悪材料出現で大幅安

先週は、アメリカで経済指標の発表があることから景気回復が確認されれば、為替が円安方向へ動き日経平均の上昇も期待できるものの、そうでなければ高値圏のもみあいとなって、良い材料か、もしくは悪い材料かはわかりませんが、材料待ちとしました。日米共に中東情勢でのネガティブな材料を無視して上昇してきていますので、何らかのキッカケでこの悪材料を織り込む動きが出てもおかしくないとしました。そうなったら、絶好の押し目買いのチャンスとなるのが現在の過剰流動性相場であるといえます。ただ、日本の場合はこの1ヶ月に関しては管首相の進退をめぐる政局がらみですので、もみあい相場が想定されるところであり、為替が円安に大きくふれた場合のみ上値を目指すことができるとしました。何らかの材料待ちとしていましたが、悪材料続出となりました。2月21日(月)に、リビア情勢の緊迫化で日経平均は▲192円の10,664円となり、2月22日(火)は、さらにリビアのデモが激化し、ニュージーランドの大地震など地政学リスクからNYダウは▲178ドルの12,212ドルの大幅下落となりました。2月23日(水)は、NY原油先物が一時100ドル台のせという2年4ヶ月ぶりの急騰となり、NYダウは▲107ドルの12,105ドル大幅続落でした。2月24日(木)の日経平均は、サポートラインとみられていた25日移動平均線(この時点10,550円)をアッサリ割り込み、▲126円の10,452円で引け、為替は一時81円96銭の円高となりました。週末は原油価格が一服したことで、NYダウは▲122ドルの11,983ドルから下げ幅を縮小して▲37ドルの12,068ドルとなっていたことで、日経平均は△144円の10,526円と4日ぶりの反発で引けました。

中東情勢は、ここ1週間くらいの間にエジプトに続いてリビアも倒れるのかどうか注目となります。カダフィ大佐の終わりも近付いていることは間違いないように思われますが、次にサウジアラビアに波及するのか、それともサウジは何とか踏ん張るのか、予断を許さないところです。もしサウジに波及すれば、NY原油は100ドルをさらに大きく超えて上昇することになります。チャートが先見性があるとするならば、今のところNYダウ、ナスダックには急落線などは出ていません。過剰流動性相場の上昇過程の中の1つの局面とみることもできます。

今週はカダフィ政権の行方・雇用統計に注目

先週末2月25日(金)のアメリカ市場は、リビア情勢の緊迫が伝えられる中、原油先物価格の上昇が鈍ったことや、2月のミシガン大学消費者信頼感指数が約3年ぶりの高水準となったことで、前日までの大幅下落もあり、NYダウは△61ドルの12,130ドルと4日ぶりの反発となりました。

基本的には、大きな下落があっても中長期的には上昇が続いていますので、下げたところは押し目買い有利といえます。というのは、現在が下降トレンドであるとすれば、今回の中東のドミノ倒しのような政情不安や、そこからくる原油先物価格の急騰などの悪材料であれば、とっくに暴落のような下げがあってもおかしくないところです。そうならないのは、過剰流動性相場によって中長期トレンドが形成されており、これがある時点で業績相場へ移行できれば、この中長期トレンドは続くことになります。

今週は、アメリカでは毎月恒例の雇用統計という重要イベントがあり、その前にバーナンキ議長の議会での半期の報告があります。ここでアメリカ経済の回復が確認できるのかどうかとなります。また、目先的にはカダフィ政権がいつ倒れるのかが原油価格とからんで大きな材料となるのではないでしょうか。株式市場は、カダフィ政権が倒れることを前提にもみあい状態に入っているようにみえます。日経平均は、オプションからはSQ1週前の攻防となりますので、週末に向かってプット(売り)、コール(買い)のどちらに有利で終わるのか注目となります。

為替からみると、円高局面も終わりに近付いており(ただし、81円を切るとロスカットで一段の円高)、三角保ち合いのような動きになったあと円安方向への動きとなっていくのかもしれません。

