先週は、QE3の後退や中国経済への懸念、欧州債務問題の再燃から先物主導で急落

先週4月2日(月)の予測では、引き続き日柄調整となるか値幅調整となるかを見極めるところで、相場環境をみると、これまでの好環境に変化が現れているとし、ミクロとマクロの両方から分析してみました。その中で、ミクロの面からは、トピックスが柴田罫線で3月30日(金)に売転換が出現しているため要注意としました。それは、今回の日経平均の上昇を時価総額の大きい大型株が先導しましたので、トピックスが売転換するということは、日経平均もあとに続くことが想定されたからでした。

その他、先週4月4日(水)に、FOMC議事録の公表から追加の金融緩和期待が後退したことで、先物への仕掛け的な売りが出たことをキッカケに、先物主導で下げ幅を拡大して▼230の9,819円と3月13日以来の9,900円割れとなりました。この急落の可能性については、3月12日に「急上昇の裏にあるリスクを知ろう」ということで、次のようにコメントしました。「日経新聞に外資系ヘッジファンドが『円売りと日経先物の買いをセットで売買』という記事がありました。これは、円安をキッカケに更に円売りを仕掛け、日経先物を裁定買いで上昇させます。このようなヘッジファンドの投資手法はトレンドフォロー型(相場の流れについていく手法)といわれ、いくところまでいくというやり方です。これは、逆に相場の流れが止まると、反対売買に切り替わって急落します。」

結局、4日(水)は裁定買いが大きく膨らんでいたことで、これまでと逆の仕掛け的な売りが裁定解消に伴う現物株の売りとなり、大きく日経平均の指数を下落させました。また、豪貿易の赤字から中国景気の減速懸念も下げを加速させたといえます。5日(木)は、スペイン国債の入札不調で欧州債務問題が再燃し、欧米株式が急落したことで、日経平均も▼52の9,767円となりました。週末6日(金)は▼79の9,688円と4日続落となり、3月6日以来の9,700円割れで引けました。

基本的に日経平均の9,500円水準に合わせて買ってみるところ

先週末のアメリカ市場では、3月米雇用統計の非農業部門雇用者数が前月比12万人の増加となり、市場予想平均の20万人を大きく下回りました。改善が期待されていただけに、NYダウの下落が想定されるところです。為替もドル売り・円買いとなり、一時81.315円と3月8日以来ほぼ1カ月ぶりの円高でした。

今週は、SQも絡んで週前半は下値模索となりそうです。日経新聞によると、市場のコンセンサスは9,500円水準となっているようです。1週間前までは1万円台固めと言っていたのに、いつの間にか下値模索というコメントに変わっていますが、結局、将来のことは誰にも分からない以上、1つのシナリオだけで決め付けて投資をするのはいかにリスクがあるかということが実証されました。そういった意味では、私は下値を9,500円としていましたが、先週表明化した欧州債務懸念の再燃や中国経済の減速懸念、さらに、米雇用統計の大幅悪化による景気回復の遅れ、それに伴うリスク回避からの円買いが鮮明になれば、9,000円を試す動きとなって当面9,000~10,000円のボックス相場になってもおかしくありません。

しかし、反面、プラス材料として中国の利下げ期待や米国のQE3への期待、さらに、国内企業業績の回復期待が下支えとなり、9,500円を大きく下に切っていく可能性も少ないという見方もできます。ただし、9,500円水準から反発しても、そのまま上昇が続いて3月27日の10,255円を更新していくには、NYダウも4月2日の13,297ドルを更新していく必要があります。NYダウはまだ下げ始めたばかりですので、底値確認がずれる可能性がありますので、日経平均が9,500円水準で反発しても再度下値を確認する可能性があります。そして、NYダウの下値確認とほぼ同時に反発するのを待つことになります。もちろん、外国人買いが継続してNYダウの動きとは別に日本株が復興需要と今期の企業業績回復を期待して買われることもありますが、その場合は、外国人の売買動向をみて確認できます。

