先週はチャート分析通りNYダウ・ナスダック急落

11月17日に、NYダウが順下げの三像を作って売転換し、また、ナスダックが戻りの高値で5つの天井を作って「いぬ型」という暴落型となって売転換しましたので、先週のチャート分析でアメリカ株式は急落の可能性としました。結局、NYダウは、11月21日(月)は▼248の11547ドル、11月22日(火)は▼53の11,493ドル、11月23日(水)は▼236の11,257ドル、11月24日(木)は休場、11月25日(金)は▼25の11,231ドルとなり、休場を除くと4日連続で4.8%下げました。ナスダックも同様に11月21日に▼49P、22日は▼1P、23日は▼61P、24日は休場、11月25日は▼18Pとなりました。下落要因として、米財政赤字削減問題の超党派会議の決別や、独10年債入札が不調に終わったことによる欧州債務問題の拡大懸念があげられます。

日経平均は既に底値圏にあり、値幅調整・日柄調整も十分であるものの自律反発できず、欧米株式の急落後の底打ちを待たなければならないとしました。その場合の日経平均は、8,000~8,227円のゾーンで底打ちする可能性があるものの、行き過ぎがあれば7,700円水準くらいまでの想定も必要としています。先週は、NYダウ・ナスダック共に急落し、日経平均も連動して下げたものの、1週間の下げ幅はNYダウの▼4.8%という下落に対して▼2.57%の下落に止まって、週末11月25日(金)は8,160円で引けました。想定した8,000~8,227円の中に入ってきました。いつここから一旦反発してもおかしくないところへきていました。そして、週明けの本日は△127の8,287円と自律反発しました。ここから2つのシナリオが考えられます。

シナリオ(1) NYダウ・ナスダックが一旦下げ止まれば日経平均も自律反発が継続

現在の世界の株式市場は欧州債務問題に振り回されています。ここにきて、欧州債務問題の当面の行方は「ユーロ共同債発行」に向け、ドイツが反対してフランスと対立していますが、政治的妥協ができるのかどうかとなります。その中で、IMFがイタリアへの支援を表明したというニュースが入って欧州信用不安が後退し、本日の日経平均の反発のきっかけになっています。その様子を見つつ米景気指標の改善が見られれば、アメリカ株式は一旦の反発かもみあいに入ることになります。そうなると、日経平均は10月31日の9,152円から11月25日の8,135円までの下げ幅の1/3戻しが自律反発の場合の戻りの目安ですので9,500円手前までの上昇が考えられます。その場合、主力株の買い戻しが終われば、中小型株へ資金が回る可能性があります。

この場合の売買は利益確定が優先ですので、日経平均が上昇してからもみあったあと再び下落方向となれば手仕舞いとなります。それは、あくまで中期下降トレンドの中の戻りですので、戻りのあと再び前安値を切ってくるという特徴があるからです。もちろん、NYダウの反発が大きければ日経平均が自律反発から戻り相場へ移行する可能性もありますが、期待を持って保有し続けるのはリスクがあるといえます。本日の日本市場は、欧州信用不安の後退とアメリカの年末商戦の好スタートを材料に、先週末底値圏にあったことからの自律反発期待もあり、△109の8,269円で寄付いて△127の8,287円で引けました。しかし、IMFのイタリア支援のニュースは出所がはっきりせず、誤報という見方も出ていますので注意が必要です。

シナリオ(2) NYダウ・ナスダックの戻り後の再急落を待つスタンス

チャートからみると、先週の急落はNYダウ・ナスダック共にまだ中途半端な位置にあります。現在の相場環境であれば、今回の短期上昇が10月4日の10,404ドルからのスタートですので、全値押しの10,404ドルが悪材料を織り込むときの下値抵抗ラインとなります。もしくは終値ベースでの10,700ドル水準が下値抵抗ゾーンです。ナスダックでは2300Pが下値抵抗ゾーンとなります。ここまで一気に急落するということは普通ありませんので、先週の終値近辺から一旦戻すことになるかもしれませんが。

リスクを取りたくなければ、NYダウ・ナスダックが当面の底打ち水準まで下げてくるのを待つことになります。その場合、日経平均が一旦戻したあと8,000円水準で止まるのか、それとも7,700円水準まで下げるのか、今時点ではわかりませんのでNYダウの動きに注目しておくことになります。

