先週はスピード調整後再上昇。円安進行し10,100円台のせ

2月29日(水)の9,866円を目先のピークに、3月7日(水)の9,509円まで下落し、急反発して9日(金)は9,929円で引けました。そのため、円安基調が続けば、昨年7月22日の10,149円を試す動きとなるとしました。ドル/円については、13日(火)のFOMCの景気判断引き上げを受けて米長期金利が上昇したことで、14日(水)の海外で円が買われる動きとなって83.822円まで円安進行し、さらに、日本市場では、日米金利差の拡大から更に円が売られて11カ月ぶりに1ドル=84円台をつけました。このため、15日(木)の日経平均は主力の輸出関連株中心に買われ、一時10,158円まであって昨年7月22日の10,149円を上に抜きましたが、終値は△72の10,123円となり、週末16日(金)も△6の10,129円でした。

どこまで上昇するかは円安の進行次第…基本は利益確定して下げを待つスタンスを

日経平均の指数だけみると、強い動きにみえて、ここからでも買っていけるのではないかという気になってきます。それには、円安基調が続くという前提条件があります。米経済指標の改善によって米景気の回復が裏づけされているという見方から追加の金融緩和QE3が後退し、米長期金利が上昇してドルが買われ、日米金利差の拡大から円が売られている状況です。これがいつまで続くかということになります。為替の専門家は1ドル=85円までの円安という見方をしており、そうだとすれば、日経平均はまだ上昇余地があることになります。しかし、本当に85円まで円安が進むかどうかは誰にもわかりません。言えることは、円安にしろ、いい水準まできているということです。ここで買って上昇すれば勝負に勝ったということになりますが、そうでなければ、過去何度も繰り返されてきているように、高値掴みとなって精神的な苦痛となります。

失敗した時に的確に損切りできる人は別ですが、この水準からは利益確定し、次の大きな下げを待つ(近い将来起きるでしょう)方が、ここから目先の利益を狙うより遥かにリスクが少なく、大きく儲けることができると思われます。

高値警戒感から強気と弱気の対立へ

先週は、3月13日(火)にNYダウが△217の13,177ドルと13,000ドルの大台にのせ、ナスダックも△56の3039Pと終値ベースで2000年12月11日以来の3000P台回復となりました。さらに、15日(木)は、市場全体のベンチマークであるS&Pが1402Pと2008年6月以来の1400P台のせとなっています。当面の目標達成感も出ていいところです。

2月29日(水)の9,866円をつけるまでの上昇は、ほとんどの銘柄が水準を切り上げる全面高の相場でしたが、3月7日(水)に安値9,509円をつけてからの上昇での高値更新局面では、一部の日経平均の指数に連動する銘柄が日経平均の指数を押し上げています。それは、先週の15日(木)に、外資系ヘッジファンドが「円売りと日経先物の買いをセットで売買」ということで説明しました。

3月7日(水)に安値9,509円をつけて以降、主力株の上昇でもシャープのような業績の悪い銘柄は売られるというように、銘柄が選択されてきています。また、先週13日(火)は△9の9,899円、14日(水)は△151の10,050円と日足では前日比プラスですが、ローソク足でみると、12日(月)から3日連続の陰線となっており、高値警戒感を示しています。現水準からの上昇は、円安が続くという前提条件ですので、リスクを取りたくなければ利益確定優先、買っていない人は下げを待つというスタンスがよいでしょう。あえて買うならば、出遅れ銘柄の押し目買いに徹しておけば、急落した場合でも、それ程大きく連動して下げないということになります。

本日は、為替が、対ドルでは円安一服となっていますが、対ユーロで円安進行したことで、円安基調が続くという見方から輸出関連株中心に買い先行で始まりました。しかし、10,172円まで上昇すると、明日が休場ということもあって上げ幅を縮小し、△12の10,141円で引けました。終値では3日連続で昨年7月22日の10,149円を突破できませんでした。

(指標)日経平均

先週の日経平均は、3月13日(火)のNYダウの13,000ドル台回復と円安を受けて、14日(水)に△151の10,050円と8カ月ぶりに終値で1万円台を回復し、さらに、15日(木)も、一段の円安進行から10,158円まであって△72の10,123円で引けました。週末は△6の10,129円でしたが、1週間で200円(2.01%)上昇しました。

1ドル=85円までの円安進行の見方があり、そうであれば、昨年7月22日の10,149円を終値で抜けると、次の上値ポイントは10,237円であり、その上は大震災前の3月10日の10,434円となります。ただし、日経平均の週の終値が、6週連続で前週末終値を上回っていますので、円安一服となれば、調整に入る可能性もあります。本日は、対ユーロで一時100円をつける円安となったことで、円安基調が続くという見方から10,172円まで上昇しましたが、明日が休場ということもあって上げ幅を縮小し、△12の10,141円で引けました。終値では3日連続で昨年7月22日の10,149円を突破できませんでした。

日経平均

(指標)NYダウ

NYダウは、3月13日(火)に、FOMC声明で景気判断の引き上げが示されたことや大手銀行のストレステストの通過を受けて、△217の13,177ドルとなってろく買が出現し、更に上値を試す形としました。14日(水)は△16の13,194ドル、15日(木)は△58の13,252ドルと7日連騰となりましたが、週末16日(金)は、13,289ドルまであって▼20の13,232ドルと8日ぶりに反落しました。結局、NYダウは15日まで7日連騰し、1週間では310ドル(2.4%)の上昇となりました。

今週は、20日(火)に住宅着工件数、21日(水)に中古住宅販売件数、23日(金)に新築一戸建住宅販売件数と、2月住宅指標の発表が相次ぎます。注目はガソリン価格の上昇であり、上昇が一服すれば、目先の悪材料として出てくるかもしれません。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の分析では、3月9日(金)に82円台半ばで引けていたことで、ドル買いが一服してもおかしくないところですが、13日(火)のFOMCでQE3への期待が後退すれば、再度ドルが買われて83円を試す動きになるとしました。結果、FOMC声明での労働市場の改善や景気判断の引き上げから、米経済の回復が示され、また、QE3への言及もなかったことから、一時83円台の円安となりました。さらに、連銀が発表した大手銀行のストレステストの結果を好感し、米国債利回りが上昇してドルが更に買われ、15日(木)の日本市場では、日米金利差拡大から11カ月ぶりに84円台をつけました。週末16日(金)は、米国債利回りが低下に転じたことで、ドル売りとなって83.377円で引けました。

先週末は、欧州短期金融市場で長期的なECB利上げ観測が高まり、ユーロ買い・ドル売りとなっています。今週は、NYダウが一服すれば、ドル買い・円売りも一服するところですが、今週発表の住宅関連指数が改善すれば株高・ドル高となるところです。82~85円のレンジを想定。

ドル/円