先週NYダウに連動して日経平均は9,500~9,800円のボックスの下限接近

連休明けの先週は、連休中原油価格・金などの商品相場もNYダウも急落となり“原油価格急落の意味するもの”を考えると当面は上値の重い展開になるとしました。5月9日(月)は▼64の9,794円となって200日移動平均線を割ってスタートしたことで、下げを予感させるものでした。週明けのNYダウは原油価格が反発したことから、5月9日(月)は△45の12,684ドル、5月10日(火)は△75の12,760ドルと5月6日を入れて3日連続反発するものの、5月11日(水)に再び原油価格が100ドルを割ると、NYダウは▼130の12,630ドルの大幅反落となり、5月12日(木)は△65の12,695ドルの反発というように原油価格に左右される展開となりました。

NYダウに連動する日経平均は、5月10日(火)は△24の9,818円、5月11日(水)は△45の9,864円と2日連続で小幅の上昇となるものの、5月12日(木)はNYダウの大幅下落を受けて▼147の9,716円となりました。週末5月13日(金)は、NYダウが反発していたことで△35の9,751円で寄り付くものの、買い一巡後はすぐにマイナスに転じ、後場になると、枝野長官が「東京電力の事故で生じた財務内容に対して金融機関も協力を」とコメントしたことで債務放棄を要請されたものとして捉えられ、大手銀行が大幅下落となり、日経平均も一時160円を超す下げとなって9,555円をつけました。引けにかけては下げ幅を縮小し▼67の9,648円の大引けとなりました。この日のSQ清算値が9,758円でしたので、終値の9,648円は清算値を大きく下回り、翌週は軟調な展開が想定されます。

週末のNYダウは、ギリシャの債務再編への懸念に加えてポルトガルの1-3月期GDPが▼0.7%と2四半期連続のマイナスとなったことで高債務国への不安が高まり、NYダウは一時▼152の12,543ドルまであって▼100の12,595ドルとなりました。シカゴの日経225先物は9,590円となっていました。

4月19日の安値9,405円を切ると下値模索の動きへ

今週は、4月19日の安値9,405円を守れるかどうかが注目となります。先週末の終値は9,648円となって5月SQ清算値9,758円より大きく下回って引けています。そして、欧州で高債務国ギリシャ・ポルトガルの景気悪化から欧州全体の景気悪化懸念が生まれ、先週末のNYダウは▼100の12,595ドルで引けました。これを受けて、本日の日経平均は▼77の9,751円で寄り付き、寄前発表の3月機械受注が予想を大きく上回ったことで下値をサポートされ、終日9,500円台後半の動きとなって▼90の9,558円で引けました。

日経平均はNYダウ次第となっていますが、そのNYダウが商品相場の高値警戒感からの波乱に連動し、同じように高値警戒感から高値圏での大きな上下動が出てきています。要するに、強弱感が対立している状況を示しています。米国の超金利緩和策(QE2)が6月で終わりますが、そのまま金融緩和策は続くという楽観的な見方からNYダウが上昇するとみて、逆に6月で終わることで出口戦略がいずれ出てくるため、早めに商品市場や株式市場からリスクマネーが逃避しているという悲観的な見方があります。前者となれば、NYダウは再度高値挑戦となるでしょうが、後者であればいったん大きな調整が行われることになります。そのどちらになるかは今のところわかりません。

日経平均は、そのようなNYダウの強弱感がある中で、5月2日に10,017円まで上昇したあと、再び9,500(最大で4月19日の9,405円)~9,800円のボックス圏の中に入ってきていますが、まずは4月19日の9,405円を守れるかどうかとなります。引線の終値で9,405円を切ってくると再び売転換の形となって3月29日の9,317円を試す動きとなり、ここを切ると9,100円水準までの下げの可能性が出てきます。今回、9,100円水準を試さなくても3カ月以内には需給関係からその可能性が出てきます。

ここから8月いっぱいは弱気のシナリオも考えるところ

強気の材料としては、アメリカの金融政策は6月が終わっても金融引き締め(出口戦略)をすぐには行わないため、商品相場・アメリカ株式はしっかりしているという見方もあり、また外国人の日本株買いが続いていること、中国などの新興国への輸出は活発であるということ、震災の影響は数カ月で回復するということなどの強気の見方があります。

一方で、弱気の材料としては、この3カ月以内に日経平均の2月17日の10,891円の高値をつけたあとの信用期日が8月16日にやってきます。また、これだけの大震災が3月15日の8,227円の暴落で織り込んでしまったとは思えず、原発事故の対応もまだ不透明なままであり、日経平均の上昇はアメリカの超金融緩和による金余りにサポートされているだけであるという見方ができます。また。政局に絡んで、7月に成立させる予定の第二次補正予算の成立が9月以降にずれ込んでしまいました。

