先週は値幅調整となるも200日移動平均線水準で下げ止まる

先週の予測としては、日経平均が7月8日(金)に△66の10,137円と7月SQ値10,225円を大きく下回って引け、さらに、引け後の注目の米雇用統計が悪化したことで、7月11日(月)には▼68の10,069円となったことから、日柄調整となるのか値幅調整となるのかに注目としました。基本的には、テクニカル的な過熱感があるため、日柄調整が続いて1万円を守る場合と値幅調整が加わって9,800円水準を試す場合を想定しました。また、これもNYダウの下落の程度に左右されるとし、指数的には下げても300円くらいのものであるため、短期売買の方はすでに調整してきている好業績の材料株を買い下がり方針でよいとしています。

先週の外部環境は、結局、欧州債務懸念がイタリアやスペインに飛び火し、ムーディーズがアイルランド国債をジャンク級に引き下げたことで欧州債務懸念が拡大して、ユーロが急落してリスク回避の円買いとなり、7月12日(火)には1ドル=80円を割って79.174円の円高となりました。アメリカでは、経済指標の悪化を受けてバーナンキ議長がQE3への可能性を示したことから反発する場面もあったものの、その後、否定したことで7月14日(木)は▼54の12,437ドルとなりました。

日本市場は、欧州債務懸念からの為替の円高に左右される展開となりました。7月12日(火)は、NYダウの大幅下落と80円台前半の円高を受けて▼143の9,925円と4日ぶりの1万円割れとなりました。7月13日(水)は、為替が80円を割り、一時9,900円を割る場面もあったものの、日銀のETF買いや為替介入への期待から押し目買いが入って△37の9,963円となりました。7月14日(木)は、為替が78.472円までの円高進行となるものの、日経平均の下値が200日移動平均線水準の9,884円まで下げると反発して▼27の9,936円で引けました。週末7月15日(金)は、3連休を控え、薄商いの中、為替が1ドル=79円台にもかかわらず△38の9,974円の小幅反発となりました。

本日200日移動平均線を下回る

先週は、欧州債務懸念の拡大から急激なユーロ売り、アメリカでは米国債の格下げや連邦債務上限引き上げ問題が進展せず、リスク回避の円買いとなって7月14日(木)には78.472円まで円高が進むものの、日経平均は200日移動平均線水準を切らずに底堅い展開が続いています。このような外部環境の不安を抱えながら大きく下がらないということはこれらはすでに知られている悪材料ですので、余程大きく悪化しない限り目先織り込んでいるということもいえます。また、日銀の下値でのETF買いも相場をサポートしています。

国内では、大震災の影響を原発事故問題を除いてほぼ織り込み、年後半はV字型回復も期待されていることから200日移動平均線を守っている状況の中で為替が落ち着き、NYダウも反発してくれば国内の決算発表を素直に反映してくることになります。決算のピークは来週(7月の最後の週)で、8月の第2週にはほぼ出揃い、大震災直後の企業業績が反映されると同時に通期の見通しを発表する企業が増えますので、予想を上回れば株価の下支えとなります。ただし、夏休みシーズンに入り、国内外の投資家が休みを取ってきますので出来高や売買代金は増えず、相場全体が動くというより中小型株中心の相場となって好業績の個別株を選別して買われる展開が想定されます。

昨日の米市場では、先週未発表の欧州ストレステストの結果が信頼性に欠けるとの見方から、欧州金融機関はソブリンリスクのコストに耐えられない可能性があるということで欧米の株式は大幅下落となり、NYダウは一時▼183の12,296ドルまでの大幅下落となりました。その後は、アップルの好決算からハイテク株が買われて下げ幅を縮小し、▼94の12,385ドルで引けました。 これを受けて、連休明けの日本市場は▼52の9,921円で寄り付き、多少戻したあと再下落となり、200日移動平均線(7月19日現在9,903円)を下回って引けました。ここからさらに大きく下げるには、アメリカの債務上限引き上げ問題の不透明さが増すか、欧州債務問題の悪化で為替がもう一段の円高(3月17日の76.825円を試す動き)となる場合が考えられます。その場合、日経平均は1/2押しの9,768円、25日移動平均線(7月19日時点9,771円)を想定しておくとよいでしょう。

