2つのパターンを想定したが、結局NYダウの上昇(3月30日に12,350ドルで買転換)に引っ張られる

先週は、放射能問題の行方次第で日経平均は動くとし、戻りを試す場合と下値を試す場合の2つのパターンを想定しました。NYダウが上値を試す動きになれば、相対的に日本株式の出遅れ感が強まり、外国人買いに支えられて予想よりも大きな戻り(いずれ10,000円を試す)となっていくことが考えられるとしました。

その放射能問題ですが、3月28日(月)には放射能汚染の拡大を嫌気し▼57の9,478円と反落し、3月29日(火)には福島原発の敷地内からプルトニウムが検出されたことで飛散問題が深刻化して▼129の9,348円で寄り付くと、9,317円まで下落しました。しかし、後場になると円安傾向を買い材料に下げ幅を縮小して▼19の9,459円となりました。日足の形は、前日まで4日連続で小幅の黒(買いの型を含む)のあと、この日は長い陽線となりましたので買い線が出来上がったことになります。そして、タイミングよくNYダウが上値を試す動きとなり、為替が1ドル=82円台の円安となったことで△249の9,708円の大幅反発となり、3月31日(木)も△46の9,755円の続伸となりました。週末4月1日(金)は、アメリカのこれまでの金融緩和(QE2)が6月を待たずに終了するという思惑からドル買いが進み、83円台の円安となってきたことで、日経平均は寄り付き直後に9,805円まで上昇しましたが、200日移動平均線(9,820円近辺)に押さえられ、引け後に米雇用統計を控えていることもあって▼46の9,708円となりました。

今週も上昇基調だが、大きな上昇は為替次第…まずは9,820円水準を突破できるか

先週末4月1日(金)のアメリカ市場では、雇用統計で3月の非農業部門雇用者数が△21.6万人と、市場予想の△19.0万人を上回って2010年5月以来の大幅増となったことや、失業率も8.8%(予想8.9%)となり、さらにFRBの幹部による「金融緩和の見直しへの慎重姿勢」があったこともあり、一時12,419ドルと2月18日の年初来高値12,391ドルを更新し、終値は△56の12,376ドルで引けました。為替も景気回復期待から米金利が上昇し、ドル買いとなって一時84.73円と当面の大きなフシとなっていた昨年11月29日の84.394円、12月15日の84.481円のダブル天井となっていたところを上に抜きました。しかし、引けでは84.010円となりました。これでは、まだ完全にドルの上放れ(円の下放れ)とはなっていません。円の下放れになると、86円近辺までの円安が想定されますが、それには、日本市場の引け値で12月15日の84.481円をドルが上に抜ける必要があります。ドル売りポジションがたまっていたら、踏み上げて引け値でも84.481円を抜けているところですが、そうはなっていなかったというところです。そうなると、目先は84.481円を日本市場の引け値で突破するには、もう少しもみあいが必要かもしれません。

日経平均は、2月24日から3月10日までもみあっていました。そこに、3月11日(金)の大地震発生で下放れとなり、3月15日の8,227円まで急落しましたが、その後、3月22日の終値9,608円(前日比△401)まで急反発し、日足で4日連続の黒となったあと切り返し、4月1日(金)には9,822円まで上昇して三分の二戻し水準まできました。上昇ピッチが早すぎるという見方もありますが、円安に支えられて今週はもう少し戻りを試しそうです。ただし、為替が日本市場で84.481円以上の円安にならなければ大きな上昇は期待できません。また、これまでの上げ方をみていると、上げ幅を縮小する形になっていく可能性もあり、その場合は上値が重たくなっていきます。原発問題の長期化、中東情勢問題など悪材料にもかかわらず、日経平均は現時点でテクニカル的にはチャートをみても悪くありません。NYダウの上昇と円安傾向がサポートしているためかもしれません。日経平均は、まだ戻りを試すとしても、どこで悪材料が顕在化するかわかりませんので、買う場合は損切りを設定しての短期売買に徹し、基本は保有株の戻りを待って手仕舞いをし、キャッシュ化することといえます。

本日は、NY株高と円安を受けて△65の9,773円で寄り付くものの、9,803円まで上昇すると200日移動平均線(9,820円)に上値を押さえられ、円安が一服すると伸び悩んで△10の9,718円で引けました。

