3月27日(火)に10,255円の高値をつけたあとは3日続落

先週26日(月)の予測では、円安一服やアメリカ株式の軟調さ、さらに、前週は日足で11週間ぶりの陰線だったこと、騰落レシオが低下傾向であることから、日柄調整と値幅調整のどちらかになる可能性を想定しました。

結果的には、週明けのアメリカ市場で、バーナンキ議長が「失業率改善のためには金融緩和の継続が必要」と発言したことで、NYダウは△160の13,241ドル、S&Pは2008年5月以来の高値となりました。このところ経済指標の悪化が続いており、再びQE3へ言及したものと思われます。これを受けて、27日(火)の日経平均は△236の10,255円の高値引けとなり、大震災後の高値7月8日の10,207円、震災当日の終値10,254円を上回って窓埋めの形となり、目先目標達成感が出るところでした。その後、アメリカでは経済指標の悪化からNYダウが軟調となり、為替もドル売り・円買いとなって円安一服感が続き、日経平均は3日続落となって週末30日(金)は▼31の10,083円で引けました。

これまでの好相場環境に変化が現れる

マクロ環境では

  1. アメリカの景気回復期待への懸念

3月中旬までは好調だったアメリカの経済指標で予想を下回るものが相次いでいます。先々週は住宅関連の指標がほとんど予想を下回り、先週は2月中古住宅販売成約数や3月リッチモンド連銀製造業指数、2月耐久財受注、新規失業保険申請件数が予想より悪化しました。これを受けて、ザラ場では大きく下げるものの、金融緩和期待から下げ幅を縮小する動きとなっており、強弱対立する高値波乱の形となってきています。今週末は雇用統計の発表がありますが、むしろ来週の1-3月期の決算発表次第では一旦売られる展開も想定されるところです。ただし、QE3期待から下値はそんなに深くないかもしれません。

  1. 中国とユーロ圏経済への懸念

3月22日(木)発表された中国とユーロ圏の3月製造業PMIが予想を下回りました。中国は3月に入って2012年のGDP目標値を引き下げたことで、成長鈍化が懸念されています。また、欧州への輸出も、欧州各国の財政削減からの消費減退で今後の期待が持てず、土地価格を抑えるために思い切った金融緩和もできない状況となっています。30日(金)のユーロ圏財務相会合で金融安全網を800億ユーロ(87兆2,000億円)に拡大することが合意されましたが、これまで欧州中央銀行(ECB)が実施した大規模資金供給は銀行による自国の国債購入に充当されており、民間部門へは流れていないため、実体経済に行き渡らず、景気回復は難しい状況です。ギリシャの債務再編問題やイタリア・スペインの国債金利上昇問題などが出てきています。

ミクロ環境では

  1. 3月第3週(19~23日)に、投資主体別株式売買状況で外国人投資家が13週間ぶりに売りに転じました。昨年12月第4週から今年3月第2週までは12週連続で1兆3,948億円の買い越しとなっていました。このまま買いの継続性が一旦途切れるのかどうか注目となります。替わって、個人投資家が14週間ぶりに買い越しに転じてきましたが、日経平均は外国人の買いが無ければ上昇できませんので、外国人の買いが継続しなければ目先高値掴みということになる可能性があります。
  2. テクニカル的には、日経平均は既に24%も短期で上昇しおり、その間に評価損率も20%を超えるマイナスから8%のマイナスへ改善しています。この水準も目先いいところです。また、裁定買いによる上昇から買い残が積み重なってきていますので重荷になるところです。日経平均は25日移動平均線(4月2日時点9,935円)を上回ったところにありますが、主力株の一部には25日移動平均線を割り込むものもみられます。時価総額の大きい銘柄で構成されているトピックスが30日(金)に柴田罫線では売転換が出現しています。日米主要指標の中で売転換しているのはトピックスだけですが、構成銘柄は大型株で今回の日経平均の上昇を主導したので注意が必要です。

以上から想定すれば、一旦調整してもおかしくないところですが、アメリカではQE3が相場を下支えし、日本でも日銀の追加金融緩和期待があり、また、4月新年度の資金流入期待もあるため、相場環境の悪化との綱引きとなっています。ちょっとした日柄調整で終わるのか値幅調整になるのかは、もう少し相場環境の変化の程度をみる必要があります。

(指標)日経平均

先週は買い材料に乏しく、利益確定売りに押される展開を想定し、為替・米株式次第で日柄調整か値幅調整かになる可能性があるとしました。3月27日(火)は、前日のバーナンキ議長の金融緩和継続発言で昨年3月11日以来約1年ぶりに10,255円となりましたが、週後半は3日続落しました。

今週は、中国の景気減速懸念に加えて、米国の景気回復期待が経済指標の悪化でやや後退してきており、週末の雇用統計を控えて様子見が強まる可能性が高いといえます。トピックスが3月30日(金)に売転換しており、時価総額の大きい大型株が軟調となっていることを示しています。4月2日(月)は、欧米株高や日銀短観が予想を下回ったことから円安に振れこと、さらに、新年度入りの期待から、輸出関連株中心に買い先行となって10,190円まで上昇しましたが、材料不足から徐々に上げ幅を縮小して△26の10,109円で引けました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、高値警戒感と米景気回復期待との綱引きで一進一退の動きを想定しました。週明け3月26日(月)に、バーナンキ議長が、見送りとみられていたQE3の必要性に言及したことで、NYダウは△160の13,241ドルとなってろく買が出現しました。しかし、3月16日の13,289ドルを抜く動きとはなりませんでした。その後、経済指標で予想を下回るものが相次ぎ、ザラ場では大きく下げるものの、引け値では下げ幅を縮小するという高値波乱の動きとなってきました。先週NYダウは1%上昇し、年初からの3カ月間で8.1%の上昇となっています。

NYダウが堅調さを維持できるかどうかは、来週以降に本格化する1-3月期企業決算がポイントとなります。今週は週末4月6日(金)に雇用統計の発表を控えていますが、この日は祝日で株式市場が休場のため、週前半は雇用統計を睨んでの上値の重い展開が想定されます。3月22日の13,017ドルを終値で切ると短期の売転換が出現してきます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の分析では、円安一服の流れを受けて81~83円のレンジでの動きを想定しました。週前半は1ドル=82円台の動きとなっていましたが、3月29日(木)に、ギリシャの債務再編の見方から欧州株式が急落し、アメリカの経済指標も悪化したことで、リスク回避の円買いから81.899円まであって82.455円で引けました。週末30日(金)は、前日の流れから1ドル=81.840円までドルが売られるものの、ユーロ圏財務相が救済基金の拡大で合意し、米3月ミシガン大学消費者信頼感指数が1年ぶりの高水準だったことでドルが買い戻されて82.871円で引けました。本日4月2日(月)は、日銀短観が予想を下回ったことで日銀の追加の金融緩和期待から円が売られて83円台前半の動きとなっています。今週から新年度に入って円買い需要が後退し、円高圧力は弱まり、雇用統計が改善されれば、米金利が上昇してドル買い・円売りの流れとなるかもしれません。82~84円のレンジを想定。

ドル/円