先週は想定通り週前半安・後半高で終わる

先週のポイントは、合同SQを今週12月10日(金)に控え、オプションからみるとSQ1週前の攻防として、週前半安く、週後半高ければコール(買い)有利となって、今週は堅調な動きとなるとしました。為替が対ドルで84円台にのっていたことで、円安次第で先週から再上昇の可能性をコメントとしていました。注目としていた83円70銭台をいったんクリアしたことでドルが買われやすい状況にあり、基本的には85円台を来週にかけて目指す可能性もあるとしました。結果的には、欧州の財政問題からユーロの独歩安となり、ユーロに対して円高が進んだことで、ドルに対してもやや円高となって84円を挟んだ動きとなっていますが、日経平均は想定した週前半安・週後半高となって先週はコール(買い)有利で終わり、今週はさらに戻りを試すことが考えられるとしました。

先週の日経平均は、11月29日(月)は△86円の10,125円でスタートしたものの、11月30日(火)は欧州の財政問題や中国のさらなる金利引き上げ懸念からアジア株式が全面安となり、▲188円の9,937円と10,000円を割り込みました。12月1日(水)は△51円の9,988円と小反発し、週前半は軟調な動きとなりましたが、この日の日本市場の引け後、アメリカ市場で経済指標の改善やGSの2011年米成長率見通しの2.0%→2.7%への引き上げを受け、NYダウが△249ドルの11,255ドル、ナスダックが△51Pの2,549Pとなって、直近のもみあいの上放れとなってきました。NYダウは下値をさぐる動きとなって要注意としていましたが、その下値で10月19日の10,917ドル、11月29日の10,929ドルがダブル底のような形となっての上放れですので、さらに上を目指す形でした。結局、昨日も△106ドルの11,362ドルの続伸となっています。12月2日(木)の日本市場はアメリカ株高とともに対ドル・ユーロで円安となっていたことで△180円の10,168円となり、10,990~10,150円のボックスを上放れした形となりました。

週末の12月3日(金)は、アメリカ株式の続伸を受けて△63円の10,231円で寄り付き、10,254円をつけて6月21日の戻り高値10,251円を3円上に抜けましたが、ここで目標達成感が出て上げ幅を縮小し、前引けは△13円の10,182円でした。後場になると、週末ということや、引け後のアメリカでの雇用統計を控えて10,154円まで下げる場面もありましたが、終値は△9円の10,178円の小幅続伸となりました。騰落レシオが128%を超えて過熱感が出てきていますが、相場が強いときにはこの騰落レシオが高値圏で張り付く形(4月の高値をつけるときは数週間張り付きました)となります。

先週末に上述のコメントを書いたあとのアメリカ市場で、注目の雇用統計が市場予想を大幅に下回る結果となり、ドルが急落して82円台の円高となりました。一方、ドル安からの過剰流動性に支えられて商品相場が活況となり、NYダウも△19ドルの11,382ドルとなりました。今週は、円高を嫌気するのか、それとも上昇と日本市場の需給関係(コール有利)を好感していくのかが注目されます。

目先円高だが12月2日の9,988円の窓を埋めなければ上を目指す

先週末はオプションのSQ1週前の攻防でコール(買い)有利に終わり、為替も84円台となっていたことで、今週は日本株式も年末ラリーが始まって10,500円を目指すことを想定していました。しかし、日本市場の引け後のアメリカで注目の雇用統計で雇用者数の増加幅が予想を大きく下回り、失業率も前回より大幅悪化となったことでドルの失望売りから、円は一気に82円台への急騰となりました。ただし、株式市場にとっては雇用回復の遅れを受けてブッシュ減税の延長など景気下支え策の強化に期待が集まり、NYダウ・ナスダックともに上昇し、特にナスダックは11月9日の高値を更新する動きとなりました。NYダウの方は、ドル安から原油・金などの商品相場が上昇して過剰流動性相場が再び勢いづいてきた感があります。

為替の方向は、先週末までは円安トレンドが85円台にのせるまでは変わらないとみていましたが、82円台への円高で、ここまでの円安トレンドが目先くずれてしまいました。雇用統計の悪化でドルの上値が再び重くなってきていますので、当分85円台は難しくなったかもしれません。一方で中古住宅販売成約数の改善や、年末商戦が好調で、ドル高要因もあり、一方的なドル安も考えにくいところです。

ただ、日経平均は、NYダウの上昇というよりも、現状は為替の円安フォローがないと、さらに上値を目指すのはなかなか難しいと思われます。本日は、82円台の円高を受けて大きく下げる可能性もありましたが、内需関連株への押し目買いが下支えとなり10,143円までしか下げず、終値は▲11円の10,167円となりました。チャートからみると、12月1日(水)の9,988円の終値から12月2日(木)は10,151円で寄り付き、安値は10,143円でしたので大きな窓を空けています。さらに日経平均が上値を試すならば、この窓を埋めるような下げは出ないのが普通ですので、下げた場合この9,988円を下回るような下げになるのかどうかに注目しておけばよいでしょう。そのような下げがあれば、次の戻りでは早めの利益確定売り優先となります。

