先週末6月17日(金)は注目とした9,400円を切って引ける

先週は、6月10日(金)の終値が9,514円となって6月のSQ値9,553円を下回って引けましたので、過去の経験則からは軟調な動きとなることを想定し、9,400円を守れるかどうかに注目としました。

6月13日(月)の日経平均は、6月10日のNYダウが3月18日以来の12,000ドル割れとなったことや、寄前発表の国内の4月機械受注がマイナスとなったこともあって一時9,391円と9,400円を割り込みましたが、ここから日経先物に買いが入って▼66の9,448円となりました。そして、6月14日(火)は、東電のストップ高から買い安心が広がって△99の9,547円と反発しました。 この日の引け後のNYダウは△123の12076ドルと12000ドルを回復しましたが、6月15日(水)の日経平均は△26の9,574円の小幅続伸としかなりませんでした。つまり、日経平均の上昇は、9,400円を割る水準で日銀のETF買いや日経先物の買いによって支えられた反発であり、上値を買っていくような相場にはなっていないことを示しています。

6月15日のNYダウがギリシャの債務懸念の再燃で▼178の11897ドルとなると、6月16日(木)の日経平均は▼163の9,411円まで急落するものの9,400円水準では止まりました。しかし、6月17日(金)は、前場こそ▼0.6の9,410円と何とか9,400円を守っていましたが、後場になると、対ユーロで円相場が113円台の円高となったことをキッカケにヘッジファンドの債権先物買い、株価指数先物売りが活発化し、一気に9,318円まで下落して終値は▼59の9,351円と9,400円を割って引けました。

この1カ月の世界の株式市場をみると、日本株以外は調整色を強めており、日本株のみが小幅の下げに止まっているのが不思議に思えました。その理由としては、東証1部のPBRが約1倍と低く、割安感から押し目買いが入っており、株式が下落する場面では日銀のETF買いが相場を支えているとの見方がありました。この1カ月でNYダウ、上海株式などが6%近い下落となっているのに、日経平均の下落率は2%でしたので、先週末6月17日に9,400円を割って9,351円で引けたのは当然の動きと考えられます。

ここから日柄調整が続くのか急落調整となるのか

9,400円を週の終値で割って引けましたので、本来ならば下放れとなって一段安となるところですが、薄商いの中、日銀のETFによる買い期待や日経225先物の買いによる買い支えが行われていますので、なかなかそうはなりません。一段安になるには、さらに世界の株式が一段安となるのを待つところですが、NYダウは6月末のQE2終了をそろそろ織り込んでしまっているとの見方もあります。今後、アメリカの経済指標の悪化によってはQE3という話も出ており、その場合は過剰流動性相場が続くことになりますので、NYダウが再上昇という展開になってきます。

1 1つ目のシナリオとしての日柄調整

日経平均の動きをみていると、これまでは9,400~9,800円の間で下値を9,500円→9,400円と切り下げており、6月17日は9,318円まで下げましたので今度は9,300円水準を守って反発となり、その後9,300円を切って9,200円水準へという動きも考えられます。こういう場合はどこが底なのかわかりにくく、NYダウの反発や円安方向の動きとなった時に反発し、後になって、あの時が底だったのかということになります。そのため、余裕のある人や多少リスクを取っていい人は、9,300円水準から(9,000円割れがあることを前提に)好業績銘柄が大きく下げていれば買い下がっていくところです。これは、日柄調整ということになります。

2 2つ目のシナリオとしての急落調整

相場環境は、世界的な景気減速、ギリシャの債務問題、アメリカのQE2の終了、国内では原発事故問題・政局不安など悪材料が事欠かないのに、下落幅はそれ程でもありません。しかし、9,400円を下に切ったあと、戻りが弱ければ9,400円が上値のフシとなって投資家心理が弱気に傾き、さらに、NYダウの一段安があれば9,000円水準まで急落する可能性も出てきます。または、政局のゴタゴタを嫌気して、管総理を辞職に追い込み挙国一致での復興対策を求める催促相場が起こり、急落してもおかしくありません。

