先週は9,400~9,700円台の想定したレンジ内での動き

先週の予測では、方向性のない展開が想定され、上昇しても上値は限定的で9,400~9,700円台のレンジ内でのもみあいとしました。前週末に中国のGDPが市場予想を下回って3年ぶりの低水準となったことや、スペインのECBからの借り入れ増加を受けて欧米株式が大幅下落していたことで、16日(月)の日経平均は▼167の9,470円と大幅反落しました。しかし、18日(水)には、前日のNYダウが企業の好決算から大幅上昇して13,115ドルと13,000ドルを回復したことを受け、日経平均は△202の9,667円と今年3番目の上げ幅となりました。その後、米経済指標が予想を下回ったことでNYダウが反落し、週末20日(金)の日経平均は、積極的な売買は見送られて売買代金も1兆円を割れ、▼27の9,561円で引けました。下値は限定的な動きとなっていましたが、その背景には、27日(金)の日銀の金融政策決定会合で追加の金融緩和策が打ち出される可能性が高いということがありました。

今週は27日の日銀の金融政策を巡って思惑的な動き

今週は24~25日にFOMCが開催されますが、QE3は6月実施という見方が多く、今回は政策の変更は無いと思われますので、あとは25日のバーナンキ議長による会見の内容次第となります。注目すべきは27日の日銀による金融政策決定会合の内容ですが、市場は既に追加の金融緩和策が実施されるものとして動いており、関心は緩和策の具体的な内容に移っています。予想を上回るような内容であれば株価の上昇要因になりますが、資産買い入れ基金の増額幅が5兆円程度であれば、既に織り込み済みで材料出尽しとなる可能性があります。逆に追加の緩和が見送られれば失望売りとなり、円高が進行して大幅下落となってきます。27日が週末だけに、それまでの間は思惑により上下することになりますので、今週は何もしないで様子見が基本といえます。本日は手掛かり材料不足の中、先週末の欧米株高を受けて買いが先行するものの、週末に向けて日米の金融政策の発表を控えていることや、やや円高基調となっていることで▼19の9,542円で引けました。

日経平均は、4月9日(月)に9,546円で売転換が出現し、11日(水)に9,388円まで下落して反発し、18日(水)に9,682円まで上昇して9,400~9,700円のボックス圏の動きとなっています。そのため、多少リスクを取って売買する人は、9,400~9,800円の間で下限に接近すれば、もう一段下があることを前提に買って短期の利益確定(5%くらい)をするか、上限に接近すれば、直近の高値を抜けると損切り前提に空売りして短期で買い戻すかとし、基本は再度の大きな下げを待つとしました。

上にいくか下にいくかは確率の問題ですので、日経平均が安値から26%も上昇して7%強の押し目では、3月までの相場環境が良かった時は別として、現状の相場環境(米経済指標の悪化、フランス・ギリシャの選挙の行方、イラン問題、欧州債務問題の再燃)を考えると、上昇してもそれほど大きくはなく、逆に下落すれば、これまで上昇してきた分下げが大きくなる可能性があります。そうなった時に、アメリカのQE3や中国など新興国の金融緩和から再び本格的な上昇となることが想定されます。

(指標)日経平均

先週の予測では、本格化する米企業決算発表を前に景気回復期待と欧州債務問題再燃という強弱材料の綱引きとなって、9,400~9,700円台でのもみあいを想定しました。週始めは、前週末にスペイン国債の利回り上昇や中国のGDPの結果を受けてNYダウが大幅下落していたことで、17日(火)の9,455円まで大きく下落しました。しかし、その後は持ち直して18日(水)には、前日のNYダウの13,000ドル回復を受けて9,682円まで上昇しました。その後は積極的な売買は見送られて売買代金も低迷し、20日(金)は▼27の9,561円で引けました。

今週は、27日(金)の日銀金融政策決定会合が焦点となりますが、既に追加の金融緩和が行われるものとして相場を下支えてきています。内容によっては、期待を上回れば株式市場は戻りを試すことができますが、想定された期待水準に止まれば材料出尽しとなる可能性もあります。2012年3月期決算発表が本格化して割安感に着目する動きとなれば、業種別か個別物色となるかもしれません。先週に引き続いて9,400~9,700円台のレンジ内の動きが基本となりそうです。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、米企業決算発表の本格化と欧州債務問題の再燃懸念から不安定な動きになる可能性があるとし、チャートの形としては終値で13,000ドルを回復できれば戻りを試す可能性があるとしました。4月17日(火)は、スペインの短期国債入札が堅調で欧州市場が大幅上昇し、米企業決算も好調だったことで△194の13,115ドルと13,000ドル台のせとなりました。その後、フランス国債格下げの噂や米経済指標の悪化を受けて反落しましたが、週末20日(金)は△65の13,029ドルと13,000ドルを回復して引けました。

チャートをみると、4月9日に12,929ドルで1回目の売転換となり、10日の12,710ドルまで下落するものの、17日(火)には13,115ドルですぐに買転換が出現して保ち合いの形となっています。10日の12,710ドルを終値で切ると、2回目の売転換出現となって大きく調整する可能性が高いですが、それは企業決算と欧州信用不安の行方にかかっています。今週は24~25日のFOMCや27日発表の1-3月期GDPに注目となります。基本的には13,000ドルを挟んだもみあいが想定されるところです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、欧州債務問題再燃懸念からの円買いの一方で、27日の日銀金融政策決定会合における追加の金融緩和観測もあり、一方的な円高にはなりにくく80~81.5円のレンジを想定しました。4月16日(月)には、スペインの国債利回りの急上昇を受け、米国債利回り低下に伴うドル売りとなったことで、円高が進行して80.293円まで円が買われました。その後、欧州市場の落ち着きや米企業決算の好調でドルが買われ、18日(水)には81.249円でドルの買転換となり、週末20日(金)は81.777円までドルが買われました。

今週は、24~25日のFOMCや27日の日銀の金融政策決定会合という日米金融政策が焦点となります。それまでは思惑的な売買で80~82円が基本的なレンジで、FOMCで米景気の改善が示されれば、米金利の先高感から83円を目指す動きが想定されます。逆に、日銀が金融緩和を見送れば円高へブレることになります。

ドル/円