今週は4段の縮小型の上げ方の一区切りを目指す途中

12月20日(月)の予測では、今週は4段の縮小型の一区切りとなるかどうかとしました。12月10日(金)のSQ清算値10,420円が大きな上値のフシとなり、その下にこの日の日経平均の高値10,373円もフシとなっていることで、前週12月13日(月)の予測では“11月2日の9,123円からの上昇の仕方が4段の縮小型となって一区切りのパターンも”としました。しかし、この週は想定通り一服となったものの狭い範囲の横もみで終わりました。そして、12月20日(月)にアイルランドの格下げからの欧州不安で一時10,182円まで下げて、終値が▲87円の10,216円となったことで、今週は4段の縮小型の上げ方の一区切りになるかどうかとしたわけです。

しかし、翌日12月21日(火)は前日の下落が朝鮮半島情勢に絡む地政学リスクを含んでおり、その朝鮮半島情勢が落ち着いたことで△154円の10,370円と大幅反発しました。そして、この日の引け後のアメリカ市場でNYダウが△55ドルの11,533ドルと年初来高値を更新したことで、12月22日(水)の日本市場前場は10,394円まであって△5円の10,376円と12月10日のSQ日につけた高値10,373円をわずかに超えました。しかし、後場には利益確定売りに押され、終値では▲24円の10,346円となって10,373円を突破できませんでした。

休日明けの12月24日(金)は、アメリカ市場はしっかりしていたものの、欧州財政問題が再燃したことでユーロが大きく売られて1ユーロ=108円台となり、つれてドルも一時82円台の円高となったことを嫌気して▲70円の10,275円で寄り付くと、その後は方向感のない上下20円ほどのもみあいとなり、終値は▲67円の10,279円となりました。

日経平均の本格上昇はNYダウの調整待ちか

日経平均の下値は予想以上に堅く、25日移動平均線(現時点で10,193円)近辺までの下げが1つのポイントですが、当初想定した1万円までは下がらないように思えます。日経平均は4段の縮小型の上昇の一区切りとしていますが、10,100円台に入ってくると一応の区切りとみることもできます。日経平均の動きは為替にかかっているため、円安に大きく振れてこなければ本格上昇は難しいといえます。そのポイントが1ドル=84円48銭なのですが、まだ82円50銭~84円50銭のボックス相場となっており、この中で11月29日の84円39銭、12月15日に84円48銭のダブル天井となっており、今度は12月7日の82円33銭に対する二番底を改めて確認するのかどうか(現時点では12月14日の82円83銭)となります。昨日は海外で82円85銭までの円高となっています。

そうなると、このボックスの中でダブル底とダブル天井が出来上がることになり、どちらか放れた方に大きく動くことになります。しかし、世界的な株高の中で日本だけが出遅れているというのは不自然であり、海外(特に欧州とアメリカ)の株式の上昇が続いているため、必ず再び出遅れ修正の買いが出てくることになります。その場合は、NYダウが一服するタイミング(その場合はドル高となる可能性)で日経平均の上昇が始まるとみています。今回は、NYダウと日経平均は連動するというより、為替が絡むので逆の動きとなる可能性が高いといえます。つまり、NYダウの一服→ドル高・円安となって、為替はボックスのドルの目先の上限である84円48銭を上放れて86円を目指す動きになり、日経平均も10,420円を上に抜けるというシナリオです。

これまでは、株は翌年に持ち込むなということで手仕舞い優先のアドバイスでしたが、今回に限っていえば、目先調整があれば好業績の出遅れ株の押し目買いを実行して、持ち越してもよいでしょう。ただし、年末に向けて上昇し、大商いとなったような銘柄は利食い優先となります。

今週も10,200~10,400円のボックス圏の動きで終わりそうですが

中国人民銀行は、アメリカがクリスマスで休場のタイミングに0.25%の追加の金利の引き上げを発表しました。利上げは2年10カ月ぶりの実施となった10月20日以来となります。物価抑制への決意を示すと同時に、不動産価格の上昇を抑える狙いもあります。アメリカを中心とする先進国の低金利政策でだぶついた資金が中国国内に流れ込んでいるということがあり、FRBの11月の量的緩和策の第2弾の決定が、さらに資金流入を加速させています。しかし、利上げはアメリカなどとの金利差拡大に繋がって、海外からの資金流入も加速させる恐れもあり、今後難しい局面となっていきます。中国の株式市場はすでに調整に入っており、この利上げ発表でどう動くのか注目となります。つまり、目先材料出尽しで上昇していくのか、それとも更なる追加利上げを織り込んで下げるのかということへの注目です。

