先週はFRBの追加金融緩和策の規模を巡り為替が乱高下

先週の10月25日(月)の分析では、G20を終えて目新しいものもなくFOMC待ちとしました。日経平均を見ると、目先は上値は9月24日の9,704円と10月7日の9,716円のダブル天井、そして下値は10月5日の9,332円、10月20日の9,316円とダブル底の形となっており、9,316~9,716円のボックス相場になっており、上に抜ければ1万円を試し、下に抜ければ9,000円を割ってくる動きが想定されるとしました。どちらになるかは、為替がそのまま円高進行となるのか円安方向となるのか次第であり、また11月2日~3日のFRBでのFOMCによる量的緩和の規模にかかっています。この量的緩和の規模を巡って為替市場に一波乱ありました。10月27日(水)にアメリカの追加金融緩和が思った程の規模ではないのではないかとの見方が出始め、ドルが一段高となって81.974円まで上昇したことで、NYダウは一時▲147ドルの11,020ドルまで下落しました。つまり、NYダウは大規模な量的緩和を前提に1カ月近い上昇を続けてきており、期待通りの金融緩和策でなければ大きな下落が想定されることになります。FRBもそれはわかっているでしょうから、どのような金融緩和になるのか発表を待たないと相場の予想はできないといえます。8月28日(水)の日経平均は、為替が81円台後半の円安となったものの、FRBの発表までは様子見というスタンスで円安に反応せず▲21円の9,366円でした。後場に、日銀の金融政策決定会合で資産買い入れ策の詳細が明らかとなり、一時的にプラスを回復する場面もありましたが、市場の反応は乏しくすぐにマイナス圏に沈みました。ただ、次回の11月15日~11月16日の日銀金融政策決定会合を11月4日~11月5日に前倒しし、FOMCの11月2日~11月3日の金融緩和策に対して手が打てるようにしました。後追いではありますが、それなりに評価できるでしょう。週末の10月29日(金)は、円高は80円台へと進行し、9月の鉱工業生産指数が前月比▲1.9%と悪化し、アジア株も軟調となり、さらに引け後のアメリカの7-9月期GDPへの様子見となって一時9,179円まで下落して▲163円の9,202円となりました。結局、9,316~9,716円のボックスを下に切れ、下放れの形となりましたので、9,000円を試す動きも想定されるところです。10月29日(金)まではボックス圏の動きとみていましたが、対ドルでも対ユーロでも円高進行となったことでFOMCを待たずに下放れとなってしまいました。

今週はFRBの発表待ち

先週10月29日(金)は、NY連銀が証券ディーラーに対して金融緩和に対する聞き取り調査をしたことで、再び大規模な金融緩和期待から為替は1ドル=80円台となり、ユーロは111円台の円安となってことで日経平均は目先下放れの形となりました。9,316~9,716円のもみあいが少し続いていましたので、もみあいの下放れとなって、もう1~2日は下げてくる可能性が高いといえます。そうすると9,000円を試す動きとなりますが、日経平均はこれまでの下げ過程で買いの形も含んでいるので、どこで止まるかのタイミング待ちといえます。今はチャートの形がどんなに良くなっても為替次第の動きですので、どこで目先ドル安に歯止めがかかるかということです。NYダウは、上述したように大規模な金融緩和期待と過剰流動性から1カ月以上も上昇してきただけにFOMCを通過すると材料出尽しとなります。想定通りの規模であれば材料出尽しとなって普通であればNY株の急落となりますので、それを想定した上で、今後株式を上昇させるためにFRBがどのような方法で市場参加者の期待感を出させるのか注目となります。小規模であれば、NYダウはいったん下げても再び金融緩和期待が残りますので、下げは限定的となるでしょう。FOMCでの追加金融緩和の決定は確実視されており、米国債の購入規模と声明に関心が集まっています。中期国債の購入規模が小さければ、上述したようにNYダウの失望売りとなりますので、購入総額を提示しないで段階的に購入する案が浮上しています。これらのことは、私達がいくら想像してもどうにもなりませんので、結果を待つ以外に方法はありません。ただ、先週末にNY市場で1ドル=80円35銭まで円高が進みましたが、この位置では普通は79円台を試しにくるところです。そのため、本日の寄り付き直後に政府介入とみられる円売り(介入は確認されず)があって、一時81円40銭まで円安が進み、日経平均もプラスに転じましたが、すぐに円高となったことでマイナス圏に戻り、大引けは▲47円の9,154円でした。つまり、80を割らせないぞというフェイントだったのかもしれません。

