先週は、大暴落のあとリバウンド相場へ

先週3月14日(月)のメッセージでは、中期スタンスの人にとっては買チャンス到来であるが、目先は短期リバウンド狙いとしました。前週末3月11日(金)の後場の大地震で大引けにかけて下げ幅を拡大し▼179の10,254円となって三角保ち合いを下放れし、柴田罫線で売転換出現となりました。大地震は予想を超えるマグニチュード9.0というもので、3月14日(月)は▼633の9,620円の暴落となりました。私はリスクを取れる人は短期リバウンド狙いができるとして、最大で8,500円を想定し、推奨銘柄5銘柄の買ポイント(2)にこの水準の待ち伏せ価格を設定しました。もちろん、このような株価はまず出ないだろうと考えていましたが、翌日3月15日(火)は福島原発事故が放射能漏れという最悪の事態に発展し、一時▼1,392の8,227円まであって大引けは▼1,015の8,605円となり、終値ベースでは買ポイント(2)の中に収まりました。翌日は△563の9,168円まであって大引けは△488の9,093円となり、5銘柄のうち4銘柄は買ポイント(2)の利食いポイントに達しましたので、ここで利益確定しなければなりません。今週は、さらに上昇することになりそうですが、それは結果に過ぎません。多分、今回の銘柄は誰も買えていないと思います。ここでは大暴落には短期リバウンドのチャンスがあり、リスクをとれる人はそのチャンスをものにすることができるという事例として考えてもらえばいいと思います。

3月17日(木)は、為替がアメリカ市場で16年ぶりに一時76円台の市場最高値更新となったことで、日経平均は一時▼454円の8,639円まで下落するものの、G7緊急電話会議が行われるとの報道で79円台の円安となったことで△131円の8,962円と下げ幅を縮小しました。そして、週末3月18日(金)はG7で日銀の介入を容認することを合意できたことで、為替が1ドル=81円台の円安となり、原発事故も改善方向になることで△244の9,206円で引けました。

情報はいつも一方的に偏りすぎる…外国人投資家の日本株買い継続

先週のニュースをみていると、欧米の原発関係者は悲観的な見方が多く、東京に住む外国人は東京から離れるか帰国するかの動きとなっていました。情報というものは、絶えず楽観論と悲観論があり、悲観論に傾いた時には極端な悲観論が出てきます。現実は、その中間くらいかもしれません。外国人投資家はリスクに敏感ですから、寄前の外国人の売買動向をみてみますと、3月14日(月)こそ550万株の売り越しでしたが、3月15日(火)は210万株の買い越し、3月16日(水)は2,070万株の買い越し、3月17(木)は3070万株の買い越し、3月18(金)は2,530万株の買い越しとなっていました。もちろん、空売りの買戻しも含まれているでしょうが、必ずしも悲観的にはなっていないと思われます。昨日のNYダウは、△178の12,036ドルと12,000ドルを回復しましたが、その背景に、バフェット氏が「日本株を買うチャンス」の見方を示したことや、大型買収の発表を好感したことがあると考えられます。

今週はリバウンド相場が続く…確実に手仕舞い優先を

先週末3月18日(金)のメッセージで、日経平均は△244の9,206円となって柴田罫線で短期の買転換が出現したことで、当面の原発事故の改善を読み込んだことになり、今週はリバウンド相場が続くとしました。連休明けの本日3月22日(火)は、昨日のNYダウが12,000ドル回復となったことや寄前外国人投資家の5,770万株という大幅買い越しを受け△196の9,403円で寄り付くと、9,565円まで上昇し、その後は高値圏のもみあいとなって前場は△270の9,477円で引けましたが、後場になると、復興需要期待で低位株にも資金が向かい、ジリ高となって、大引けは△401の9,608円となりました。

もみあいを下放れした大暴落ですから、当然売られ過ぎのリバウンドが起こります。特に、3月28日の配当権利取り最終日に向けての堅調な動きが想定され、そのまま上昇が続くのではないかと思う局面があるかもしれません。しかし、そういう期待は今回は持つべきではないと思われます。東日本大地震の全体的損失はまだわからず、計画停電による消費の落ち込みなどを考えると、日本のGDPが下方修正されるのは間違いありません。1回目は大地震と原発事故という悪材料で投資家心理が極端に悪化し、投げ売りが相次いで、3月15日(火)は一時▼1,392の8,227円で大引け▼1,015の8,605円の大暴落となりました。現在、ここからのリバウンドに入っており、戻り終えれば(最大で3月28日の配当権利取り最終日までか?)、2回目は悪材料(損失の実体、日本の景気悪化の程度)を消化する(織り込む)ための下落となって2番底を探るのが普通です。ただし、その2番底の程度は、日銀の円高阻止や政府の被災地復旧・復興のための補正予算の程度にかかっています。予想を超える補正規模であれば、株式市場は再上昇となる可能性は高いと思います。

