先週は日経平均は週の終値では何とか9,400円を守って引ける

先週10月18日(月)の予測では、日経平均は現在9,400~9,700円という狭いボックスの動きとなっており、為替が79円75銭を突破するような円高になれば下放れとなって8,800円までの下げが想定されるとしました。しかし、日足の形からは9,400円を守って反発に転じる可能性が高いとしました。ところが、10月19日(火)に中国人民銀行が突然の利上げを発表したことで、中国経済の成長が鈍化し、それが世界景気の回復にマイナスになるとの懸念から、NYダウが▲165ドルの10,978ドルの大幅下落となりました。これを受けて、10月20日(水)の日本市場は対ドルでは円高進行はなかったものの、対ユーロで111円台の円高になったこともあり、9,399円で寄り付くと9,316円まで下落しました。しかし、終値では下げ幅を縮小して10月5日の9,332円を守って9,381円で引けました。ただし、9,400円を切って引けましたので、このまま週の終値で9,400円を切ったままであれば、調整が長引くことになりますが、NYダウの反発に助けられて、10月22日(金)は△50円の9,426円と9,400円を週の終値では守って引けました。

11月2日~3日のFRBでの追加金融緩和が大型なものになるという市場の見方から、NYダウは上昇してきておりますが、ダラス連銀総裁は先日FOMCでの金融緩和を実施するかどうかは決まっていないという発言をしました。ということは、金融緩和の程度によってNYダウは材料出尽しか、もしくは失望売りによって下げる可能性が大きいということになります。その場合、ドルは買い戻しから円安になる可能性もありますので、FOMCまでこれ以上の円高が進まず、日経平均が9,400円を守っていればNYダウが下げても日経平均が戻りを試すことも考えられます。今はFOMCの結果を待つのが基本といえます。買う場合は損切りポイントをはっきり決めておく必要があります。

G20を終えて目新しいものもなくFOMC待ち

先週末10月22日(金)の日本市場はG20を控えて様子見から薄商いとなりながらも△50円の9,426円と9,400円に戻して引けました。10月20日(水)は、一時9,316円まで下げて10月5日の9,332円を切りましたが、終値では▲157円の9,381円となり、さらに週末(10月22日)は9,426円となりましたので、まだ戻りを試す形は崩れていません。目先は、9月21日の9,704円と10月7日の9,716円のダブル天井、そして10月5日の9,332円、10月20日の9,316円とダブル底という形での9,316~9,716円のボックス相場になっているといえます。上放れれば1万円を試す動きとなり、下放れれば9,000円を割ってくる動きも想定されます。どちらになるかは、為替がいったん円安方向となるのか、それともそのまま円高進行となるのかですが、それが11月2日~3日のFRBでのFOMCの量的緩和の程度にかかっています。

大手のシンクタンクのレポートでFRBは「6ヶ月で5,000億ドルの国債の購入を行う」と発信しましたが、これが本当ならば日本の金融当局も何らかの手を打たなければ、ドルの急落を受けて一気に1ドル=79円75銭を割り込み、オーバーシュートとして70円半ばまで円高が進行する可能性があります。そうなると、日経平均は9,000円を割れて8,800円水準まで下げることになります。しかし、一方でダラス総裁の「11月のFOMCでの金融緩和をどの程度の規模で実施するのか、しないのかは決まっていない」という発言もあり、フタを開けてみないとわからないといえます。金融緩和をやり過ぎるとドルの暴落となってアメリカ経済は逆に不安定化してくるからです。

そういう懸念もあることで、10月23日(土)にガイトナー米財務長官はG20財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で「米国は強いドルを支持する政策をとる」と発言しました。一部の新興国がドルの下落に懸念を示していることもあり、ドル安で輸出を促す政策を追求しない考え方を示したものとみられます。G20という重要イベントが過ぎ、「通貨安競争の回避」という共同声明を発表しましたが、一応織り込み済みと見られ為替はあまり反応していません。むしろ、共同声明の内容に「協調的でない対応はすべての国に悪い結果をもたらす」というものがあり、これによって日本政府の為替介入はできないという見方からFOMCまでは、円高基調が続くことも考えられます。それを示すように、一時80円95銭の円高となったことで、日経平均は上値の重い展開となり、本日は▲25円の9,401円で引けました。

