先週は、円安をきっかけに先物主導で薄商いの中を大幅上昇

先週は、お盆に入り市場ボリュームも細って、方向感のない展開で8,000円台後半での小動きを想定しました。但し、NYダウの動きから5月1日の高値を更新できずに天井となって下落する場合と、高値更新するかもしくは高値圏のもみあいで為替が円安にブレると主力株中心に買い戻しが入り、大きく上昇する可能性があるとしました。 先週の動きをみると後者のような動きになってきていますが、出来高、売買代金が伴っていないので上値は限定的と思われます。

先週の上昇は為替で円高修正が進んだことが日経平均の上昇要因といえます。アメリカで10日の雇用統計が予想を上回り、14日には7月小売売上高が4カ月ぶりの増加となったことで消費の底堅さが確認され、FRBの追加の金融緩和が後退して、日米金利差拡大を見越した円売り・ドル買いとなりました。 これを受けて日本市場は主力の輸出関連企業を中心に買われ、先物主導で一段高となり、週末の8月17日(金)は7月4日の高値9,136円を上回る△69の9,162円で引けました。

どこまで上昇できるのか

先週はお盆休みの薄商いの中、円高修正をきっかけに日経平均は大幅上昇となりました。9,181円まで上昇しました。7月25日の8,328円の安値から8月17日の9,181円までの上昇率は10.2%となり、短期トレンドの場合の平均上昇率に到達してきました。NYダウが6月4日の12,035ドルから8月17日の13,281ドルまで10.1%とほぼ同じです。

日経平均が3週間強で10.2%上昇している割には、個人投資家の保有銘柄が上昇している感がしないのは、日経225を構成する大型株で指数に連動している銘柄が上昇しているからだといえます。その結果、本来の意味で全体を示すトピックスが出遅れています。この出遅れ修正には出来高・売買代金の増加が必要となりますが、今のところ(夏休み明けの外国人買いを期待したいところです)増加の傾向がみられません。

チャートからみると、200日移動平均線(8,961円)を上抜き、次は26週移動平均線(9,168円)を週の終値で抜くことができるかどうかとなります。チャートでは、5月7日に下方にあけた9,344円(5月2日の安値)~9,206円(5月7日の高値)が目先の上値という見方や、昨年の3月11日の大震災後の価格帯別出来高でみると、9,150円~9,350円は出来高が薄く(いわゆる真空地帯)このまま上昇が続くようなら、数日で当面のチャート上の「強い抵抗ライン」の9,350円まで上昇して、当面のピークとなる可能性もあります。

為替からみると、これまで円高を嫌気して輸出関連企業の業績悪化を織り込む下落となっていましたが、この円高修正が1ドル=80円を超えてくるような動きになれば相場の向きは一変してくる可能性があり10,000円を目指すパターンも考えられます。その場合は、外国人買いが復活して市場ボリュームが増加するかどうかに注目となります。

要するに、日経平均の目先の上値は、為替とNYダウの動きにかかっていますが、チャートからは9,200円~9,300円台のどこかでピークを打つという可能性が高いと思われます。

本日は、前場に日経平均の25日移動平均線と75日移動平均線がゴールデンクロスしました。一般的に先高期待感が出るところですが、後場には一時マイナスに転じ、△8の9,171円で引けました。トピックスは▼1の764Pとなっています。強気の見方も出てきていますが、それには一段の円安と出来高・売買代金の増加が必要です。個別株は、売りも買いも難しいところですが、あえて売買するならどちらに投資するにしろ損切りを設定しておくところです。

(指標)日経平均

先週は、お盆休みで売買代金は減少し、先物主導で大きくブレやすくなるとし、外部環境次第で上下にブレやすいとしましたが、円安をきっかけに上へ大きくブレで、週末は7月4日の9,136円を上回る9,162円で引けました。きっかけは、アメリカの4-6月期の企業決算が好調で、経済指標も予想を上回るものが多く、NYダウは年初来高値を目指す動きとなりました。この結果、FRBによる追加の金融緩和期待が後退し、国債利回りが上昇して日米金利差が拡大し、円売り・ドル買いとなりました。さらに、欧州債務懸念も後退してユーロ買い・円売りとなったことで、日本市場は薄商いから主力の輸出関連株中心に買われ、先物に買いが入り、裁定買いを誘って、週末17日(金)は△69の9,162円で引けました。

今週は、柴田罫線でみると、9,149~9,351円が真空地帯となっており、円安が続くようだと9,351円までの可能性があります。昨年の大震災直後の3月15日の8,605円(終値)からの5月2日の10,017円までの戻りの間に9,351円以上で出来高が出来ており(A)、その後今年の3月27日の10,255円からの下落で、5月2日に9,344~9,206円と窓を空けて下げていますので、9,149~9,351円(B)は真空地帯となっています。20日(月)は、前場は△55の9,218円となって、25日移動平均線と75日移動平均線がゴールデンクロスしましたが、後場は一時マイナスに転じ△8の9,171円で引けています。

日経平均

(指標)NYダウ

先週は、今年の最高値の13,338ドルに接近してきており、約3カ月ぶりの高水準になっていることで要注意としていますが、14日(火)の米7月小売売上高が4カ月ぶりのプラスとなったことで、買い安心感が広がり、最高値の13,338ドルを試す動きとなってきました。先週まで6週連続の上昇となり、週末の17日(金)は13,281ドルまであって、△25の13,275ドルで引けました。

先週までは、薄商いの中を金融緩和への期待と経済指標の改善が上昇相場を支えてきました。夏休みムードが終わる今週からは、改めて欧州債務問題への警戒感やFRBによる追加の金融緩和を巡る観測が交錯し、神経質な展開となりそうです。一気に5月1日の13,338ドルを大きく上回ることができれば、新しい相場の展開も期待できるところですが、高値圏でのもみあいとなる可能性が高いと思われます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、円が下落しやすい状況といえますので、14日(火)の米7月小売売上高が予想を上回ればドル買い・円売りが進みそうだとしました。結局、14日(火)の米7月小売売上高が予想を上回ったことで、78.72ドルで引けてドルの買転換出現となり、ドルの下降トレンド(A)を上放れる形となりました。15日(木)は、FRBによる追加の金融緩和が遠のいたとの見方が広がり、ドル買い・円売りの勢いが強まって79円台前半の円安となり、週末17日(金)は79.55円で引けました。

チャートをみると、下降トレンド(A)の中で、7月22日の77.94円、8月1日の77.91円とダブル底を作ったあと、78.13~78.60円の小幅のボックス相場(B)となって、先週の14日(火)に78.72円でボックス相場の上放れと同時に、下降トレンド(A)も上放れる形となりました。

今週も先週の流れを引き継いで、円が下落しやすい状況といえます。米長期金利が上昇基調で推移すれば日米金利差拡大を見込んでドル買い・円売りが続くことになります。しかし、80円前後は大きな抵抗ラインとなるところですので、79.0~79円台後半の動きが想定されます。

ドル/円