先週は何とか3月15日の終値8,605円を守って反発

先週8月22日(月)時点での予測としては、再度世界同時株安の様相となってきましたが、大震災時の3月15日の終値8,605円を守れば、8月26日(金)のバーナンキ議長の講演まではもみあいが続き、そのバーナンキ議長の講演内容によっては相場の転換点となるかどうかに注目としました。

先週のNYダウの動きは、8月22日(月)に△37の10,854ドルと反発して引け、翌日8月23日(火)は、リッチモンド連銀の製造業景況指数や新築住宅販売が予想を下回ったことが、逆に景気対策期待を生み、バーナンキ議長が講演でQE3に言及するのではないかとの見方もあり、さらに、前日まで史上最高値をつけていた金先物が売り優勢となったこともあり、△322の11,176ドルの大幅続伸となりました。さらに、8月24日(水)は、金先物が急落し、その資金の一部が株式市場へ流れて△143の11,320ドルと3日続伸しました。この上昇の背景には、週末にバーナンキ議長が講演でQE3について言及するという見方がありましたが、米シンクタンクがQE3の言及には否定的な見方を示したことで、8月25日(木)のNYダウは一時▼237の11,083ドルの大幅下落となり、終値は▼170の11,149ドルとなりました。この下げはタイミングの良い下げだといえます。それは、バーナンキ議長が講演でQE3に言及しても材料出尽し、言及しなくても失望売りとなる可能性があったためです。

日経平均は、以上のNYダウの動きに対して、上値は重く、下値は堅くということで、安値は8月22日(月)の8,619円、高値は8月25日(木)の8,849円と200円強の幅の中で動きました。8月22日~24日(水)までの3日間の安値は8,619円、8,630円、8,620円と3月15日の終値8,605円を試す動きとなりましたが、何とかここを守って、8月25日(木)は金先物の急落と共に円が77円台後半まで売られたことで、年初来安値を更新していた大型株へ買い戻しが入って△132の8,772円と反発しました。週末8月26日(金)は、前日のNYダウの大幅下落を受けて薄商いで見送りムードとなり、この日はバーナンキ議長の講演を控えていたこともあって小動きの中△25の8,797円で引けました。

今週は週末の雇用統計に注目

先週末8月26日(金)のアメリカ市場は、4-6月期のGDP改定値が予想を下回ったことで売り先行で始まり、注目のバーナンキ議長の講演で追加の金融緩和(QE3)についての具体的言及がなかったことで、一時▼226の10,922ドルまで下落しました。しかし、売り一巡後は、9月のFOMCで追加の金融緩和策の検討方針を示したことが相場の下支えとなって反発し、△134の11,284ドルとなりました。週間では、約4%高の△466ドルと5週間ぶりの上昇でした。極端な下値不安は和らいでいます。今週は、9月1日(木)に8月ISM製造業景況感指数(好不況の分かれ目である50を上回るかどうか)、9月2日(金)に8月の雇用統計が発表されます。目先は、11,000ドルを終値で切ると一段安、8月25日の11,437ドルを上に抜けると一段高という形です。

今週の日本市場は、アメリカの経済指標を受けて、NYダウをみながら小動きの展開になりそうです。ただし、雇用統計の結果によっては来週の動きに繋がることになります。今週は、小幅のレンジ内のもみあいが想定され、そうなると中小型株でテーマ性や材料のある株が物色されることになります。しかし、動いてから飛び乗るのではなく、これまで買って保有しているものが上昇すれば、利益確定することを考える相場局面といえます。中期トレンドでは、まだ調整中であり、売られ過ぎからのリバウンドと考えて、現時点ではあまり期待しないのがよいでしょう。

本日の日本市場は、△4の8,802円で寄り付いてマイナスに転じるものの、前引けにかけて先物主導で買いが膨らみ、前場は△47の8,845円で引けました。後場になると、売り込まれていた半導体関連銘柄が上昇し、主力株全般に波及して一時8926円まで上昇しました。しかし、その後は、週末のアメリカの雇用統計を控えていることもあって上げ幅を縮小し、△53の8,851円の終値となりました。8月15日の高値9,117円を終値で抜けない限り、単なるリバウンドに過ぎません。