NYダウは年末ラリーに入るかもしれません。そうなっても素直に喜べないのは、NYダウの上昇の根拠が雇用情勢の悪化で金利が低下し(ドル安・円高となる)、過剰流動性相場が活発となって、さらにドル高・円安方向となれば、日本株式は外国人がなかなか買えなくなってしまうからです。NYダウの上昇の中にアメリカ景気回復の要因も含まれてくれば、ドル高・円安は進まず、日本株式も年末ラリーへ参加できることになると思われます。

(指標)日経平均

前週末11月26日(金)は▲40円の10,039円で引けたあとのアメリカ市場で、アイルランドの財政問題がスペインやポルトガルにも拡大するという懸念や北朝鮮問題から、NYダウは▲95ドルの11,092ドルで引けました。11月29日(月)の日本市場は、NYダウは下落したものの、為替が1ドル=84円台の円安となったことで△86円の10,125円と11月22日以来の10,000円乗せとなりました。しかし、11月30日(火)はアジア株式が大幅安となり、対ユーロで円が一段高となったことで▲188円の9,937円と1万円を割り込みました。12月1日(水)は、大引け間近まで膠着状態でしたが、押し目買い強く△51円の9,988円で引けました。先週は今週12月10日(金)の合同SQを控え、SQ1週前のオプションの攻防で、週前半安く週後半高くなればコール(買い)有利となって、SQに向けて堅調な動きとなるところです。先週は一時欧州の財政懸念からユーロが大きく売られ、これがせっかくのドルに対する円安方向にどう影響を与えるのか気になるところでしたが、12月1日(水)にNYダウが急騰となったことで、ドル高(円安)となり、日経平均は△180円の10,168円と目先の上値ポイント10,150円を突破して引けました。そして、週末の12月3日(金)は、寄り付き直後は10,254円と6月21日の10,251円を抜いたことで、目標達成感が出て、さらに引け後のアメリカ雇用統計を控えて様子見となって上げ幅を縮小し、△9円の10,178円で引けました。引け後のアメリカ市場では、雇用統計が悪化してドルが売られ1ドル=82円70銭の円高で引けました。

本日は、82円台への急激な円高が日経平均にどう影響を与えるのか心配していましたが、内需関連や中小型株の上昇が相場を支え10,143円までしか下がらず、大引けは▲11円の10,167円、トピックスは△2円の881円となりました。円高が進行しなければ戻りを試す展開が続くと考えられます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週明けのNYダウは10,929ドルまで下げたものの、10月19日の安値10,917ドルを下回らず▲39ドルの11,052ドルで引け、11月30日(火)は10,942ドルまであって▲46ドルの11,006ドルでした。実体で10,942ドル以下になると売転換が出現する形となるところでした。しかし、12月1日(水)は中国のPMIが高く、インフレ懸念から上海市場が心配されましたがプラスとなり、11月のADP雇用者数が予想を上回り、11月ISM製造業景況指数も好調で、さらにGSが2011年の米国成長率を2.0%→2.7%へ見直したことで△249ドルの11,255ドルとなり、10月19日の10,917ドル、10月29日の10,929ドルをダブル底に小さなもみあいのボックスを上放れた形となりました。その為、12月2日(木)も△106ドルの11,362ドルと続伸しました。週末の10月3日(金)は11月の雇用統計が予想を下回ったことで一時▲43ドルとなりましたが、FRBが下支えする政策を出すとの期待や、11月ISM非製造業景況指数が予想を上回り、△19ドルの11,382ドルで引けました。ナスダックが3年ぶりの高値更新となりましたので、NYダウも11月5日の11,451ドルを試す動きが考えられます。

NYダウ

(指標)ドル/円

11月23日の83.15円で短期の売法則が出て、11月24日の83.54円ですぐに買転換に戻り、11月26日(金)は84.09円と84円台にのせて引けました。次は、84.70円台にフシがあり、ここを抜くと9月17日の85.92円が視野に入るとしました。しかし、11月29日(月)の84.394円をドルの高値に12月2日(木)までは84円を挟んだ小動きとなって、ドルが戻りを試す動きとなりませんでした。それは、週末(12月3日)の雇用統計を控えて、様子見となっていたからですが、市場の見方はとしては改善とみる見方が多かったようです。しかし、結果は予想を下回ったことでドルが大きく売られ、82.529円まであって82.586円で引けました。柴田罫線では、再び短期の売法則が出現した形となりました。アメリカの経済指標は改善するものが増加しているため、基本は円安・ドル高基調であり、今週は82.50~84.00円の中でドルの戻りを試す展開となりそうです。ただし、目先円安トレンドが崩れていますので、84円台にのせるのは時間がかかるかもしれません。

ドル/円