原発事故の処理がスムーズに解決に向かえば、株式相場の上昇は政府・日銀の政策次第となってきます。補正規模を小出しすれば催促相場が起こって下落が続くことになります。アメリカ発の金融緩和で金余りが続いている間(NYダウが12,000ドルを回復してきたのも金余りの結果)に大きな補正予算を出して上昇トレンドに復帰させることができるかどうかにかかっています。しかし、今の政府では、難しいように思えます。今は、あくまでも大暴落あとのリバウンド相場となっていますので、冷静に日本経済を評価することになれば、マイナス成長となる部分を織り込む動きになるのは間違いありません。そう考えれば、目先のリバウンド相場では、多少損切りをしてもキャッシュ化しておけば、次の下げでチャンスを得ることになると思います。日経平均が10,000円に接近するような局面があれば空売り有利になってくると考えられます。

(指標)日経平均

3月11日(金)は、東日本大地震を受け、大引けにかけて一段安となって▼179の10,254円で引けました。週明けの3月14日(月)は、福島第1原発3号機が水素爆発を起こしたことで▼633の9,620円の暴落となりました。この時点では9,200円を下値ポイントとしていましたが、放射能漏れという最悪の事態になったことで、3月15日(火)は一時▼1,392の8,227円までの大暴落となり、大引けでも▼1,015の8,605円と戦後3番目の下落率(▼10.55%)となりました。3月16日(水)は△488の9,093円と反発し、翌日3月17日(木)は▼131の8,962円の反落となりました。しかし、週末3月18日(金)は、G7緊急電話会議で、日銀の円高を阻止するための為替介入を容認することが報道され、1ドル=81円台の円安となり、また、原発事故への対応も改善の方向へ向かったことで、△244の9,206円となって短期の買転換出現となりました。3連休中に原発事故処理への対応が進んだことや、大型M&Aを受けて、アメリカ株式が昨日(3月21日)△178の12,036ドルとなったことで、本日3月22日(火)の日経平均は△401の9,608円の大幅上昇となりました。3月18日(金)の分析では、3月14日(月)の9,620円を試す動きになるとしましたが、9,625円まであって大引けは△401の9,608円となりました。NYダウが12,000ドル台となったこともあり、1日で3月14日(月)の9,620円に到達しました。ここからは、上値が重たくなるところです。NYダウが上昇し、円安が進めば10,000円接近もありますが、現時点では9,700円台が上値ポイントとなります。

日経平均

(指標)NYダウ

3月10日(木)に11,984ドルで2度目の売転換が出現し、翌日3月11日(金)に△59の12,044ドルとすぐに12,000ドルを回復しましたが、この12,000ドルの回復を守れるのは難しいとしました。先週は、結局、日本の大地震をキッカケに下放れし、3月16日(水)は、EUのエネルギー担当委員が福島の原発に対して「制御不能」と発言したことで、▼242の11,613ドル(ザラ場安値11,555ドル)の大幅下落となりました。しかし、3月17日(木)は、日本の原発事故の対応が進んでいることや、3月フィラデルフィア連銀製造業指数が1954年以来の高値水準となったことで△161の11,774ドルの反発となり、週末3月18日(金)も△83の11,858ドルの続伸となりました。

そして、日本市場が休場の3月21日(月)は、日本の原発事故の状況改善がさらに進んだことやバフェット氏が「日本株は買チャンス」との見方を示したこと、及び大型買収のニュースを好感して△178の12,036ドルと12,000ドルを回復してきました。ただし、12,000ドル台での1ヶ月近いもみあいのあとの下放れですので、そのまま2月18日の12,391ドルの高値を抜く動きにはならないとみています。12,000ドル前後でもみあって再下落となり、3月16日の11,555ドルを試す動きも想定されるところです。ただし、再度上値を試すには、引線の終値で12,234ドル以上となって、買転換となってくることが必要です。

NYダウ

(指標)ドル/円

3月11日(金)は、東日本大震災の発生で、過去の阪神大震災の経験からドルが急騰したことで、ひとまず円を買う動きになって81.927円のドルの売転換となりました。この時点では、三角保ち合いの下値サポートラインで止まっていましたが、3月2日の81.574円を切ると三角保ち合いの下放れとなって80円を試す可能性があるとしました。その場合、日銀が円高阻止を明確にするかどうか注目としました。

3月14日(月)時点の分析

3月15日(火)までは、80円台を守っていましたが、3月16日(水)にはEUのエネルギー担当委員が福島第1原発に対して「事実上、制御不能」と発言したことで、NYダウが急落し、ドルが売られて79.769円と80円を割り込みました。3月17日(木)は、リスク回避のパニック的な買いで79.00円を切るとストップロスを断続的に巻き込んで一時76.825円と史上最高値を更新し、引けは78.874円でした。

3月18日(金)は、朝方のG7の緊急電話会議で協調介入を行うことを発表すると、円売り・ドル買いが強まり、82.00円まであって、引けは80.649円となりました。今週は、さらなる日銀の介入がなければ、80~82円が基本的な動きとなります。円安介入があっても、3月11日の83.292円を抜けるのは、目先難しいかもしれません。

ドル/円