21日)まで上昇して反落、日経平均は、5月2日~7日にあいた窓(9,344~9,206円)の下限の9,206円を少し上回る9,222円(8月20日)まであって反落という形です。ここから短期の日柄調整で終わるのか、値幅調整を伴って多少時間がかかるのかはまだわかりません。

先週は、さらに薄商いの中の先物主導での動きとなっており、このような状況の中で上昇すればするほど突然の悪材料が出た時は急落パターンとなります。これまでの経験からは戻り高値に近づくと商いが増加してきますが、今回は閑散相場が続いています。これは先行き不透明さを感じている投資家が様子見をしており、その中で先物主導で買い戻しが続いている状況といえます。出来高・売買代金が増加して株価が上昇する局面がこなければ、一般投資家にとってはリスクのなる投資となる可能性が高いといえます。

今週は、最大の焦点は、31日(金)のバーナンキ議長の講演ということになります。この内容によってQE3が近いうちに実施されるのか、もしくは先延ばしになるのかの観測が生まれ、為替の円高修正が続くのかどうかの判断材料となります。そのため今週は円高修正一服となって、日経平均は上値を追う状況とはなりにくいと思われます。 国内的には、日中韓の領有権問題からアジア地域のリスクが生まれ、10月衆院解散となると外国人投資家が嫌う政治リスクも出てくることになり、大きな上昇が難しくなってきます。

又、日経平均の動きを1年を通じた季節変動でみると、9~11月の3カ月は月初めより月末が安いパターンとなっており、特に10月から11月にかけて安値をつけています。そのパターンが今年も続くなら、10月、11月に買い場がやってくることになります。

日経平均がこのままちょっとした調整で終わるのか、値幅を伴った調整になるのかは、アメリカの経済指標の結果やFRBの金融政策を受けてのNYダウや為替の動き次第となります。8月20日の9,222円が目先のピークだとすれば、7月26日の8,328円から8月20日の9,222円までの1/3押しで8,924円、1/2押しで8,775円ですので、この2つのポイントが短期売買されたい方の買いポイントとなります。1/3押し水準で止まって反発し、9,222円を上回れば9,350円を試すことになりますが、1/2押し水準まで下がると、9,222円が上値抵抗ラインとなる可能性があると考えるところです。そういう日経平均の動きに合わせて個別銘柄の売買をするということになりますが、利食い幅は5~10%というタイミングになりますので、そう簡単にはとれないかもしれません。リスクを少なく確実に儲けたければ、上述した10月、11月の買い場を待ってみるということも一つの方法として考えておくと良いかもしれません。

(指標)日経平均

日経平均は、柴田罫線では9,351~9,149円、日足では5月上旬の9,344~9,206円が真空地帯とし、円安が続けば9,351円までの可能性があるとしました。しかし、79円半ばで円安が一服し、日経平均は8月20日に9,222円、つまり日足の5月上旬の窓の下限に到達してハネ返され、円安一服とNYダウも上値抵抗ラインでハネ返されたことで、24日(金)は▼107の9,070円で引けました。

今週は、週末31日(金)のバーナンキ議長の講演でのQE3の行方を巡って9,000円を挟んで一進一退の動きとなりそうです。円高修正は一服しているので、今週は9,351円の窓埋めの動きにはなりにくいと思われます。日本の景気基調も下方修正される見通しであることや、騰落レシオは112%とやや高く、今週は調整気味となる可能性があります。

27日(月)は△69の9,140円で寄り付き、9,150円をつけると上げ幅を縮小し、上海株式が年初来安値を下回っていることで△14の9,085円で引けました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、欧州問題や追加の金融緩和を巡る観測が交錯し、神経質的な展開になるとし、5月1日の年初来高値13,338ドルを一気に上回れば新しい相場局面も期待できるが、高値圏でのもみあいとなる可能性が高いとしました。

結局、21日(火)に13,330ドルと5月1日の13,338ドルにあとわずかに迫ったところでハネ返され、23日(木)には追加の金融緩和期待の後退から▼115の13,057ドルまで下落しました。24日(金)はFRB議長の書簡から追加の金融緩和の可能性が再び高まり、△100の13,157ドルで引けました。

今週は、31日(金)のジャクソンホールで予定されているバーナンキ議長の講演で、量的緩和第3弾(QE3)の可能性を巡り相場が揺れ動く展開となりそうです。29日(水)のベージュブック、30日(木)の7月個人消費も注目されます。

チャートをみると、今年の6月4日に12,035ドルの安値をつけたあと、短期の上昇トレンドの中の動きとなっており、この中で先週の21日(火)に13,330ドルと5月1日の13,338ドルにあと少しのところまで接近したあと反落となっています。今週は、高値圏でのもみあいが続きそうです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、円が下落しやすい状況で、米長期金利が上昇基調であればドル買い・円売りが続いて79円台後半の動きが想定されるとしました。しかし、アメリカで経済指標が予想を下回ったのでドル売り優勢となり、20日(月)の79.66円を目先のドルの高値に反落となりました。その後、22日(水)のFOMC議事録で追加の金融緩和の期待が高まり、ドル売りが加速して79円を割り込み、一気に78.53円の円高となりました。週末24日(金)はFRB議長の書簡から追加の金融緩和の期待が高まり、78.67円で引けました。

今週は、国内輸入企業による月末の決算に絡んだドル買い・円安の需要が高まる一方、週末31日(金)のバーナンキ議長の講演を前に、追加の量的緩和への期待からのドル売り・円買いの動きの可能性もあり、78.5~79円を基本レンジとした動きが想定されますが、チャートからは円安方向のままとなっています。

ドル/円