NYダウはダブル天井をつけて下落する想定も、FOMCの金融緩和策期待で逆に上放れ

先週は、8月6日(金)の雇用統計の発表を前にもみあいの展開を想定し、もみあいの中で何らかの売買シグナルが出てくるかどうかとしました。アメリカ株式がもみあいとなっているのは、ミクロの企業業績の好調さとマクロ経済指標が悪化となる場合が増加し、強弱感が対立しているためであるとしました。

まずNYダウですが、チャートのもみあいをみると売りの形ができており、6月21日の10,594ドルと7月29日の10,584ドルとダブル天井のような形を作っていましたので、確率的には下の可能性が高いとしました。ただしその場合は7月21日の10,120ドルを終値で切った場合にダブル天井の確立となって急落というパターンでした。しかし、そのNYダウは8月2日(月)に欧州の金融機関の好決算を受けて欧州株式が急騰した流れと7月のISM製造業景況指数が予想を上回ったことで、NYダウは△208ドルの10,674ドル、ナスダックは△40Pの1,125Pと10週間ぶりの高値となりました。NYダウでいうと、二山形成(ダブル天井)後浅い押し目を作って、この二山を抜けたことで一段高というパターンになり、日足の1つ目の上カベである10,800ドル台後半くらいまで上昇してもおかしくないということになります。翌日の8月3日(火)は、6月の中古住宅販売保留件数や6月製造業受注額が予想を下回ったことで一時▲73ドルまで下げるものの、翌週のFOMCで追加の金融緩和政策の検討という観測が広がり▲38ドルの10,636ドルとなりました。8月4日(水)は、7月ADP全米雇用報告と7月非製造業景況指数が予想を上回ったことで、NYダウは△44ドルの10,680ドルと2カ月半ぶりの高値をつけました。週末の注目の7月雇用統計が予想より大幅悪化したことで、NYダウは一時▲159ドルの10,515ドルまで下落するものの、FOMCで追加の金利緩和政策の観測から下げ幅を縮小し▲21ドルの10,653ドルとなりました。雇用統計は悪化しましたが、NYダウは大幅下落とはならず、逆に金利低下の思惑から株式はしっかりした動きとなりました。

日経平均は円高基調からNYダウの10カ月ぶりの高値には連動できずもみあい

日経平均は、NYダウのダブル天井後の下落を想定して、それに連動して下げていくシナリオを考えていましたが、NYダウはFOMCによる金融緩和期待から逆に上放れしました。しかし、それはドル安・円高というものが前提になっているため日経平均は大して上昇できず、かといって企業決算が好調なため下値も堅くということでもみあいとなりました。8月3日(火)は、前日のNYダウの△208ドルの10,674ドルを受けて9,750円まで上昇するものの、1ドル=86円台半頃の円高のため終値は△123ドルの9,694円でした。翌日の8月4日(水)は、海外で1ドル=85.68円と8カ月ぶりの円高となったことで▲87円で寄り付き下げ幅を拡大して終値は▲204円の9,489円となりました。引け後のNYダウが△44ドルの10,680ドルと2カ月半ぶりの高値となったことや為替が1ドル=86円台へと円高一服となったことで△164円の9,653円と反発しました。週末の8月6日(金)は、アメリカ雇用統計を控えて様子見ムード強く▲93円の9,560円で寄り付き9,545円まで下落しましたが、前日発表のオフィスの空室率が2年6カ月ぶりに改善したことで不動産株中心に物色され、下げ幅を縮小して▲11円の9,642円、トピックスは△4Pの861Pで引けました。

今週は10日(火)のFOMCの結果を受けてどうなるのか

先週末の8月6日(金)のアメリカ雇用統計の非農業部門雇用者数は予想の▲6.6万人を大きく下回る▲13万人となったことで、NYダウは一時▲160ドルの下落となりましたが、10日(火)開催のFOMCで追加の金融緩和策(国債の買い取りなどの量的緩和)について議論されるのではないかという観測から▲21ドルの10,653ドルと小幅のマイナスとなりました。投資を行う場合は、結果を確認してから行わないと単なるバクチとなるということが今回もわかりました。8月4日(水)には7月のADP発表の全米雇用者数が予想を上回る改善のため、8月6日(金)の雇用統計も改善されているという見方が多かった様ですが、全く逆の大幅悪化となりました。しかし、逆にこのことがアメリカの景気減速を浮き彫りにしたことで、FOMCによる追加の金融緩和政策が大きくクローズアップされ、NYダウの大きな下げ幅の縮小に繋がっているといえます。

日経平均についていえば、本来NYダウに連動するところですが、NYダウの上昇が金融緩和期待からのドル売り(結果として円高)となりますので、日経平均の方は上値は重く動きづらいところです。企業業績の好調さや割安感から下支えされているものの、円高が昨年11月27日の84.769円を突破してくると一気に円高進行となりますので、まずは9,000円と目指す動きが想定されるところです。今のところ、25日移動平均線(本日の時点9,512円)にサポートされていますが、ここを切ってくると一段安となる可能性があります。今週の週の終値で9,250円を切って引けると来週は9,000円も視野に入ってきます。