本日は、先週の米雇用統計の悪化から景気回復期待が後退し、日本市場でも輸出関連や素材、金融関連を中心に売り先行となり、9,565円で寄り付いて一時9,535円まで下げました。しかし、日経平均、トピックスともに1%を超す下げとなったことで、日銀によるETF買い期待から下げ渋り、後場には9,600円台を回復する場面もありましたが、大引けは▼142の9,546円となりました。

現時点での買い方としては、個別株も本日の安値水準から下を2~3回に分けて買い下がるところです。市場でのコンセンサスは13週移動平均線9,509円を下値の目処とみていますので、NYダウの大幅下落からの下値模索、為替の一段の円高がなければ一旦反発する可能性はあります。今週は、週末にSQを控えており、大きな下ブレの可能性もあります。個別株も本日の安値水準で買って、そのまま反発すれば早めに一旦利食い、そのまま下落が続けば2~3回に分けての買い下がりでリバウンドを待つスタンスになると思われます。

(指標)日経平均

先週の予測では、3月27日に10,255円の高値をつけたあと3日続落し、週末の雇用統計を控えて様子見となる可能性が高く、トピックスが3月30日に売転換しているため要注意としました。4月4日(水)は、FOMC議事録の内容から追加の金融緩和期待が後退したことで、先物主導の売りで▼230の9,819円と一気に崩れ、スペイン国債の入札不調から円高・ユーロ安が進行し、週末6日(金)は▼79の9,688円と4日続落して3月6日以来の9,700円割れとなりました。

先週は、スペイン国債の入札不調や中国経済の減速懸念から日経平均は4%近い下げとなりました。また、これに米雇用統計の悪化が加わってきますので、今後は下値模索が続く可能性が高いといえます。ただし、今期の国内企業業績への期待が高く、日銀の金融政策次第では一旦の反発場面もあるかもしれません。本日は、先週の米雇用統計の悪化から円高となったことで9,565円で寄り付き、3月30日のトピックスの売転換に続いて▼142の9,546円で売転換出現となりました。目先の下値ポイントは、3月7日の安値と同値の13週移動平均線9,509円となります。9,500円を切ると、9,351円(柴田罫線)、9,245円(75日移動平均線)が次の下値ポイントです。どこまで下がるかはNYダウと為替の動きをみるところですが、下値があることを前提に9,500円水準から個別株を買い下がるところだと思われます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、NYダウが堅調さを維持できるかどうかは、週末4月6日(金)の雇用統計と来週以降に本格化する1-3月期企業決算がポイントだとしました。しかし、4月3日(火)に、FOMC議事録の内容から追加の金融緩和期待が後退したことで▼64の13,199ドルと反落し、さらに、4日(水)は、スペイン国債入札の不調で欧州債務問題が再燃し、▼124の13,074ドルと大幅続落となりました。5日(木)は、3連休と米雇用統計を控えて▼14の13,060ドルで引けました。雇用統計は改善を期待されていましたが、結果は非農業部門雇用者数が前月比12万人の増加となり、市場予想平均の20万人を大きく下回りました。週明けのNYダウは大きな下落が想定されるところです。13,000ドルを終値で切ってくると、柴田罫線で売転換が出現する可能性が高いといえます。

今週から米主要企業の1-3月期決算が本格化するため、投資家の関心は経済指標から個別企業の材料に向かいそうですが、米雇用統計の悪化を受けて軟調な展開が予想されます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の分析では、新年度に入って円買い需要が後退し、米雇用統計が改善されれば米金利が上昇してドル買い・円売りの流れとなる可能性を想定し、基本は82~84円のレンジとしました。

しかし、逆のドル売り・円買いの動きとなりました。4月2日(月)は、ユーロ圏の3月PMIが悪化し、また、米金利も低下して一時82円を割り込みました。その後、米雇用統計の改善期待からドル買い・円売りとなって82円台後半までの円安となるものの、欧州債務問題の再燃からリスク回避の円買いとなりました。週末6日(金)には、雇用改善が予想外に悪化して一時81.315円と3月8日以来の円高・ドル安となり、引け値は81.531円でした。今週は、日米の金融政策の先行きを見極めようとする動きからもみあいが続く展開を想定。先週よりレンジを1円下げて81~83円。

ドル/円