先週は、9月6日(火)に年初来安値更新するが、翌日はスイスの為替介入に連動して円安へ

先週9月5日(月)の予測では、再度3月15日の終値8,605円を守れるかどうかに注目とし、一旦売られたあとで9月の配当取りが活発化してくる可能性があるとしました。また、日本市場はアメリカ株式に左右されますので、9月8日(木)のバーナンキ議長の講演、オバマ大統領の雇用・景気対策の内容、9月9日(金)のG7、中国の8月消費者物価指数の発表に注目ともしました。

先週のNYダウの動きは、連休明け9月6日(火)はIMFがギリシャへの追加支援に応じない可能性が出てきたことや、住宅ローン関連証券問題から金融株が急落し、NYダウは一時▼307の10,932ドルまで下げて、終値は▼100の11,139ドルとなりました。翌日9月7日(水)は、ドイツ最高裁判所によるギリシャ支援合意の判断から欧州信用不安が和らぎ、また、オバマ大統領の雇用・景気対策への期待もあって、△275の11,414ドルと大幅反発しました。しかし、9月8日(木)は、バーナンキ議長の講演が前回と同じ内容だったことから失望売りとなり、▼119の11,295ドルと反落しました。

先週の日経平均は、9月5日(月)は、前週末、8月雇用統計を受けてアメリカ株式が大幅下落となっていたことで、▼166の8,784円となりました。9月6日(火)は、前日のアメリカ市場が休場ながら、欧州の信用不安が高まって欧州株式が急落したことで、日経平均も大幅続落となって▼193の8,590円と3月15日の8,605円を下に切って引け、2年4カ月ぶりの安値となりました。この日の引け後、NYダウが続落となったことで、日経平均も下値模索に入っていく可能性がありましたが、スイス中央銀行が上限を設けてスイスフラン売り・ユーロ買いの無制限の介入を実施するとしたことで、それに連動して円安が77円台後半まで進行し、そのため、9月7日(水)の日経平均は△172の8,763円と大幅反発しました。その後、9月8日(木)は、7月機械受注が予想を下回ったことで上値追いできずに△29の8,793円となり、週末9月9日(金)は、G7を控えて利益確定売り優先となり、▼55の8,737円で引けました。先週は、SQ清算日でSQ値は8,732円となり、終値は8,737円とかろうじて上回って引けましたが、先物が▼140の8,650円となっており、今週は下げ局面が想定される状況でした。

日経平均の転換点は、NYダウの転換点をみるのが前提

今週も、引き続き欧州信用不安や米景気への警戒感のある中での動きとなってきます。先週9月8日(木)のバーナンキ議長の講演が前回と内容が変わらず、失望売りとなり、オバマ大統領の景気・雇用対策は総額4,470億ドル(約35兆円)と大きかったものの、成立が疑問視されて株価の下支えとなりませんでした。G7で日本の円高阻止への提案は無視され、中国の消費者物価指数は依然高止まりとなっています。特に、ギリシャのデフォルトが近いという観測が一番の悪材料となっており、ユーロが他の通貨に対して全面安の状況です。

日本経済は、年後半V字型回復という見方が大勢でしたが、円が高値圏で推移しており、輸出企業の業績が下方修正となる可能性が出てきています。そうであれば、それを織り込んで急落した時が今年1番の転換点となるわけですが、その下値の目処は、自律的に動けない日経平均をみても意味がなく、NYダウがどこで反発するかに注目することになります。NYダウが本格的な調整となれば、普通は上昇のスタート時点の安値から高値までの1/2押しとなります。とすれば、2009年3月9日の終値,6547ドル(ザラ場安値6,440ドル)から、今年4月29日の12,810ドル(ザラ場高値5月2日の12,876ドル)までの上昇幅の1/2押しは、大まかに9,700ドル水準となります。ここまで一気にいかないでしょうから、その前に8月10日の10,719ドルがあり、その下が10,000ドルとなります。余程の悪材料が出ない限り、10,000ドルでは大きなリバウンド相場になる可能性が高いといえます。それまでの間は、反発があっても長続きしないとみた方がよく、保有株のキャッシュ化に徹することになると思われます。

日経平均の今年1番の転換点は、NYダウの10,000ドル水準への下落を待つということになりますが、それまでの間に大きく反発する可能性のある材料があります。それは、9月8日(木)のオバマ大統領の総額4,470億ドルの景気・雇用対策ですが、今のところは、下院が「ねじれ議会」になっているため、成立は懐疑的にみられており、材料としては消化不良となっています。ただし、相場環境が悪化して株価の下落が続けば、野党側も妥協して成立する可能性があります。この総額4470億ドルの景気・雇用対策は、GDPをある程度引き上げるだけの金額ですので、反発が生まれることになるでしょう。ただし、根本的な対策ではないので長続きはしないと思われます。

本日は、ギリシャのデフォルト懸念からの欧米株安とユーロに対する急激な円高を受けて▼158の8,578円で寄付き、その後も安値圏での推移となって8,520円まで下落し、大引けは▼201の8,535円となりました。ここから下は、日銀のETF買いへの期待もあり、3月15日の8,227円をいずれ試すとしても8,400円→8,300円が下値のフシとなります。