以上、大まかな強気の材料と弱気の材料をあげましたが、どちらのスタンスをとるべきかということになります。リスクを少なくチャンスを生かすスタンスからは弱気の立場をとるべきでしょう。それは、現在の相場の位置にあります。大底圏や安値圏であれば、強気の材料を重視することになりますが、すでにNYダウは昨年の7月2日の9,614ドルから5月2日の12,876ドルまで一方通行的に上昇し続けています。日経平均も3月15日の暴落時の安値から5月2日の10,017円まで短期間で21%強の上昇となっています。

(指標)日経平均

連休明けの先週5月9日(月)は、前週末5月6日(金)のNYダウが△54の12,638ドルと反発して引けたことを受けて△22の9,881円で寄り付くものの、主要企業の決算のピークとなっており、12年3月期の予想を見送る企業が多く、マイナスに転じて▼64の9,794円となりました。その後は、NYダウが3日連続の上昇となって5月10日(火)は△75の12,760ドルとなったことで、日経平均も前日の△24の9,818円に続いて、5月11日(水)は9,929円まであって△45の9,864円と2日連続の反発となりました。しかし、日経平均はNYダウ次第としていますように、5月11日(水)のNYダウは中国の金融引き締め懸念や原油価格が再び100ドルを割り込んだことから▼130の12,630ドルと大幅反落し、日経平均も5月12日(木)は▼147の9,716円となり、週末5月13日(金)も▼67の9,648円と続落しました。

本日5月16日(月)の日経平均は、先週末5月13日(金)のNYダウが▼100の12,595ドルとなっていたことで▼77の9,571円で寄り付きました。ただし、寄前発表の3月機械受注が予想の前期比▼8.6%を大きく上回る△2.9%となっていたことで下値はサポートされ、9,500円台後半の動きに終始し、大引けは▼90の9,558円となりました。このまま下げて4月19日の9,405円を終値で切ると売転換となって一段安となってきます。今週はこの9,405円を守れるかどうかが注目といえます。そうでなければ9,500~9,800円を基本とする動きが続くと考えられます。

日経平均

(指標)NYダウ

日本が連休中のNYダウは、5月4日(水)は▼83の12,723ドル、5月5日(木)は▼139の12,584ドルの大幅続落となりましたが、週末5月6日(金)は雇用統計が予想を上回ったことで△54の12,638ドルで引けました。先週5月9日(月)の分析で、チャートからは、本格調整になるには、このまま上下動して売りの形ができるか、それとも早い時期に12,201ドルを切ってくるかとしましたが、先週は上下動の動きとなっています。

週明け5月9日(月)は、急落していた原油が100ドルを回復したことでNYダウも△45の12,684ドル、5月10日(火)も△75の12,760ドルと3日続伸となりました。しかし、原油価格が再び100ドルを割り込み、中国の金融引き締めへの警戒感から▼130の12,630ドル大幅反落となりました。5月12日(木)は△65の12,695ドルと反発するものの、週末はギリシャの債務再編懸念に加え、ポルトガルの1-3月期GDPが2四半期連続のマイナスとなったことで欧州全体の景気悪化懸念から、NYダウは▼100ドルの12,595ドルで引けました。結局、高値圏で強弱感が対立して大きな上下動となっています。高値圏での株価の動きをみてみますと、5月2日に12,876ドルと2年11カ月ぶりの高値をつけ、5月5日に12,521ドルまで下落し、再上昇となって5月10日の12,781ドルまで反発し、再び下落となって先週末に12,595ドルとなっています。引線の終値で5月5日の12,521ドルを切って引けますと売転換が出現する形となります。逆に5月2日の12,876ドルを終値で超えると13,000ドルを試す形と思われます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週始めの分析では、目先は81円台はドルの上値が重くなり、逆に80円を下に切ってくると円売り介入の警戒感も出るところですので、80円台近辺でもみあって様子見となるところとしました。

結局、1週間を通してドルの安値が5月10日(火)の80.152円、高値が5月12日(木)の81.337円となって、週末は再びドル安・円高となって80.342円まであって80.843円で引けています。5月9日(月)はギリシャの格付け引き下げでユーロが売られ、リスク回避の円買いと米長期金利の低下によるドル売りが重なって80.183円までのドル安・円高となりました。ここからドルの買い戻しが入り、5月11日(水)には英国の利上げ観測でポンド主導の円売りが強まり、ドル/円もドルが買われ、円が売られる展開となって5月2日以来の81.318円の高値をつけました。5月12日(木)は81.337円まで買われるものの、欧州財政問題、商品相場の軟調からリスク回避の円高が進み、週末5月13日(金)はパキスタンでの自爆テロがタリバンの報復との表明を受けて円は一段高となり80.342円まであって80.843円で引けました。今週もリスク回避の円買いがドルの上値を押さえる可能性が高く、5月9日の80.183円を下値とし、5月12日の81.337円を上値とするボックスでのもみあいが続くことになりそうです。

ドル/円