結局、本日の日経平均は、注目の上海株式が反発したことで、円高にもかかわらず先物主導で上昇し、12月10日(金)のSQ日の高値10,373円に絡んだ動きとなって、終値は△76円の10,355円となりました。外国人が参加していない超閑散相場の中での上昇ですので、上値を試すという状況ではなく、10,200~10,400円のボックスの上限に動いたにしか過ぎません。25日移動平均線(本日10,193円)を少し下回るくらいの下げがあれば4段の縮小型の上げ方の一区切りとなり、再上昇のためのベースが整うことになると思われます。

来年の見通し

2011年6月頃までは強気のスタンス

日本株式の水準訂正始まり、強気の見方へ

9月1日に8,796円の安値をつけて以降、日本株式は欧米株式に比べての出遅れ感からいずれ1万円を試す動きになるとしてきましたが、予想よりも早く1万円を突破してきました。わずか3カ月間で14%も上昇している計算になります。東証1部全銘柄の時価総額は12月8日時点で約5カ月ぶりに300兆円台を回復しています。こういう状況を受けて、証券会社は2011年の日経平均株価予想では強気な見通しがほとんどで、予想幅は9,500~13,000円となっています。来年度の税制改革で法人税の5%減額や、証券優遇税制の2年間延長が決まったことも強気の一因です。全員が強気になった時は「みんなで渡れば恐くない」という心理もあって予想以上の上昇もあり得ますが、その後は暴落という経験則がありますので、このことを念頭に置いておく必要があります。

強気の背景はFRBによる6,000億ドルの追加の量的緩和

リーマンショック以降、アメリカは大型の財政投資や金融政策を実行し、ドルを刷りまくりました。しかし、景気は一向に回復せず、ドルは投資先を求めて新興国に向かい、その国の株価を上昇させ、さらに金・石油など商品相場にもドルが大量に流入して価格を押し上げています。アメリカはドルを垂れ流すことでドル安による輸出企業の業績を回復させ、それをアメリカ経済の回復に結びつけようとしています。確かに、企業業績は急激な回復となっていますが、住宅価格や失業率は回復せず、本格的な景気回復にはまだまだというところです。そこで、FRBは2010年11月3日に、2011年6月まで6,000億ドル(約50兆円)の量的緩和第2弾を行うことを決定しました。これは、2011年6月までの間に、毎月国債購入などの形で市場にドルを投入する計画です。この量的緩和によって投資家や実業家にリスク選好の機運が広がり、アメリカの国債は売られやすい環境となり、アメリカの長期国債利回りが上昇します。そうなると、日米利回りの格差が拡大し、これまでのドルキャリートレードから円キャリートレードの流れが生じる可能性があります。この流れでは円安に振れやすくなります。一方、このアメリカの量的緩和がそれほど効果なく、アメリカ国債が上昇して利回りが低下すると日米金利差が縮小し、80円を切る円高の動きとなれば、日銀の円高阻止(恐らく量的緩和)が入り、当面は80円水準を突破する円高にはなりにくいといえます。つまり、為替は1ドル=80~90円の動きが2011年6月までは想定されるところです。

為替の動きからみた日経平均の予測

目先は、ドル月円相場は82.50円(正確には12月7日の82.336円)~84.50円(正確には12月15日の84.481円)のボックス圏の動きとなっており、この中でのもみあいのあと、ドルの上放れとなって9月7日の85.92円(政府・日銀が介入した時の値段)を試す動きを想定しています。そのような円安となれば、日経平均は、ドルが上に抜ければ円安進行となって12月10(金)のSQ清算値10,420円を突破し、10,800~11,000円を試す動きとなります。9月7日の85.92円水準では11,000円を当面の目標とすることができ、さらに円が86円を突破する動きとなれば、日経平均も2009年の年初来高値11,408円を試す動きが想定されるところです。今回の日経平均の上昇は円安がどこまで進むかにかかっており、日経平均を13,000円と予想する証券会社は為替が90円を超える想定をしていることになります。もしくは、為替が80~90円の間であっても、金融相場から業績相場へ移行していくという想定もあるのかもしれません。私も、2011年の前半は、強気でいいと思っていますが、2011年6月でFRBの量的緩和が終わるとすれば、相場は先取りして動きますので、4~5月にかけてピークとなる可能性があります。4月まで相場が強ければ(もちろん途中で調整がありますが)、連休前にはキャッシュ化するといういつものルールを実行すれば、リスクを回避できると思われます。

ただし、前半強気といっても不安要因は欧州の財政問題、北朝鮮問題、さらに中国の利上げ姿勢(12月25日に0.25%の追加利上げ)が明確になってきており、世界経済の景気懸念を生じさせますので、絶えず注意を払っておく必要があります。

