先週はNYダウに牽引され1万円台を回復して引ける

日経平均は、7月1日(金)に△51の9,868円の終値となって9,400~9,800円のボックスを明確に上放れし、かつ200日移動平均線(7月1日時点9,863円)も上回って引けたので、先週は終値ベースで1万円台を回復して引けるかどうかとしました。ただし、騰落レシオが7月1日には120.7%と震災後の最高水準となっていることで短期的な過熱感があり、目先はリスクが高まっていると考えなければならないとしました。また、日経平均の上昇は、NYダウの上昇にサポートされているため先週末7月8日(金)の米雇用統計に注目としました。

先週末のNYダウの動きをみると、連休明けの7月5日(火)は前週末の大幅高の反動から売り先行となり、ムーディーズがポルトガル国債の格付けを4段階も引き下げたことを嫌気し、▼12の12,569ドルと6日ぶりの小反落となりました。ただし、ナスダックは続伸して5月31日以来の高値でした。7月6日(水)は、中国が今年3回目の利上げ発表を行いましたが、反応は限られ、根がさ株中心に買われて△56の12,626ドルと反発しました。さらに、7月7日(木)は、6月ADP全国雇用者数が改善したことで翌日の雇用統計も改善されるとの期待が生じ、また、雇用増は経済活動が活発化して原油需要も伸びるとして原油先物価格も上昇し、NYダウは△93の12,719ドルと約2カ月ぶりの高値をつけました。

以上のようなNYダウの堅調な動きを受け、日経平均も戻りを試す展開となりました。NYダウが7月1日(金)に△168の12,582ドルとなって5日続伸の大幅上昇したことで、7月4日(月)の日経平均は△97の9,965円、7月5日(火)は△7の9,972円となり、7月6日(水)は△110の10,082円となりました。7月7日は▼11の10,071円と一服するものの、引け後のNYダウが△93の12,719ドルと12,700ドル台のせとなり、為替が円安方向にあることから7月8日(金)は△134の10,205円で寄り付きました。しかし、直後に10,207円をつけると上げ幅を徐々に縮小し、この日の引け後の米雇用統計発表を控えて様子見となり△66の10,137円で引けました。7月SQ値は10,225円と高値で決まり、日経平均の終値は10,137円と大きく下回って引けましたので目先は10,225円が上値ポイントとなります。また、この日で騰落レシオが138.96%と完全に過熱した状態となりました。

雇用統計は予想以上の悪化。日柄調整か値幅調整かで日経平均の下値の目処は変わる。

7月8日(金)の日本市場は△66の10,137円で引けましたが、引け後の米市場では注目の雇用統計が予想以上の悪化となりました。失業率が予想の9.1%を上回る9.2%と3カ月連続の悪化となり、非農業部門就業者数は、予想が10万5,000人増でしたが、これを大きく下回る1万8,000人増となりました。これを受けて、ドルは80円台半ばまで急落、原油も96ドル台まで急落し、NYダウは一時▼152の12,567ドルまで急落しました。しかし、米経済の回復が遅いということになると、超低金利長期化の観測が高まるとともにQE3の可能性も再び高まったことで下げ幅を縮小して▼62の12,657ドルで引けました。今週のNYダウは、今週から始まる企業決算発表への期待が株価を下支えすれば、米雇用統計の悪化から下落しても下値は限定的で、予想を上回る決算が出ると、終値ベースでの年初来高値である4月29日の12,810ドルを試す可能性があります。

今週の日経平均は、テクニカル的には過熱感があり、目先の上値のフシである3月11日の10,254円の窓埋めの水準に近付く10,207円まで上昇しての下落ですので、最大で9,700円水準までの調整の可能性がありますが、NYダウの動きからみると、サポートされて9,800円まで下げればいいところです。また、1万円を維持しようとするPKO的な力も作用するかもしれません。これも、NYダウが雇用統計の悪化を織り込んで、企業業績の方に関心が移っていけば決算の結果に左右されることになり、それを受けて日本市場も動くことになります。本日の日経平均は、先週末7月8日(金)の雇用統計の悪化や為替の円安を受けて、前場は▼68の10,069円で寄り付くものの下値は堅く、売り一巡後は10,109円までありましたが、終値は▼68の10,069円と寄り付きと同値で引けました。このような日足の形は上か下か迷っているときに出る形です。