FOMCまであと1週間ですが、それまで1ドル=79円75銭を守れるかどうかとなります。FOMCまでの間の10月28日(木)に日銀の金融政策決定会合が開催されますので、FOMCの追加の金融緩和に対処するさらなる対策を用意しておかなければ、FOMCの後追いとなって79円75銭を更新してくる可能性もあります。

(指標)日経平均

先週(10月18日)の予測では、日経平均が9,400円を守れば戻りを試す展開になるとしましたが、10月19日(火)に中国の突然の利上げを受けてNYダウが▲165ドルの10,978ドルと急落し、また対ユーロで111円台をつける円高となりました。これを受けて、10月20日(水)の日本市場は9,316円まで下落し、終値は▲157円の9,381円と9,400円を切って引けました。その後は、NYダウが急反発となり、5ヶ月ぶりに一時11,200ドル台にのせる高値水準の動きとなりましたが、円高推移のままのため日経平均の反発は弱く、週の終値は△50円の9,426円でした。要注意とした9,400円割れは、週の終値では何とか守ることができました。10月5日の9,332円を終値で切ると下放れとなって再上昇するのに時間がかかるところでしたが、結局は9月21日の9,704円、10月7日の9,716円をダブル天井、10月5日の9,332円、10月20日の9,316円をダブル底とするボックス相場となってきています。これが上放れとなるのか下放れとなるのかは、11月2日~3日のFRBの追加の量的緩和がどうなるのかにかかってきます。大規模な量的緩和でドル急落→円高進行(1995年の79円75銭を突破)すれば下放れ、小規模の量的緩和でドルの買い戻し→円安となって上放れというのが現時点での基本シナリオといえます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週(10月18日)の分析では、今年のザラ場での最高値4月26の11,258ドル(終値では11,205ドル)を突破できれば、金融緩和期待から需給関係によって売りの形を含みながらも上昇してきたNYダウは、これまでの売りの形が解消され、需給関係による上昇相場が続く可能性があるとしました。10月19日(火)には、中国の突然の金利引き上げを受けて、中国経済の成長が鈍化し世界経済の回復遅れの懸念から、NYダウは▲165ドルの10,978ドルの大幅反落となりました。しかし、11月2日~3日に控えている追加の金融緩和期待ですぐに△129ドルの11,107ドルと切り返しました。そして、10月21日(木)には11,213ドルとなってろく買が出現しました。本来ろく買はさらに上昇という形ですが、高値圏でのろく買は売りに転換しやすい形となります。このまま4月26日の今年の最高値11,258ドルを終値で抜けると上昇トレンド(B)を完全に上放れした形となりますが、逆に引線の終値で10,976ドル(確実には10月12日の10,913ドル)を切ると売転換出現となっていったんの大きな調整が想定されます。私は売転換が出現する可能性が高いとみています。その場合、日経平均はそれほど下落ぜす、戻りを試す動きになると想定しています。

NYダウ

(指標)ドル/円

チャートの下げ方からみると、5月4日の94.97円のドルの高値から下降トレンド(B)を形成しており、80円水準はサポートラインとなるところですから一方的な円高・ドル安にはなりにくく、FRBの追加の金融緩和前にドルの買い戻しも入ってきますので、いつドルの巻き返しが起こってもおかしくないとしました。ただし、市場では大規模な量的緩和という見方が多くなっており、もしそうならばドルの急落となって1995年の79.75円を切ると一気にドルの投げが出て70円台半頃まで下げてもおかしくありません。その場合、材料出尽しとなってドルはいったん買戻されますが、FRBは次の手が打てなくなります。一方で、ダラス連銀総裁のFRBはまだどうするのか決めてないという発言もあり、結局FRBによる追加の緩和策の様子を見るのがいいということになります。

先週は、10月18日(月)と10月19日(火)は81円台での小動きでしたが、10月20日(水)は中国の突然の利上げでドル安が進行し、アメリカの有力シンクタンクがFRBの大型の追加金融緩和観測に繋がる国債買い入れ計画のレポートを出したことで、ドルが急落し一時80.870円と15年ぶりの安値を更新しました。その後は、81円を挟んだ小動きとなって81円台前半で引けました。チャートの形としては、80円を切るようなドル安にはなりにくい形ですが、FRBの金融緩和の程度次第といえます。10月20日(水)の高値81.650円(もしくは10月13日の81.991円)を終値で抜けてくると、いったんの戻りに入る可能性があります。

ドル/円