先週は想定通り11月10日(水)に大きく買われ4ヶ月ぶりの9,800円回復

先週の予測としては、前週末の11月5日(金)の△267円の9,625円はオプションからみるとSQ(11月12日)1週間前のプットとコールの有利・不利を決める攻防で、コール(買い)有利で終わっているので、SQ清算日の前に大きく動く可能性が高い週であるとしました。

日経平均の動きは、現状では為替に大きく影響されるので、為替の動きのシナリオを考えてみました。目先は82円台を終値でクリアすると83円台までの可能性があるとし、逆に82円をクリアできずに80円台に入って80円台前半を維持できれば、11月1日の80.247円に対するダブル底の形となって、次のドルの反発で82円を上に抜ければ83円台では止まらず、政府が介入して反発した85.92円水準までのドル高・円安の可能性がでてくるとしました。これは、年末までのシナリオといえます。先週の動きをみてみると、ドルは先に82円を上回って83円を試す動きとなりました。まず、11月5日(金)の10月雇用統計が予想を大きく改善したことでドル買いの動きとなって81円台前半まで買われ、11月8日(月)の日経平均は円安を好感して△106円の9,732円と目先のダブル天井となっていたところを突破しました。11月9日(火)は▲38円の9,694円と一服したあと、この日の引け後のアメリカ市場で35年物国債入札が不安視されていることで金利が上昇し、つれてドル買・円売りとなって81円台後半の円安となり、11月10日(水)の日経平均はオプション特有の動きも加わって△136円の9,830円となりました。この日のNY市場は、さらにドル安が進み82円80銭台までの円安となり、11月11日(木)の日経平均は9,885円まであって△30円の9,861円となりました。週末はNYダウの▲73ドルの11,283ドルに加え、ドルが82台前半の円安水準にあるもののユーロが債務懸念の再燃から売られて円高が112円台前半まで進んだこともあり、主力の輸出関連株が売られて▲136円の9,830円となりました。トピックスは▲9Pの846Pですので、ユーロ安から輸出関連株の下げが大きかったことを示しています。

先週は、NYダウは上値を低くする下げ基調となりましたが、それにもかかわらず日経平均は為替でドルがやや買い戻されて円安になったこともあり、世界株高からみて出遅れ修正という面もあったことで、SQ特有の動きをキッカケに11月11日(木)は9,885円まで上昇し、終値△30円の9,861円と4ヶ月ぶりの水準を回復しました。週末は▲136円の9,724円となって、SQ清算値9,813円を割って引けましたが、当然の一服とみるところです。押し目を作った方が相場は長続きしますし、ユーロが気掛かりですが、ドルはアメリカの景況感が変化しつつある(例えば雇用統計の予想以上の改善など)ので、FRBの大規模金融緩和は正当化されにくくなり、一方的なドル安はできにくくなります。

早くも先週末のSQ値9,813円を突破し1万円を試す動きへ

先週末の11月12日(金)のアメリカ市場は、中国の消費者物価指数が予想以上の高い伸びとなったことから、追加の利上げ観測が広がり、原油などの商品需要が減退する懸念から商品相場が総崩れとなり、NYダウも素材株中心に売られて▲90ドルの11,192ドルで引けました。これまでは、アメリカの追加金融緩和期待により、業績というよりも過剰流動性相場から株式市場に資金が流れて相場を押し上げ、一時的に悪材料も飲み込んで上昇してきたというのが今までのNYダウのパターンでした。そんな中、日本の株式市場のみがドル安の反面である円高進行となって79円75銭という円の最高値に接近する動きとなり、輸出産業中心の銘柄が多い日経平均の足を引っ張り、世界的な株価上昇の流れに取り残されてきました。

しかし、11月2日(火)にFRBがFOMCで予想を超える金融緩和を行い、さらに今後も追加金融緩和もあり得るとの声明を出しましたが、その後経済指標の改善を示すものが出始め、長期金利が上昇し始めたことで、目先は材料出尽しとなって一方的な円高の流れに変化が出てきました。現時点では、大きな円高トレンドの流れは恐らく変わらないと思われますが、当面は82円レベルを超えた円相場というものは、普通は次のレベルの83円台を目指す可能性が高いといえます。そうなると、輸出関連の主力株は、すでに発表されている中間期の経常利益についてかなりの企業が従来見通しを上方修正していますが、通期で1ドル=80円を前提にしているため慎重な見通しとなっています。そうであれば、為替が今の水準より円安で推移したとすると当然上昇余地が広がり、業績が上振れしてくる可能性があります。

先週末の11月12日(金)の11月SQ値は9,813円となって、日経平均の現物の終値は▲136円の9,724円と低く終わりました。そのため、9,813円をすぐに抜けるかどうかはわからず(普通は軟調な週となります)、欧州の財政不安、中国の金利引き上げ懸念からの上海株式の急落、NYダウの調整と外部環境は悪化していますが、それに対して円安方向からの日本株の出遅れ修正による下支えとが交錯している状況した。