日経平均は、基本的にテクニカル的な過熱感もありますので、日柄調整が続いて1万円水準を守る場合と、日柄調整に値幅調整が加わって9,800円水準を試す場合が想定されます。もちろん米市場が予想外の悪材料で急落すれば9,600円台も考えられますが、今のところそのような兆候はないようです。日経平均の指数的には下げてもここから300円くらいのものですから、短期売買の方はすでに調整してきている好業績の材料株は1万円水準から買っていくところです。

(指標)日経平均

7月1日(金)に終値9868円と9,400~9,800円のボックスを上放れすると同時に200日移動平均線も突破して引けたことで、先週は終値ベースで1万円台を回復できるかとし、そのためにはNYダウの上昇をサポートする先週末7月8日(金)の米雇用統計に注目としました。

結局、7月1日(金)のNYダウが、6月ISM製造業景況指数が予想外の改善となったことで△168の12,582ドルとなったことを受け、週明け7月4日(月)の日本市場は△97の9,965円、7月5日(火)は△7の9,972円、7月6日(水)は、為替が対ドル・ユーロで円安に振れたこともあり、△110の10,082円と1万円台のせとなりました。7月7日(木)は▼11の10,071円と一服するものの、この日のNYダウは6月ADP全国雇用者数が改善したことで翌日7月8日(金)の雇用統計も改善されるとして△93の12,719ドルと約2カ月ぶりの高値となりました。これを受けて、7月8日(金)の日経平均は△134の10,205円と高寄りし、直後に10,207円をつけましたが、ここからは上値重く上げ幅を縮小して△66の10,137円となりました。7月SQ値は10,225円となり、終値がこれを大きく下回って引けたので、目先は10,225円が上値抵抗ポイントとなります。先週末の米雇用統計の悪化から米株式が下落したことを受け、▼68の10,069円で寄り付くものの、下値は堅く10,050~10,100円でのもみあいとなり、▼68の10,069円で引けました。1万円を割らずに日柄調整となるのか、値幅調整となるのかはNYダウ次第となります。

日経平均

(指標)NYダウ

NYダウは、6月20日に12,080ドルで買転換が出現するものの、6月24日は11,934ドルと12,000ドル割れとなりました。しかし、翌週は、ギリシャのデフォルト懸念が後退したことや経済指標に改善がみられたことで5日連続の上昇となり、週末7月1日(金)は△168の12,582ドルで引けました。

7月5日(火)の分析では、週末7月8日(金)の雇用統計が改善されていることを織り込みながら上昇している可能性があるため雇用統計に注目としました。また、雇用統計が予想を上回れば12,700ドル水準を目指すことになり、予想を下回れば失望売りで急落ということも考えられるとしました。結局、連休明け7月5日は▼12の12,569ドルと反落したものの、7月6日(水)は△56の12,626ドル、7月7日(木)は△93の12,719ドルと2カ月ぶりの12,700ドル台のせとなりました。しかし、注目の雇用統計で、失業率が9.2%と3カ月連続で上昇し、非農業部門就業者数も予想の10万5,000人増を大きく下回る前月比1万8,000人増にとどまったことでドルが急落し、株価も一時▼152の12,567ドルまで下落しましたが、QE3の可能性が浮上し、下げ幅を縮小して▼62の12,657ドルで引けました。チャートをみると、上昇トレンド(B)の下値斜線にアタマを押さえられた形となっています。押し目が浅く、5月2日の12,816ドルを突破すると一段高の形になります。今日からスタートする企業決算が予想を上回るかどうかにかかっています。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、週末7月8日(金)の雇用統計が注目であり、予想を上回れば81.5円が1つ目のポイントとなり、80.5~81.5円の中での動きを想定しました。結果的に1週間を見ると、ドルの高値が7月8日の81.471円、安値が同日80.499円と想定通りの動きとなりました。

7月4日(月)の80.545円の安値から雇用統計の改善が期待されてドルが買われる動きとなり、7月7日(木)は6月ADP全国雇用者数が改善したことで、翌日7月8日(金)の雇用統計も改善しているとの見方から81.471円までドルが買われました。しかし、7月8日(金)の雇用統計は予想を大幅に下回り、ドルは急落となって80.499円まで売られて80.596円で引けました。本日の日本市場では80円台後半の動きとなっています。今週は、アメリカでバーナンキ議長の中期に1回の議会証言があり、注目するところです。基本は80.5~81.5円の中のもみあいが想定されます。

ドル/円