先週は柴田罫線の買転換はじめテクニカル的には上放れだが、ボックス相場内の動きに過ぎない

6月17日(金)の日経平均が▼59の9,351円となったことで、6月20日(月)の予測では、急落調整となるのか、それともこれまでの9,400~9,800円から9,300~9,800円の日柄調整が続くのかとしました。普通ですと、世界的な景気減速やギリシャの債務問題、さらに、アメリカのQE2の終了、日本の不透明な政局と悪材料だらけの中でチャート上の9,400円割れという下放れの形となりましたので、一段安となってもおかしくないところでした。薄商いのために日銀のETF買いや先物主導の買いで下値はサポートされていますが、早期に9,400円を回復できなければ9,400円が大きな上値のフシになる可能性がありました。

しかし、6月20日(月)のNYダウが12,080ドルで短期の買転換となり、ギリシャのデフォルト懸念が後退してユーロ高・円安となったことをきっかけに、先物主導で6月21日(火)の日経平均は△105の9,459円と9,400円台をすぐに回復し、6月22日(水)は△169の9,629円となって買転換が出現しました。NYダウの動きが軟調となったことで6月23日(木)は▼32の9,596円と反落しましたが、週末6月24日(金)はアジア株式が堅調となったことで△81の9,678円と9,700円水準に接近して引けました。

テクニカルでみると、6月22日は一時9,658円とチャート上の重要な関門である75日移動平均線(22日時点で9647円)を一旦上に突破して△169の9,629円となり、6月23日は▼32の9,596円と反落するものの、6月24日は、終値が9,678円となって75日移動平均線を上回りました。このことから、さらに大きく戻りを試すという見方もありますが、この75日移動平均線は下向きで推移しているため、ここを上に突破したとしても勢いがつくわけではありません。NYダウや日経平均にも短期の買転換が出現しましたが、9,300~9,800円のボックス圏の中での売買法則であって保ち合い状態を示しているに過ぎません。 6月22日の△169の9,629円という大幅高の要因には、9,500円近辺に25日移動平均線や6月SQ値など幾つかのフシがあったため、空売りしていた投資家がこの水準で踏み上げられたということがあります。また、先週は、海運株など震災後に低迷していた安値圏の銘柄が買われて上昇をサポートしましたが、出来高・売買代金をみると薄商いのままですので、新規の資金流入ではなく上昇したものを利食って割安銘柄を買うという入れ替えの動きです。そのため、上値を追っていく相場状況にはなっておらず、結局、9,300~9,800円のボックス相場が継続していることになります。

今週はアメリカの経済指標や外国人投資家の売買動向に注目

6月17日(金)は▼59の9,351円(ザラ場安値9,318円)となって9,400円を終値で切りましたが、この週(6月13日~6月17日)はギリシャの財政危機が深刻さを増し、アメリカの景気指標が予想を下回り、さらに、QE2が6月末で終了する警戒感から、外国人投資家の売買動向は2週連続で売り越しとなりました。外国人投資家の売り越し額は1428億円となり、2010年8月第4週(23~27日)以来の約10年ぶりの高水準となっています。結果的に、震災以降に一旦反発したあとの下落は、大型株指数の下落率が一番大きいので外国人が売ってきていたためということになります。 日本株式が本格的に上昇するのは外国人が買ってくる時ですので、今回のように75日移動平均線や13週移動平均線を超えたからといってそのまま上昇に結びついていくものではありません。日経平均が本格的な戻りとなるには外国人投資家の動きに注目しなければなりませんが、外国人が積極的に買いに転換するための条件の1つは海外の景気減速懸念が消えること、もう1つは、国内の政局が落ち着いて補正予算が成立し、復興の目処がつくことにあります。ところが、国会が8月までの延長となり、ここで第2次補正が可決されても規模は小さく大型の第3次補正予算が秋以降にずれ込む可能性が出てきたために上値が重くなるといえます。

先週は、FOMCで6,000億ドルの長期国債購入プログラム(QE2)の6月末終了方針が示されて米国経済の見通しが下方修正され、バーナンキ議長が量的緩和第3弾(QE3)の必要性について言及しなかったことで失望売りとなって週後半は3日連続安となりました。そのため、アメリカ株式は景気の動向を注目する動きとギリシャ債務問題を警戒する展開となりそうです。 日経平均は、週末6月24日(金)は△81の9,678円と高く終わりましたが、テクニカル的に上値のフシを抜いたことで押し目買いとして上昇しているに過ぎず、9,300~9,800円の中で9,700円水準からは上値が重い展開となります。それは、大震災後9,700円台での出来高が厚くなっていますので、現在の薄商いの状況で上値を追うのは難しいと言えるからです。

