NYダウの短期の買転換は3月16日の安値11555ドルを突破できず下落…日経平均に売法則

週明け8月15日(月)の日本市場は、△122の9086円となって8月SQ値9054円を超えて終わりましたが、薄商いの中を先物買い戻しで上昇したものであり、相場が落ち着いたかどうかはまだ欧米株式の様子を見る必要があるとしました。

結局、NYダウは8月15日(月)は△213の11,482ドルと3日続伸となったものの、8月16日(火)は、独仏首脳会議で具体的な金融安定化が示されなかったことで失望売りとなって▼76の11,405ドルと4日ぶりに反落しました。8月17日(水)は、企業の好決算を好感して3月16日の安値11,555ドルに接近する11,550ドルまで上昇したものの、欧米の景気減速懸念から一転11,322ドルまで下落して△4の11,410ドルの小反発で引けました。NYダウが戻りを試すためには、3月16日の安値11,555ドルを上に抜ける必要がありましたが、失速してしまいました。そして、8月18日(木)は、米金融当局が欧州銀行の米部門の監査強化をしているということで、欧州銀行への不安が再燃し、8月フィラデルフィア連銀製造業指数が予想の2.0を大きく下回る▼30.7と過去のリセッション時の水準となり、さらに、大手証券が欧米経済のリセッション(景気後退)入りの可能性を示したことで原油先物も急落し、NYダウは一時▼528の10,881ドルまで下げて、▼410の10,990ドルで引けました。短期の買転換は10,700ドルを終値で切らない限り継続しますので、まずは10,700ドルを終値で守れるかどうかが注目となります。世界同時株安の様相となってきましたが、ここからの下げは欧米当局に対する金融緩和策催促相場といえるでしょう。

日経平均は、以上のNYダウの動きを受けつつ、円高基調のため上値重く8月16日(火)は△21の9,107円、8月17日(水)は▼50の9,057円、そして、8月18日(木)は、後場に、先物主導で下げ幅を拡大して▼113の8,943円となりました。グローベックス先物が大きく下げていたために、欧米株式の大幅下落を先取りして下げていたということがいえます。そのため、8月19日(金)は▼172の8,771円と寄り付いて200円程安くなったあとはもみあいとなり、後場になると、安値圏で底堅い動きとなっていましたが、午後2時36分頃、福島県沖でマグニチュード6.8の地震が発生して一段安となり、その水準のままもみあって、大引けは▼224の8,719円となり、ろく売という追加の売法則が出現しました。

今週は8月26日(金)のバーナンキ議長の講演が相場の転換点となるかに注目

結局、先週は、欧州での金融株への空売り禁止措置や米国での予想を上回る小売売上からNYダウが3日続伸となり、日経平均も週始めこそ△122の9,086円で始まりましたが、欧州の経済の減速懸念に米国景気減速懸念も加わって、円が高止まりの中、再びNYダウが大きな下落となってきました。8月9日には、大きな下ヒゲをつけた安値(8,656円)となって33億株の大商いとなったことで、目先は底打ちの可能性もありましたが、実態で下ヒゲを埋める形となってきました。

再び世界同時株安の様相を示してきましたが、これは欧米各国に対する世界的規模での政策を催促している相場だといえます。その1つとして、8月26日(金)予定のバーナンキ議長の講演が注目されますが、量的緩和第3弾への期待が高まっています。8月26日までは、8月9日の安値8,656円、もしくは大震災時の3月15日の終値8,605円を下値ポイントとするもみあいが続きそうです。ここでバーナンキ議長の講演内容が失望に終われば、一段安となって3月15日のザラ場安値8,227円の可能性もないとはいえません。一部の専門家の見方は、QE3に言及はなくても6,000億ドルを超える米国債の購入やFRBによる直接の資産買い取り、雇用刺激策といった大きな政策転換を発表する可能性も浮上しており、バーナンキ議長の講演が転換点となる可能性があります。

買いのタイミングは8,600円水準と8,200円水準が誰にもわかる下値ポイントですので、その間の8,400円水準から反発する場合もあります。しかし、こればかりは海外市場次第ですので、日経平均の下げに合わせて好業績の下げ過ぎ銘柄のリバウンド狙いとなります。