結論として、安心して買えるタイミングは、欧米株式が当面の底打ちとなる時ということになります。その場合、日経平均が8,000円を守っているのか7,700円水準まで下がっているのかはわかりませんが、8,000円を大きく切れば大きな戻り相場が生まれることになります。本日の反発が単なる自律反発で終わるのかどうかわかりませんが、欧米株式がもみあえば、日経平均は現在の底値圏での上値を試す動きとなります。出来高・売買代金の薄さからみると、大型株は見送られる可能性が高いので、底値圏にある好業績の中小型株狙いとなります。ただし、上述したように、欲を出さず5~10%で確実に利益確定できる人の投資となります。自律反発の1つの目安は、10月31日の高値9,152円から11月25日の安値8,135円までの下げ幅の1/3戻し(8474円)ですので、今の市場エネルギーで8,500円を突破することは難しいと思われます。

(指標)日経平均

10月31日の9152円を戻り高値に欧州債務問題や円高を嫌気して下落し、11月2日の8,640円まで下落後、小さな三角保ち合いを形成していましたが、11月10日に8,500円で売転換が出現し、戻り弱く11月16日に8,463円でろく売が出現して下値模索となりました。

先週11月21日(月)は、▼26の8,348円となって終値ベースで年初来安値を更新したことで、3月15日のザラ場安値8,227円が視野に入り、まずは8,000~8,227円で止まるかどうかとしました。この日にアメリカ株式のチャート分析で、NYダウ・ナスダック共に11月17日に売転換してチャートの形として急落の型となっていたため、先週は急落の可能性についても予測しました。その場合8,000円を割れると買チャンスとしましたが、11月24日(木)は、前日のNYダウの急落を受けて▼149の8,165円、週末11月25日(金)は8,135円まで下げて▼5の8,160円で引けました。週明けの本日は、IMFがイタリアへの支援を表明したことやドル/円での円安基調、さらに、東証1部のPBR0.9倍割れの割安感から、主力株中心に買い先行で始まって△109の8,269円で寄付き、△127の8,287円で引けました。自律反発となれば、10月31日の高値9,152円から11月25日の安値8,135円までの下げ幅の1/3戻し(8,474円)が1つの目処となります。

日経平均

(指標)NYダウ

先週11月21日(月)の分析では、10月27日の12,284ドル、11月8日の12,187ドル、11月11日の12,179ドルと順下げの三山形成となって11月17日に11,770ドルで売転換が出現し、ナスダックの11月17日の下放れの形と合わせて考えると急落の形としました。特に、11月1日の11,630ドルを終値で切ると完全に下放れになるともしました。

結局、11月21日(月)は、米財政赤字削減策を巡る超党派協議が決裂する可能性と欧州信用不安の拡大懸念から、▼248の11,547ドルとなって一気に11月1日の11,630ドルを切りました。11月22日(火)は、7-9月期GDPの改定値が予想外の下方修正となったことで▼53の11,93ドル、11月23日(水)は、ドイツの10年物国債が異例の不調となったことや中国の経済指標の悪化を受けて▼236の11,257ドルとなりました。11月24日(木)は休場でしたが、11月25日(金)は、イタリアの国債入札利回りがユーロ導入以来の高水準になったことを嫌気し、▼25の11,231ドルと休日を挟んで4日続落となりました。想定通り急落しましたが、ここで一旦自律反発すれば、その後再急落となる可能性が高いといえます。当面の底打ちは、10,700ドル水準もしくは10月4日のザラ場安値10,404ドルの下値抵抗ラインとなります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、チャートをみると、76.5~76.8円が、8月から10月の始め頃のもみあいが長いところですので下値抵抗ゾーンとなるとしました。結局、11月21日(月)の76.763円を安値にドル買いの動きとなり、下降トレンド(B)の上値斜線が下値抵抗ラインとして作用し、週末11月25日(金)には77.772円までのドル買い・円安となりました。

11月23日(水)は、独国債が不調に終わったことで対ユーロでのドルの買い戻しが進み、また、米雇用市場の改善期待が高まったことで、一気に77.563円まで買われ、引け値でも77.310円と77円台にのせました。さらに、週末11月25日(金)は、ムーディーズがハンガリーを格下げしたことでリスク回避のドル買いを誘い、また、イタリアの2年物国債利回りがユーロ導入以来の高水準まで上昇すると、ユーロ売りがさらに進み、ドルが買われて円が売られ77.746円で引けました。

当面の欧州信用不安が「ユーロ共同債」を巡るドイツとフランスの対立の行方にかかっているため、ユーロ売り基調が続く可能性があります。ただし、ドル・円では78円が上値のフシですので、今週は77~78円のもみあいで、徐々に円高基調となっていくものと思われます。

ドル/円