(指標)日経平均

先週の予測ポイントは、3月15日の終値8,605円を守れるかどうかとしました。9月5日(月)は、9月2日に米雇用統計の悪化を受けてNYダウが大幅下落したことで、▼166の8,784円となりました。さらに、9月6日(火)は、前日のアメリカ市場が休場だったものの、欧州の信用不安の再燃で欧州株式が急落(ドイツDAXは年初来安値)したことで、▼193の8,590円となり、大地震時の3月15日の終値8,605円を割り込み、2年4カ月ぶりの安値となりました。

しかし、9月7日(水)は、前日のNYダウは安かったものの、為替で、スイスフランの売り介入に連動して、円がドルに対して77円台半ばまでの円安となったことで、輸出関連株中心に買い戻されて△172の8,763円と大幅反発しました。その後、欧州信用不安が高まり、9月8日(木)に、バーナンキ議長の講演が前回と同じ内容となり、オバマ大統領の景気・雇用対策は成立が疑問視されてNYダウも下落したことで、週末9月9日(金)は▼55の8,737円で引けました。SQ値は8,732円となり、終値ではかろうじて上回りましたが、日経225先物が▼140の8,650円と大きく下げており、今週の下げを暗示していました。

先週末のNYダウは、ギリシャが近々デフォルトとの観測を嫌気し▼303の10,992ドルと大幅続落していたことで、本日の日経平均は、▼201の8,535円と年初来安値を更新してきました。ここからの下値のフシは、3月15日のザラ場安値8,227円、8,000円とありますが、NYダウが下げ止まらない限り、日経平均の下値を予測しても意味がなく、NYダウの動きを注視する必要があります。ただし、目先、引線の終値で8,783円を上回ることができれば9,000円水準までのリバウンドは期待できますが。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測ポイントとしては、欧州信用不安やアメリカの景気減速の相場環境の中で、終値で8月24日の11,078ドルを守れるかどうかとしました。結果としては、9月9日(金)の日本市場の引け後のアメリカ市場で、NYダウは▼303の10,992ドルと11,000ドルを切って引け、売転換出現となりました。

連休明け9月6日(火)は、ギリシャ支援問題や住宅ローン関連問題から一時10,932ドルまで下げて、▼100の11,139ドルで引けました。9月7日(水)は、ドイツ最高裁判所がギリシャ支援を合意したことや、オバマ大統領の8日の雇用対策への期待から、△275の11,414ドルと反発しました。しかし、9月8日(木)は、バーナンキ議長の講演が前回と同じ内容だったことから失望売りとなり、オバマ大統領の雇用・景気対策は実現性に懐疑的となって▼119の11,295ドルと反落し、さらに、9月9日(金)はECBのシュタルク理事が辞任し、ギリシャが近々デフォルトになるとの噂から▼303の10,992ドルの大幅続落となり、売転換が出現しました。

柴田罫線からみる下値のフシは、8月10日の10,719ドル水準となります。ここは、2009年1月19日の10,729ドル、2010年8月9日の10,719ドルと高値をつけているところですので、強い下値抵抗ラインといえます。ここを切ってくると、10,404ドル、さらに、心理的抵抗ラインでもある10,000ドルがあります。7月21日の12,794ドルで5月2日の12,876ドルに対するダブル天井のような形となり、7月27日に12,302ドルで売転換が出現し、8月9日のザラ場安値10,588ドルまで下げて、8月31日のザラ場高値11,712ドルまで上昇し、二山形成して9月9日に10992ドルで売転換出現となっています。そのため、8月10日の10719ドルを終値で切ってくると、短期のもみあいの下放れとなり、相場状況によっては10,000ドルまでの下げも想定されることになります。目先は、10,719ドルを守れるかどうかとなります。

NYダウ

(指標)ドル/円

今週は、改めて大地震発生以降のチャートのラインを引き直すことにします。ドルは、3月17日終値78.874円を安値に4月6日の85.52円まで上昇後、6月8日の79.694円まで下落しましたが、ここで5月19日の82.238円を高値とする三角保ち合い(C)となりました。この三角保ち合いが煮詰まったところで7月8日の81.471円を高値に下落となり、同日80.596円で売転換となって急落し、8月19日には75.95円と史上最安値をつけました。ここからの反発で、安値圏でのもみあいとなって下降トレンド(B)を横に抜け、次の下降トレンド(A)に上値を押さえられる形となっています。

今年4月6日の85.52円からの下降トレンドを(A)、7月8日の81.471円からの下降トレンドを(B)とします。先週の予測では、8月31日の76.439円を引け値で切らずに横もみが続けば、ドルが戻りを試す可能性が出てくるとしました。ところが、9月6日(火)に、スイスがスイスフラン高を阻止する行動を取ったことで、スイスフラン安と連動して円も売られ、77.668円で引けました。その後も77円台での動きが続き、9月9日(金)は、ギリシャのデフォルトの噂からユーロが急落するものの、ドル/円は77.086円まで下げ、77.605円で引けました。

今週は、9月9日の安値77.086円を引け値で切ると、再び76円台半ばまでのドルの下落の可能性、逆に9月9日の77.847円を引け値で上回ってくると、下降トレンド(A)を上に抜けますので、ドルが戻りを試していく(まずは78円台後半)可能性があります。

ドル/円