本日8月22日(月)は、先週末8月19日(金)のアメリカ株を受け▼32の8,686円と2週間ぶりの8,700円割れのスタートとなりました。前場は、下値で日銀によるETF買い期待もあり、△16の8,735円でした。しかし、後場になると、アジア株式が軟調となり、金市況が時間外で最高値更新となったことで世界的なリスク回避の動きが継続しているとの見方から売りが広がりました。前場の安値8,677円を切ると、先物主導で下げ幅を拡大して▼91の8,628円で引けました。8月9日の長い下ヒゲである8,656円を埋める形となりました。次は、3月15日の終値8,605円を守れるかどうかとなります。

(指標)日経平均

先週の予測では、NYダウが短期の買転換出現となっていたことで、NYダウの戻りが続けば、日経平均は最大で9,300円台もあることを想定していました。しかし、NYダウは3月16日の安値11,555ドルに接近するも超えることができずに反落となり、週後半は大きく下落しました。

日経平均は、8月15日(月)に△122の9,086円と反発し、8月16日(火)に9,150円まで上昇すると、ここを目先のピークとして△21の9,107円で引けました。その後は、円高進行もあって3日連続安となり、3日目8月19日(金)は、▼224の8,719円の大幅下落となってろく売出現となりました。先週の柴田罫線分析で買いの形になるためには、そのまま大きく上昇してしまうか、それとも8,944円を終値で切ってろく売出現となり、すぐに反発して8月15日の9,117円を上に抜ける必要があるとしました。結局、戻り弱く、反落となって8月19日に8,719円でろく売出現となりました。そうなると、8月9日の安値8,656円、もしくは3月15日の8,605円のどちらかに対するダブル底のような形を作って反発し、引線の終値で8月15日の9,117円を突破できれば短期の買転換出現となります。本日8月22日(月)は、▼91の8,628円となって8月9日の安値8,656円を切って引けました。次は、3月15日の終値8,605円を守れるかどうかとなります。ここを切ると8,400円、その下は3月15日のザラ場安値8,227円が下値ポイントとなると考えられます。

日経平均

(指標)NYダウ

8月4~11日まで日中値幅が400ドルを超す乱高下をしたあと、先週の8月15日(月)は△213の11,482ドルと3日続伸で始まりました。その3日間のうちの8月12日に△125の11,269ドルで短期の買転換が出現しました。しかし、この戻りは、3月16日の安値11,555ドルを終値で上に抜ければ、さらに戻りを試すとしましたが、8月17日(水)に11,550ドルとザラ場で接近するものの、終値では△4の11,410ドルと上げ幅を大きく縮小しました。そして、翌日8月18日(木)は、米金融当局が欧州銀行の米部門の監視を強化しているとの報道から欧州の金融不安が再燃し、また、8月フィラデルフィア連銀製造業指数が過去のリセッション時の水準へと大幅悪化したことで一時▼579の10,830ドルまで下落し、終値は▼419の10,990ドルでした。

さらに、週末8月19日(金)は、欧米のリセッション懸念や欧州金融不安が引き続いた中で、HPやIBMのハイテク株が下落し、NYダウは▼172の10,817ドルとなりました。このまま下げて10,700ドル以下で引けると、再び売転換の状態となって8月9日の10,588ドルを終値で守れるかどうかとなります。ここを切ると下放れとなり、下値模索となって世界同時株安が続くことになり、欧米や日本に対する金融緩和促進相場が強まっていくと考えられます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、目先は下値堅く、逆に、アメリカの長期金利の低下からドルの上値は重く、76~78円の中での動きを想定しました。

8月15日(月)の77.082円を高値に8月15~18日(木)の間は、欧州財務問題や欧米の景気減速懸念からドルの上値重く、また、下値では日銀の介入警戒感もあり、76円台後半のせまい動きに終始しました。ところが、8月19日(金)は、9時台に大量のドル買い・円売りが入り、一時76.952円までドルが買われましたが、日銀の介入でなかったことで一転ドル売りとなり、76.50円台で膠着した状態が続きました。世界景気の後退懸念から原油先物が1バレル=80ドルを割れると、安全資産としての円買いとなり、3月17日の76.25円を抜けると、ストップロスを巻き込んで75.95円と円では史上最高値をつけました。その後は、介入の思惑から戻して76.495円で引けました。今週は、8月26日(金)のバーナンキ議長の議会証言を前にもみあいとなりそうです。円が76円を再び突破すれば、介入で円安ドル高にふれる可能性もあります。75~78円の中で荒い動きが続きそうです。

ドル/円