2011年後半は再び円高のシナリオを想定

現在、世界中で自国の通貨を安くすることで輸出を通じて国内の景気を立て直そうという動きが起こっています。つまり、通貨安戦争です。その第1がアメリカであり、明らかにドル安を容認して景気回復を狙っているため、日本は円高・デフレになりやすい環境に置かれ続けることになります。日本は、アメリカの経済と政策次第だといえます。ドル/円のチャート分析によると、過去2回の円高トレンドで、ともに円に対してドルが半値になるまで円高が進行しています。例えば、1971~1978年(円高第1波)では、1ドル=360円→1ドル=180円と二分の一になっています。また、1985~1988年(円高第2波)では1ドル=260円→1ドル=120円と約二分の一となっています。つまり、本格的な円高であれば、今回の出発点が2007年6月が1ドル=124円ですので、約二分の一とすると62円となりますので、最終地点は60~70円くらいと予測されます。ということは、史上最高値79.75円に接近した11月1日の80.21円は通過点とみることができます。時間はかかっても、いずれここを突破する円高となることがチャートから予測されることになります。

(指標)日経平均

12月13日(月)の週は、12月10日(金)のSQ清算値10,420円と、日経平均の高値10,373円を目先のピークに一服となり、週末の12月17日(金)は10,303円で引けました。先週は、円が12月15日の84.48円を抜けなければ10,200~10,350円のもみあいを想定し、4段の縮小型の上げ方の一区切りとなるかどうかとしました。

結局、12月20日(月)に欧州財政問題と北朝鮮情勢を受けた地政学リスクから一時10,182円まで下落し、終値は▲87円の10,216円となりました。しかし、翌12月21日(火)は両方とも落ち着いたことで△154円の10,370円と反発しました。12月22日(水)は、一時10,394円と12月10日の高値10,373円を更新する動きとなりましたが、終値では▲24円の10,346円となり、休日明けの12月24日(金)は欧州財政問題が再燃して▲67円の10,279円で引けました。週明けの12月27日(月)は、12月25日に中国が0.25%の利上げを行ったことで上海株式がどう動くか注目していましたが、目先材料出尽しとなって反発していることで、日経平均は薄商いの中を先物主導で上昇し△76円の10,355円で引けました。今週も先週に引き続いて10,200~10,400円のボックス圏の中の動きで終わると思われます。

日経平均

(指標)NYダウ

前週末の12月17日(金)は、前日△41ドルの11,499ドルと終値での年初来高値を更新したこともあって、利益確定売りから▲7ドルの11,491ドルで引けました。週明けのNYダウはクリスマス休暇に入った投資家が多く、方向感が乏しく▲13ドルの11,478ドルの続落となりました。ナスダックは△6Pの2,649Pでした。ナスダックの上昇の形からみるとさらに上昇する形であり、NYダウは上値は重いものの、ナスダックにサポートされてさらに上値を試す可能性があります。12月21日(火)は、金融セクターのM&Aやハイテク企業の好決算を好感し、一時11,549ドルと12月15日のザラ場での年初来高値11,519ドルを更新し、終値でも△55ドルの11,533ドルと年初来高値を更新しました。

さらに、12月22日(水)は、7-9月期GDPの確報値が5四半期連続でのプラス成長となったことで、景気回復基調を確認する形となり、NYダウ△26ドルの11,559ドルと連日の高値更新となりました。12月23日(木)はマチマチの経済指標を受けて、ナスダックは▲5Pの2,665Pと反落するものの、NYダウは11,580ドルのザラ場高値をつけて△14ドルの11,573ドルと高値更新が続きました。12月24日(金)はクリスマス休場でした。押し目を入れながらも、まだ上値を試す形となっています。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週、当面の円の動きについて2つのパターンを想定しました。1つは、11月19日の84.394円、12月15日の84.481円と二山を形成して押し目を入れた形になっているが、このまま83.38円を割らないでドルが反発し、12月15日の84.481円を突破できれば上放れとなって9月17日の85.92円を試すドル高(円安)になるとしました。もう1つは、12月3日の82.59円(ザラ場では12月7日の82.336円)を終値で守って反発すれば、12月15日の84.481円を突破することで上と同じように上放れとなるが、こちらの場合は多少時間がかかるとしました。

私は、目先は83円を割らないで反発していくとみていましたが、結局、欧州財政問題が再燃してユーロが急落し、リスク回避の円買いとなって82円台の円高で引けました。

12月20日(月)に84.117円をつけたあとは、83円台後半の値動きが12月22日(水)まで続きましたが、12月23日(木)の日本市場が休場の時、ギリシャ財政問題でユーロが急落して円が82.862円まで買われ、12月24日(金)も82.850円まで買われて82.874円の円高で引けました。12月7日の82.336円を終値で引けると、円の一段高の可能性がありますが、82.50~84.50円のボックスの下限を試しているところとみてよいでしょう。先週の想定の1つ(後者)のように、ボックスの下限までの円高となりましたので、このボックス圏内で多少時間をかけて円安方向の動きとなっていくと考えられます。

ドル/円