本日の日経平均は、寄り前の1月の鉱工業生産が予想を下回ったことや81円台後半への円高進行で、前場は▲65円の10,461円で引けました。しかし、後場に入ると、アジア株高を受けて、先物主導の買戻しで△97円の10,624円の大引けとなりました。

(指標)日経平均

先週は、アメリカ経済指標次第では、円安になって上値を試す可能性を想定する一方で、日米共に悪材料を無視して上昇していることで、キッカケ次第ではいつ下落してもおかしくないとしてきました。先週は、悪材料が出てしまいました。リビアの政情の緊迫化と北海原油の急騰、またNY原油の2年4ヶ月ぶりの一時100ドル台のせ、さらにドル売りからの82円台前半への円高と外部環境が一気に悪化しました。2月22日(火)に▲192円の10,664円、2月23日(水)に▲85円の10,579円、そして、2月24日(木)は25日移動平均線(10,550円)をアッサリ切って▲126円の10,452円で引けました。柴田罫線では、下値ポイントの10,464円を下回りましたので、窓を埋めてしまった形となり、調整が少し長引くことになります。次の下値ポイントは10,237円ですが、先週末2月25日(金)は△74円の10,526円と反発して引けました。

本日(2月28日)の日経平均は、前場は▲65円の10,461円でしたが、後場になると、アジア株高を受け、円高にもかかわらず先物主導の買い戻しで△97円の10,624円で引けました。今週はSQ1週前のオプションの攻防ですので、週末に向けて高く終わるか安く終わるかに注目となります。10,400~10,800円のもみあいを想定。

日経平均

アメリカ市場が休場の2月21日(月)はリビア情勢が緊迫化し、ニュージーランドでの大地震など地政学的リスクの高まりからリスク資産を引き上げる動きが高まって▲178ドルの12,212ドルとなりました。翌日2月23日(水)は、リビアの生産体制が大きく影響を受けるという思惑から、原油価格が一時5年4ヶ月ぶりに100ドル台にのせたことで世界的インフレ懸念が高まり、▲107ドルの12,105ドルの大幅続落でした。2月25日(木)は、経済指標の悪化から一時▲122ドルの11,983ドルまで下落するものの、IEAがリビアの供給停止分は補えるとのコメントから下げ幅を縮小し、▲37ドルの12,068ドルとなりました。ナスダックは△14Pの2,739Pの反発でした。

チャートでは、1月28日の10,803ドルを切らなければ、今のところ問題はありません。リビア情勢とその後の他国への波及を見定めようという動きから12,000ドル水準でのもみあいとなる可能性があります。先週末(2月25日)は、原油価格が落ち着いたことや欧州株式の大幅反発、さらに2月のミシガン大学消費者信頼感指数が予想を上回ったことで△61ドルの12,130ドルで引けました。今週は、バーナンキ議長の半期の報告、週末の雇用統計がありますが、大きな注目はカダフィ政権がいつ倒れるかということでしょう。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、2月17日(木)に83.304円でドルの売法則(短期の売転換)が出現したことで、そのまま上値を試すことなく83~84円のもみあいを想定しました。しかし、リビアの緊迫化、ニュージーランドの大地震、原油価格の急騰からドル売りが進み、一段のドル安となりました。

8月22日(火)は83.437円までドルが買われたあと、ニュージーランドの大地震発生、リビア情勢の緊迫化から92.595円まで下落しました。2月24日(木)になると、NY原油価格が一時1バレル=100ドルを突破(103.41ドル)したことで、原油高を受けた世界的な景気減速懸念を背景にNYダウが下落し、ドル売りが進み、さらに長期金利が下がることでドル売り・円高が81.625円まで進みました。週末2月25日(金)は、国債利回りが低下した上に「米GDP改定値」が下方修正となり、81.641円まであって81.672円で引けました。

チャートをみると、昨年11月29日の84.394円、12月15日の84.481円をダブル天井、今年1月3日の80.927円、2月4日の81.128円をダブル底とした81~84円台のボックス相場の動きとなっています。この中で、2月16日の83.953円の高値をつけて、再び81円に接近する動きとなりましたので、このままもう少し下げて三点底のような形になる可能性もあります。

ドル/円