(指標)日経平均

3月25日(金)は△130の9,565円で高寄りするものの、原発問題が重石となって上げ幅を縮小し、△101の9,536円で引けました。先週は、上値を試す場合と下値を試す場合の2パターンを想定し、NYダウが高値を試す展開となれば、出遅れ感から外国人が日本株を買ってくるとしました。3月28日(月)は▼57の9,478円、3月29日(火)は▼19の9,459円と放射能汚染問題を嫌気して下落するものの、3月30日(水)は、前日のNYダウが高値を試す動きとなると同時に、83円近辺までの円安となったことで、△249の9,708円と大幅高となりました。すでに、日足でみると買いの形となっていたことで、タイミングのよいキッカケとなり、3月22日の9,625円の戻り高値を上に抜けて一段高となりました。週末4月1日(金)は、9,822円と200日移動平均線(9,820円)に到達しましたが、突破できず▼46の9,708円で引けました。注目の米雇用統計が予想を大きく上回ったことで、一時年初来高値を更新し、為替も一時当面のドルの上値のフシだった昨年11月29日の84.394円、12月15日の84.481円を突破しましたが、引け値では84.010円でした。

日本市場で昨年12月15日の84.481円を突破できなければ、ドルの上放れ(円の下放れ)とはなりません。本日は9,803円まで上昇するものの、円安一服となっていることで材料不足から上げ幅を縮小し、△10円の9,718円で引けました。チャート的には、上を目指す形ですが、まずは4月1日の9,822円を終値でいつ抜くかに注目となります。

日経平均

(指標)NYダウ

3月25日(金)は、10-12月期GDP確定値が前月比△3.1%と改定値より△0.3%上方修正したことや、好調な企業決算を受けて△50の12,220ドルで引けました。

先週は、高値でのボックス圏(C)(12,058~12,288ドル)を回復し、同時に昨年7月2日の9,614ドルからの上昇トレンド(B)にも復帰してきたことで、次はボックス(C)の上限値12,288ドルを抜けるかどうかに注目としました。3月28日(月)は▼22の12,197ドルと一服しましたが、3月29日(火)は△81の12,279ドル、さらに、3月30日(水)は、3月ADP雇用統計で民間部門雇用者数が増加していることで、一時△104の12,383ドルとなって、2月18日の年初来高値12,391ドルに接近し、終値は△71の12,350ドルとなって買転換が出現しました。

3月31日は▼30の12,319ドルと一服するものの、週末4月1日(金)は注目の雇用統計で3月非農業部門雇用者数が予想の△19.0万人を大きく上回る△21.6万人となったことで一時12,419ドルまで上昇して年初来高値を更新し、終値は△56の12,376ドルとなりました。これで、当面は一服入れながらも上値を試していくか、もしくは、高値圏でのもみあいとなっていくかとなります。FRBの6月までの量的金融緩和(QE2)について、出口戦略を考えるべきだという意見と、まだ早すぎるという意見が対立してきていることは、注意が必要です。

NYダウ

(指標)ドル/円

3月25日(金)に81.355円でドルの買転換が出現したことで、先週は戻りを試すとしましたが、目先は82円水準以上は上値が重いとしました。しかし、3月29日(火)には欧州市場で利上げ観測が高まり、ユーロが買われて円安となったことで、ドルに対しても82円台の円安となりました。さらに、3月30日(水)はダラス連銀総裁が「6月以降の金融緩和に反対する」と発言したことで、米国の「出口戦略」が意識され、83.180円までドルが買われました。週末4月1日(金)は3月雇用統計で非農業部門雇用者数が21.6万人増(予想19万人)となり、失業率も8.8%(予想8.9%)となったことでドル買いが強まり、一時84.730円をつけて、当面の上値のフシとした昨年11月29日の84.394円、12月15日の84.481円とダブル天井となっていたところを突破しました。その後は利食い優勢となって84.010円で引けました。引け値で12月15日の84.481円を抜けなかったことで、ドルの上放れ(円の下放れ)とはなりませんので、円安トレンドはまだハッキリした形とはなりません。基本的には、日本市場で12月15日の84.481円をドルが上に抜けるドル高・円安となる必要があります。それまでは、84円前後のもみあいとなるかもしれません。

ドル/円