そんな状況の中で、寄前発表の7-9月期のGDPが前期比△0.9%(年率△3.9%)と中央地を上回ったことを好感し、また82円台半ごろの円安水準にあることから△57円の9,782円で寄り付き、前引けは先週末のSQ値の9,813円に押さえられ△69円の9,794円でした。後場になっても、上海株式、ハンセン指数などは軟調なものの円安で買い優勢となり、13:30以降はSQ値9,813円を挟んだもみあいが続いていましたが、大引けにかけて9,813円を突破し、△102円の9,827円となりました。次は、NYダウと為替が落ち着いていれば1万円を試すことになると考えられます。

(指標)日経平均

先週の分析では、前週末の11月5日(金)にNYダウが前日に△219ドルの11,434ドルと年初来高値を更新したことで△267円の9,625円と柴田罫線では買法則が出現となって、売転換を打ち消したため上昇トレンド(C)を形成しつつあるとしました。そして、11月8日(月)には△106円の9,732円となって目先の上値のフシであるダブル天井(9月21日の9,704円と10月7日の9,716円)を突破したことで上放れの形となり、11月10日(水)には△136円の9,830円で4ヶ月ぶりの9,800円台回復となりました。11月10日(水)の分析では、5月以降は9,500~10,000円の価格帯での累積売買代金が多いので9,900円からは上値が重くなるとし、この戻りをこなして10,000円を突破できれば予想外の上昇も期待できることになるとしました。11月11日(木)は9,885円と9,900円に接近しましたが、ここからは上値重く△30円の9,861円となり、本日(11月12日)はNYダウの下落とユーロ安もあって▲136円の9,724円で引けました。ここでの押しは当然の一服といえます。SQ清算値9,813円を割って引けました。為替が当面は円高一服となって円安方向(82円台から83円台へ)へ動く可能性が高く、そうなると主力輸出関連銘柄は下期に1ドル=80円の円高に設定したところが多く、そのため上昇余地が広がり、日経平均の上昇をサポートする形になると思われます。まずは、先週末(11月12日)のSQ清算値9,813円をいつ抜けるかに注目となります。

日経平均

(指標)NYダウ

11月2日(火)に行われたFOMCの声明で、予想を超えた国債の買い入れ額と、今後も追加の金融緩和の可能性を示唆したことで、世界的な過剰流動性相場となって世界株高となり、NYダウは11月4日(木)に△219ドルの11,434ドルと、今年4月26日の11,258ドルを軽くクリアしました。しかし、チャート的には買われ過ぎからいったんの反落となってもおかしくありませんが、目先はリーマンショック直前のザラ場高値(2008年9月19日の11,483ドル)を抜けるかどうかにかかっているとしました。そして、10月12日の10,913ドルを終値で切らなければ高値圏のもみあいが続くことになるとしました。先週は、FOMCや雇用統計の発表という大きなイベントを通過し、為替は1ドル=79円75銭の史上最高値を守ったことで円高一服となり、欧州の債務問題再燃でNYダウは売り優勢となりました。11月5日の11,451円をピークに徐々に上値を切り下げており、11月11日(木)は一時▲125ドルの11,231ドルまで下げ、終値は▲73ドルの11,283ドルとなり、週末の11月12日(金)も中国の追加の利上げ観測と欧州債務問題で一時▲139ドルの11,143ドルまで下げて、終値は▲90ドルの11,192ドルで引けました。S&Pが11月12日(金)にテクニカルな下値抵抗ラインまで下げてサポートされましたので、それに合わせて反発する可能性もあります。そうでなければ、11,000ドルを試す動きも想定されます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、11月5日(金)に81.445円までドルが買われ、終値では81.29円となって買法則が出現したことで、10月27日の81.974円を上に抜けると83円が上値抵抗ラインになるとしました。結局、11月10日(水)に一気に突破して82.794円と83円に接近し、引けは82.259円となりました。11月9日(火)は、英経済指標の悪化が対ポンドでのユーロの買い戻しとなり、それが対ユーロでのドル売りに波及したことでドル/円は一時80.546円までの円高となりました。しかし、NY市場で長期金利が上昇すると日米金利差拡大の思惑から円売り・ドル買いとなって81.944円まで上昇しました。翌日11月10日(水)は、欧州の債務問題の再燃でユーロ売り・ドル買いとなり、米国の長期金利が上昇したことで82.794円までドルが買われました。先週末の11月12日(金)は、欧州の債務問題が懸念されてユーロ/円主導でユーロ売り・円買いとなったことで、ドルは81.655円まで反落しましたが、対ユーロでのドル買いが強まり、11月ミシガン大学消費者信頼感指数が予想を上回ったことで82.637円まで買われて引けは82.53円でした。今週はアメリカで小売売上高、消費者物価指数の発表があり、ドル/円相場に影響を与えることになります。基本的にはアメリカの景況感に少し変化が出てきている(改善の傾向)ところで、チャートをみると、82円台を超えてもみあいとなっており、普通は次の83円台水準を目指す動きと考えられます。

ドル/円