(指標)日経平均

先週の予測では、週末8月26日(金)のバーナンキ議長の講演まで3月15日の終値8,605円を守れば、もみあいが続くとしました。8月22日(月)は、8,619円の安値をつけて▼91の8,628円、8月23日(火)は、8,630円まで下落したあと、アジア株高を受けて主力株に買い戻しが入って△104の8,733円と反発しました。しかし、8月24日(水)は、前日のNYダウが△322の11,176ドルと大幅反発となったにも関わらず、ムーディーズが日本国債と複数の邦銀の格付けを引き下げ、また、野田財務相の円高対応についての会見が失望となったことで、8,620円の安値をつけて▼93の8,639円となりました。8月25日(木)は、金先物の下落につれて円安(77円台)となり、アジア株高から大型主力株が買い戻されて△132の8,772円と反発しました。週末は、バーナンキ議長の講演を控えて見送りとなり、△25の8,797円で引けました。現時点での柴田罫線でみると、まず8944円を上回って引け、さらに、8月15日の9,117円を引線の終値で抜けて始めて短期の買転換となってきます。今週どこまで戻れるのか、それとも再び3月15日の終値8,605円を試す動きとなるのかに注目となります。本日は、8,926円まで上昇したものの上値重く、△53の8,851円で引けました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週のNYダウは、8月22日(月)は、前週後半大幅下落となっていた反動や、週末に行われるバーナンキ議長の講演での追加の金融緩和期待で△37の10854ドルと反発して引けました。そして、翌日8月23日(火)は、経済指標の悪化が逆に景気対策の期待を高め、バーナンキ議長がQE3に言及するのではないかという期待も高まり、△322の11176ドルの大幅続伸となりました。さらに、8月24日(水)は、7月耐久財受注が予想を上回り、連日高値更新していた金先物が急落となって資金の一部が株式市場に流れ、△143の11320ドルの3日続伸となりました。しかし、8月25日(木)のNYダウは、週末のバーナンキ議長の講演内容に期待し過ぎであるとの見方や、独国債の格付けが引き下げられるとの観測から▼170の11149ドルの反落となりました。そして、8月26日(金)は、注目のバーナンキ議長の講演で追加の金融緩和(QE3)についての具体的言及がなかったことで、一時▼226の10922ドルまで下落するものの、9月のFOMCで追加の金融緩和策を検討する方針が示されたことや、イベント通過で不透明感が後退したこともあって、△134の11284ドルと反発しました。しかし、今週は、8月ISM製造業指数や週末の雇用統計があり、まだ様子見が基本となりそうです。柴田罫線では、8月25日の高値11437ドルを終値で抜けると、追加の買法則が出ますが、逆にこのまま下げて引線の終値で11000ドル以下で引けてくると売りの形となって調整が長引くことになると考えられます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、週末8月26日(金)のバーナンキ議長の講演を前にもみあいとなり、75~78円の中での荒い動きを想定しました。

しかし、8月22日(月)~24日(水)の3日間は、76.5円前後~77円前後の狭い動きが続き、8月25日(木)になって、日経平均が200円を超える上昇となると、ドルは77円台まで買われ、さらに、独国債の格下げの噂でユーロ売り・ドル買いが強まり、円に対しても77.697円まで買われました。8月26日(金)は、利食い売りが先行し、アメリカ市場で4-6月期GDPの改定値が予想を下回ると、ドル売りが加速して76.512円をつけました。バーナンキ議長の講演でQE3に対する具体的な言及がなかったため、ドル買いが優勢となって77円台まで戻す場面もありましたが、アメリカの長期金利の低下が重石となって76.678円で引けました。

柴田罫線を短期でみると、ドルが8月19日に75.95円の史上最安値をつけたあと、8月22日に76.786円で短期の買転換が出現し、8月24日に76.970円でろく買という追加の買法則が出て8月25日に77.697円まで上昇しました。しかし、7月8日の81.471円をピークとする下降ライン(A)にあたって、8月26日には76.678円まで下落して引けています。下値は76円台半ばでは堅く、次にドルが反発して8月25日の77.697円を引け値で上回ってくると、79円を目指す動きとなります。目先は76~78円の間でのもみあいが続きそうです。

ドル/円