日経平均の動きは、FOMCの声明後どうなるのか読みにくいところがあります。材料出尽しとなってNYダウが下がると、為替はドルの買い戻しで円安方向となる可能性が高いわけですが、NYダウの下落を無視して円安に素直に反応してい上昇できるのかどうかというところです。テクニカルからみると、下値抵抗ゾーンは8,800円台ですし、9,000円を割ると騰落レシオも完全に売られ過ぎとなりますので、反発のタイミング待ちとなります。FOMC・中間選挙後11月4日~11月5日の日銀金融政策決定会合が控えていますので、79円75銭を守れるかどうかとなります。日経平均が9,000円以を割れるのかどうかもここにかかっているといえます。本日騰落レシオは75%ですので、9,000円を割れると70%以下となって完全に売られ過ぎとなる可能性があります。

(指標)日経平均

先週はボックス相場となっており、上放れとなるのか下放れとなるのかは11月2日~3日のFRBの追加量的緩和の規模にかかっているとしました。それは国債の買い切り策が大規模となるのか小規模となるのかであり、NYダウは大規模になるということを前提に上昇してきています。しかし、インフレ懸念が出てきたことでこの規模の観測もマチマチとなっており、フタを開けてみないとわからないというのが現状です。このような状況の中で、10月28日(木)までは81円台の円高水準のままであったため、日経平均はほとんど動けず9,400円を挟んだ小動きに終始してきました。FOMCの発表までこのままの状態かと思っていましたが、10月29日(金)は引け後のアメリカのGDP発表を控え、円高が1ドル=80円台、1ユーロ=111円台と進行したことで買ポジションの手仕舞いとなり、日経平均は▲163円の9,202円の大幅下落となって短期の売転換が出現しました。トピックスは▲3Pですので円高による輸出企業の下げといえます。下値ポイントは9月8日の8,997円、9月1日の8,796円ですが、量的緩和の規模が大きければ目先は円の急激な円高・株安となって底打ちとなり、規模が小さければNYダウの下落といったんの円安で戻りを試す動きが想定されます。本日は▲47円の9,154円で引けました。

日経平均

(指標)NYダウ

10月25日の分析では、10月21日(木)に11,146ドルでろく買が出現しましたが、高値圏でのろく買は売りに転換しやすい形だとしました。4月26日の11,258ドルを終値で抜けると上放れの形となりますが、逆に10月12日の10,913ドルを切ると売転換出現となっていったん大きな調整の可能性があるとしました。先週10月25日(月)のNYダウはG20で具体的な協調政策がなかったことで、一時1ドル=80円41銭のドル安・円高となって金・原油などの商品が上昇し、NYダウも11,247ドルと4月26日の11,258ドルに接近しました。しかし、終値では△31ドルの11,164ドルでした。ここまでで11月2日~3日のFOMCの追加金融緩和策はかなり織り込んでおり、上値が重たくなりました。10月27日(水)は、追加の緩和策の規模が小さいとの見方から一時▲147ドルの11,020ドルまで下落し、終値は▲43ドルの11,126ドルでした。その後はFOMCの発表待ちで様子見となり、週末の10月29日(金)は△4ドルの11,118ドルで引けました。今週はFOMCによる追加量的緩和の規模次第ですが、終値で10,976ドルを切ると売転換(確実には10,913ドルを切ること)となって10月4日の10,711ドルを試す動きとなります。まずはここを守れるかどうか注目と思われます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の分析では、そのままでは80円台を切るドル安にはなりにくい形であるが、FRBの追加金融緩和の規模次第としました。しかし、先週の動きは10月27日(水)に「FRBの量的緩和の規模が市場予想より小さくなる可能性」と報じられたことで81.974ドルまでドルが買われ、終値では81.746円となってろあ買が出現しました。その後、経済指標の悪化から大規模な量的緩和へ期待が高まり、再びドルが売られて週末の10月29日(金)は終値で80.412円となってろあ売へ転換しました。つまり、中途半端に戻したためにドルの一段安の形となっています。量的緩和の規模次第で円の79円75銭の史上最高値突破となりますが、これに備えて日銀は金融政策決定会合をFOMCの開催日(11月2日~11月3日)のすぐ後の11月4日~11月5日に前倒ししましたので、一方的なドル安・円高にはならないかもしれません。材料出尽しか失望によるドルの買い戻しのどちらかが起こる可能性が近づいていると考えられます。

ドル/円