(指標)日経平均

先週は、日柄調整となるのか値幅調整となるのかはNYダウ次第としましたが、欧州債務懸念が拡大し、ユーロが急落となってリスク回避の円高進行となったことで為替に左右される展開となりました。週明け7月11日(月)の欧米市場は、欧州債務懸念がイタリアやスペインに波及し、NYダウが▼151の12,505ドル、為替が80円台前半となったことで▼143の9,925円と1万円割れとなりました。この時点で200日移動平均線9,892円水準が下値サポートとなり、また、日銀が1日としては過去最高のETF買いを実施しました。そのため、為替が7月13日(水)は80円割れとなったにもかかわらず△37の9,963円と反発し、7月14日(木)は79円割れ(78.472円までの円高)となったものの▼27の9,936円の小幅反落となり、週末は79円台での円高一服となっていることで△38の9,974円で引けました。普通ですと、1/2押し(9,768円)、25日移動平均線まで下げてもおかしくありませんが、下値では日銀の買い支えが期待されているようです。本日は、材料不足の中、上値重く何とか200日移動平均線(9,903円)を守っていましたが、引けにかけて下げ幅を広げて▼84の9,889円と200日移動平均線を下回って引けました。次は25日移動平均線(本日9,771円)が下値ポイントとなると考えられます。

日経平均

(指標)NYダウ

7月7日(木)は、12,753ドルの戻り高値をつけて終値は△93の12,719ドルでしたが、週末7月8日(金)は、予想外の雇用統計の悪化で▼62の12,657ドルで引けました。チャートでは、昨年7月2日の安値9,614ドルからの上昇トレンド(B)の下値斜線にアタマを押さえられた形となっていました。

7月11日(月)は、欧州債務懸念がイタリアやスペインに飛び火し、また、債務上限引き上げの協議が難航していることで▼151の12,505ドルの大幅続落となりました。7月12日(火)は、FOMCの議事録でQE3への期待から反発するものの、ムーディーズがアイルランド国債をジャンク級に引き下げたことで欧州債務懸念が一段と高まり、▼58の12,446ドルと3日続落となりました。7月13日(水)は、バーナンキ議長がQE3の可能性を示唆したことで△44の12,491ドルと反発するものの、7月14日(木)になると、バーナンキ議長がQE3の可能性を否定する発言をしたことで▼54の12,437ドルの反落となりました。週末7月15日(金)は、欧州のストレステストの結果、8行が不合格となったものの12,406ドルまで下げると、グーグルやシティグループの好決算から△42の12,479ドルと反発して引けました。しかし、週明け7月18日(月)は欧州のストレステストの結果が信頼性に欠けるとの見方やアメリカの債務上限引き上げ問題が依然として進まないことを嫌気し、一時▼183の12,296ドルまで下落し、終値は▼94の12,385ドルとなりました。このまま12,296ドルを終値で切らずに反発して7月7日の12,753ドルを上に抜ければ5月2日の12,876ドルを試すことになりますが、深押しすれば調整に時間がかかると思われます。

NYダウ

(指標)ドル/円

7月8日(金)は雇用統計の悪化で80.596円で引けて売転換出現となりました。柴田罫線でドルの上昇の仕方をみると、5月5日の79.561円、6月8日の79.694円とダブル底のような形となって上昇するものの、上向きの先細三角形の上昇となりました。この形の中で、上値は6月15日の81.055円、6月28日の81.255円、7月8日の81.471円と順上げの三尊天井の形となり、7月8日に80.596円で売転換が出現して上向きの先細三角形の下放れの形となり、ドルの急落となって7月14日の78.472円の安値をつけました。

7月12日(火)には、財政問題がイタリアへ波及しかけていることでリスク回避の円買いから79.174円の円高進行となり、7月13日(水)は、バーナンキ議長がQE3の可能性を示唆したことでドル売りが進み、円は78.653円まで買われ、さらに、7月14日(木)はムーディーズが「米国債を格下げの方向で見直す」と表明したことでドル安が進み78.472円の円高となりました。その後は79円を挟んだ小動きが続き、欧州債務問題の様子見となっています。

ドル/円