ただ、NYダウはダブル天井のような二山を作って、浅い押しからの反発ですのでまだ上昇が続いているようにもみえます。日足では3段の縮小という上げ方をしていますので、このまま上値が無くもみあって下落となれば上昇もいったん終わりとなります。とにかく、FOMCの結果が出ない限り今のところは何ともいえません。

今回1ドル=85円を切らずやや円安となって企業決算の好調さを背景にNYダウとの出遅れ感から上昇しても、日経平均は1万円水準であり、この場合は売り損なっている銘柄が上昇すればキャッシュ化して次の下落に備えることになります。10月には信用期日到来となりますので、1カ月前の9月は基本的には軟調さが想定されます。

(指標)日経平均

前週末の7月30日(金)は、8カ月ぶりに86円台前半の円高となったことで▲158円の9,537円で引けました。先週は、8月2日(月)に海外で85円台の円高となったものの、その後は円高一服となったことで9,676円まで上昇しましたが終値は△33円の9,570円でした。8月3日(火)は、前日のNYダウの△208ドルの10,674ドルと10週間ぶりの高値となったことを受け、企業決算も好調なことから△123円の9,694円となりました。しかし、翌日はアメリカが近々金融緩和をするとの思惑から85円台前半の円高進行となったことで▲204円の9,489円で引けました。8月5日(木)は、円高一服とアメリカ株高を受けて△164円の9,653円と反発するものの、8月6日(金)は▲11円の9,642円で引けました。

チャートを見ると、上昇トレンド(B)をいったん下に切って7月6に9,091円まで下げたあと、7月16日の9,807円まで反発するものの、再下落となって9,091円を安値、9,807円を高値とする三角保ち合いに入っており、この中の上限で動いています。NYダウが2カ月半ぶりの高値になっており出遅れ感があると考えられ、また好決算が続出しているにもかかわらず円高が急激に進んでいることで綱引き状態となっています。ここからは、NYダウの上昇が止まり、円高が昨年11月27日の84.769円を突破してくると日経平均は下にブレることになります。しかし、目先は84.769円を切らずにいったん円安方向に動いて、NYダウも下げなければ日経平均は反発し、7月28日の9,760円を終値で抜けると三角保ち合いの上放れと同時に、短期の買転換が出現し、いったん戻りを試す形となって10,000円を目指すことになります。

先週末の注目の雇用統計は悪化して、NYダウは一時▲160ドルとなったものの、明日(8月10日)のFOMCでの追加の金融緩和が期待されて下げ幅を縮小し▲21ドルの10,653ドルで引けました。本日の日経平均は、為替が85円台前半となっていたことで▲106円の9,535円で寄り付きましたが、好調な企業業績と25日移動平均線にサポートされ▲69円の9,572円となりました。明日のFOMCの結果で、85円を切らなければ戻りを試すことになりますが、為替が昨年11月27日の84.769円を切ると一気に円高が進み9,000円水準を目指す可能性があります。

日経平均

(指標)NYダウ

前週末の7月30日(金)の時点では、6月21日の10,594ドルに対して7月29日の10,584ドルをつけて反落となったことでダブル天井の形となって、7月21日の10,120ドルを切ってくると急落のパターンとを想定しました。しかし、週明けの8月2日(月)に欧州の金融機関の4-6月期決算が好調で欧州株式が大幅上昇となり、さらに7月のISM製造業景況指数が予想を上回ったことで△208ドルの10,674ドルとダブル天井(6月21日の10,594ドル、7月29日の10,584ドル)となるところを突破しました。ふつう二山形成したあと押し目浅く、二山を上に抜くと一段高という形です。であれば、次の上値抵抗ライン10,896ドルを目指す動きとなりますが、三角保ち合い(D)の上値斜線を突破できるかどうかとなります。

その後8月4日(水)に10,702ドルまであって△44ドルの10,680ドルと約2カ月ぶりの高値となりました。週末の8月6日(金)は、雇用統計の悪化から一時▲159ドルの10,515ドルまで下落するものの、FRBによる追加の金融緩和策への期待から▲21ドルの10,653ドルで引けました。

NYダウ

(指標)ドル/円

前週末の7月30日(金)は、4-6月期のGDPが予想を下回りドルが売られて、一時85.95円と昨年11月のドバイショック以来の円高となりました。上下動を繰り返しながらドルは下値を切り下げる動きとなっており、何かのキッカケで昨年の11月27日の87.769円を試す動きとなる可能性があるとしました。8月3日(火)は、アメリカの6月中古住宅販売保留件数や製造業受注額の悪化からドル売りが加速し、一時85.68円と8カ月ぶりの安値をつけました。その後いったん86円台に戻すものの、週末の雇用統計が予想を上回る悪化となってFOMCでの追加の金融緩和期待が高まり、ドル売り・円買いとなり85.09円と昨年11月27日の84.769円に接近してきました。明日(8月10日)のFOMCでの議論がどうなるかによって動きは変わってきますが、85円を切ってくるとストップロス(ドルの投売り)となって急激な円高となり、まずは83円台を試すことになります。85円を守って反発しても、87円台から上は上値は重くなります。

ドル月円