本日は、前場は積極的な買いがないものの9,400円台を回復して△55の9,406円で引けましたが、後場になると、アメリカFOMCを6月21日(火)・6月22日(水)に控えていることもあり、上げ幅を縮小して△2.9の9,354円で引けました。今週は、早めに9,400円台を回復しなければ戻りもなく、下値確認の動きとなると考えられます。

(指標)日経平均

6月10日(金)は、SQ清算値が9,553円、終値が△47の9,514円とSQ値を下回って引けたことで、先週は経験則から軟調な動きが想定され、9,400円を終値で守れるかどうかに注目としました。

6月13日(月)は▼66の9,448円となりましたが、6月14日(火)は、原発賠償法案の閣議決定を受けて東電がストップ高となり△99の9,547円と反発しました。6月15日(水)は、前日のNYダウが大幅高となったものの△26の9,574円と小幅続伸となり、6月16日(木)は、NYダウの大幅下落を受けて▼163の9,411円と急反落となりました。週末6月17日(金)は、前場は9,400円を何とか守っていましたが、後場になると、対ユーロで円相場が113円台の円高となったことをきっかけに9,318円まで下落し、終値は▼59の9,351円となりました。

チャートの形としては9,400~9,800円のボックスを下放れした形ですが、日銀のETF買いに支えられ、また、日本の割安感での買いも入って急落とはならず、徐々に下値を切り下げる展開が続いています。日経平均が戻りを試す形となるには、柴田罫線では、引線の終値で9,534円以上となって短期の買転換が出現することが必要ですが、9,400円を早期に回復できなければ9,400円が目先上値抵抗帯となってしまいます。本日は、前場は9,400円を回復しましたが、大引けは△2.9の9,354円となりました。

日経平均

(指標)NYダウ

6月10日(金)のNYダウは、中国の5月貿易収支で輸出の伸びが鈍化したことで世界景気の減速懸念が広がり、▼172の11951ドルと3月18日以来の12000ドル割れとなり、2002年10月以来の8年10カ月ぶりの6週連続安となりました。6月14日は、5月の小売売上高が予想を上回ったことで△123の12076ドルと反発したものの、翌日6月15日(水)はすぐに反落して▼178の11897ドルとなり、ろく売という追加の売法則が出現しました。その後は、ギリシャ債務問題を巡る懸念が後退し、また、アメリカの経済指標の改善があって6月16日(木)は△64の11961ドル、週末6月17日(金)は△42の12004ドルと12000ドルを回復し、週足で7週間ぶりの反発で引けました。

チャートをみると、5月2日の12876ドルで高値をつけ、5月10日の12781ドルを二番天井にして5月17日に12479ドルで売転換が出現しました。この水準でもみあったあと、昨年8月27日の9936ドルからの上昇トレンド(B)を下に切って6月13日に11917ドルまで下落しました。ここから6月14日の12156ドルまで反発するものの戻り弱く、再下落となって6月15日に11897ドルでろく売出現となりました。その後、2日連続上昇となって12004ドルで引けました。このまま上昇して引線の終値で6月14日の12156ドル以上で引けると、買転換が出現して12381ドルを目指す動きとなります。そうでなければ、次の下値ポイント11613ドルを試す動きが想定されます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、81円近辺までの戻りが考えられるが、6月8日の79.694円が5月5日の79.561円に対する2番底になるには、5月31日の81.512円を引値で超える必要があるとしました。また、79.561円を守っていれば79.5~81円台でのもみあいが続くことになるともしました。

結局、6月13日(月)に80.123円までのドル売・円買いとなったあと、6月15日(水)に、対ユーロでのドル買いと5月小売売上高の強い結果から、81.055円まで買われました。しかし、週末6月17日(金)は、経済指標の悪化からドルが売られ80.018円まであって80.04円で引けました。80~81円の狭い動きとなりましたが、6月17日の引値80.04円で再び売法則が出現しました。今週は、80円を切った場合、5月5日の79.561円を守れるかどうかとなります。79.561円を切ると、先週も述べましたように、ストップロス(投売り)となって、まずは3月17日の引値78.874円を試す動きが想定されます。切らなければ79.5~81円のもみあいが続くことが考えられます。

ドル/円