本日の日経平均は、先週末6月24日のNYダウの12,000ドル割れを受けて▼44の9,633円で寄り付き、9,570円まで下げるものの、売り一巡後は下げ渋って▼100の9,578円で引けました。今週は、アメリカでは雇用統計など重要指標を控えて様子見ムードとなっています。NYダウが6月16日の安値11,821ドルを終値で切らなければ9,400~9,800円のボックス圏の中でまだ戻りを試すことになりそうです。本日の下げは、アメリカ株式の下落ということもありますが、テクニカル的には終値ベースで5月2日の戻り高値10,004円から6月17日の終値9,351円までの下げ幅の1/2戻し9,677円ですので、6月24日(金)の終値9,678円がこの1/2戻し到達となって、その達成感から戻り売りが出ているとの見方もできます。

(指標)日経平均

前週末6月17日(金)は9,318円まであって▼59の9,351円で引けました。9,400円台でのもみあいを下放れしたことで、9,400円台を早急に回復しなければ9,400円が上値のフシになるところでしたが、6月20日(月)のNYダウが12,080ドルで買転換したこともあって、6月21(火)の日経平均は△105の9,459円と9,400円台をすぐに回復しました。そして、この日のNYダウが△109の12,190ドルと大幅続伸となったことで、6月22日(水)の日経平均は△169の9,629円で引けて、こちらも買転換出現となりました。ただし、日米共に買転換となっているものの、下降トレンドの中での転換ですので、短期に終わる可能性が高いといえます。結局、NYダウは、このあと3日続落となって6月24日に12,000ドルを再び切って引けました。日経平均は、6月23日(木)に▼32の9,596円と反落したものの、6月24日(金)は、薄商いの中アジア株式の上昇にサポートされて△81の9,678円で引けました。 本日は、先週末のNYダウの12,000ドル割れを受けて反落となり、為替が1ドル=80円台後半の円安となるものの、ギリシャ緊縮財政計画の行方や米景気減速懸念から上値重く、▼100の9,578円となりました。今週は、NYダウが6月15日の安値11,841ドルを終値で切らなければ9,400~9,700円の中でのもみあいが想定されます。

日経平均

(指標)NYダウ

6月17日(金)のNYダウは△42の12,004ドルと12,000ドルを回復し、週足で7週間ぶりの反発で引けました。そのまま上昇して引線の終値で6月14日の12,156ドル以上で引けると12,381ドルを目指す動きとなるとし、そうでなければ次の下値ポイント11,613ドルを試す動きを想定しました。

週明け6月20日(月)は、目立った材料はないものの、前週3カ月ぶりの安値をつけたことで押し目買いが入り、△76の12,080ドルと続伸して短期の買転換が出現しました。6月21日(火)は、ギリシャの新内閣が信認投票で支持を受けたことでデフォルトが回避されるという見方が広がったことや、5月中古住宅販売件数が市場予想を上回ったことで△109の12,190ドルと4日続伸となりました。しかし、6月22日(水)は、FOMCによる経済見通しの下方修正や、バーナンキ議長がQE3の可能性を示さなかったことで▼80の12,109ドルの反落となりました。さらに、6月23日(木)は新規失業保険申請件数が予想を上回り、歳出削減と連邦債務上限引き上げの合意が懸念され、また、原油先物の急落もあって、一時11,841ドルまで下げて終値は▼59の12,050ドルとなりました。週末6月24日(金)は、5月耐久財受注が予想を下回り、また、イタリアの一部銀行がストレステストを通過できないという観測から▼115の11,934ドルと再び12,000ドル割れとなりました。

短期の買転換が出現したにもかかわらず、6月21日の12,248ドルまでしか上昇できずにいます。6月15日の安値11,841ドルを守って再び戻りに入り、6月21日の12,248ドルを上に抜ければ12,381ドルを試す可能性があります。しかし、6月15日の11,841ドルを終値で切ると一段安となって3月16日の11,555ドルを試す動きが想定されるところです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、6月17日の引値が80.04円となって売法則が出現したことで、80円を切った場合、5月5日の79.561円を守れるかどうかとしました。そして、基本的には79.5~81円の値動きを想定しました。

結局、週前半6月20日(月)~22日(水)は80円台前半の動きとなっていましたが、6月23日(木)は、バーナンキ議長が量的緩和第3弾に言及しなかったことで、ドルが買われて80.778円の高値をつけました。しかし、週末6月24日(金)は、6月のドイツの企業景況感指数が改善したことで、対ドルでユーロの買いとなって80.143円までドルが売られました。しかし、イタリアの一部銀行株の売買停止からユーロ売りとなり、また、5月米耐久財受注が改善したことで長期金利が上昇し、ドルが買われて80.449円で引けました。

チャートをみると、柴田罫線では6月17日に80.04円で売法則、そして、すぐに6月22日の80.297円で買法則が出ているということは保ち合いの状態に入っていることを意味します。つまり、80~81円の狭いボックスの中での保ち合いですので、ボックスを上下どちらか放れた方に大きく動くことになります。今週は、QE2が6月末に終了することで新たなドル売りを仕掛けづらく、月末には輸出企業が円買いに動く可能性があるため膠着状態の強い展開が想定されます。

ドル/円