今週は為替の反転待ち

6月21日(月)の分析で、前週の6月15日(火)にはNYダウ、ナスダックが短期の買転換となり、翌日6月16日(水)には日経平均も△179円の10,067円と短期の買転換となったものの、昨年の3月の安値からの上昇トレンドを日米共にいったん切っているために戻り売りの形であり、この日に日経平均は中国の人民元の弾力性強化を好感して△242の10,238円となりました。目先はそのまま戻りを試す場合と、いったん下落する場合の2つのパターンを考えるとしました。それは、日経平均の戻りのメドを10,300円水準としていましたが、この日一気に10,251円まであって、短期での過熱感も出ていたからです。

そこで、円が1ドル=90円を切ってくる場合と切らない場合の2つのパターンを考え、1ドル=90円を切ってくると日経平均は10,000円を切って9,800円台くらいまでの下落を想定しました。結局、中国人民元の切り上げ期待で一通り買われたあとは警戒感が出て、為替の円安が一服となり再び円高方向の動きも出てきました。6月21日(月)のメッセージでは、ギリシャに端を発する財政問題も根本的な対策は出ておらず、再びユーロ安を想定しておかなければならないとしていましたが、6月21日(月)の日本市場の引け後に格付け会社フィッチが仏銀行大手BNPパリバの長期格付けを引き下げたことで、欧州の金融機関の経営不安が意識されユーロが売られました。さらに、翌日6月22日(火)には英・仏・独が共同で銀行税を提案したことも嫌気され1ユーロ=110円台の円高となってきました。

ドルの対しての円高については6月23日(水)にFOMCの声明文で、景気判断が慎重な見方に変わり、低金利政策の維持を示唆したことでドルが売られ1ドル=90円を切ってきました。そして、翌日6月24日(木)のNYダウはFOMCの声明文を嫌気し、金融規制改革法案の内容に厳しいものが含まれているという報道もあって▲145ドルの10,152ドルとなり、為替も1ドル=90円半ばの円高となりました。そして、先週末の6月25日(金)は▲149円の9,778円で寄り付き、前場は何とか25日移動平均線(本日9,782円)を守っていましたが、後場になると一段安となって▲190円の9,737円で引けました。6月23日(水)の一言メッセージでは25日移動平均線(この時点9,789円)が下値ポイントになるとしていましたが、本日は下に切ってしまいました。ということは、円高がまだ目先のピークをつけていないことを意味し、今週末の雇用統計(週末)まで円高が持続する可能性があります。そうなると、日経平均は今週は下値もみあいとなるかもしれません。

今週は円高から円安への反転を待つ局面-戻りに入ればキャッシュ化優先-

先週末のアメリカ市場は1-3月期のGDPが△3.0%から△2.7%へ下方修正され、景気回復の鈍化を嫌気した売りでNYダウは一時▲70ドルの10,081ドルまで下落しました。しかし、アメリカの金融規制改革法案が上下院案の一本化となったことで金融業界の勝利と報道され不透明感が後退したとして金融株中心に買われて10,202ドルまで上昇しましたが、終値は▲8ドルの10,143ドルでした。

今のところアメリカの経済指標に弱いものが目立ってきており、その結果金利が低下して相対的に円が買われ金や原油先物などの商品が買われる動きとなっています。つまり、NYダウの反発もドルの反転待ちでありそれまでは日経平均も安値圏のもみあいとなります。為替のドル/円の日足のテクニカルではそろそろ円安方向となってくるところですが、その前に5月20日の88.951円を守れるか、それともここを切って88円台前半まで円高が進んで、そこから反発していくのかという二通りの見方ができます。今週はドルを買う材料が何か出てくるのを待つところですが、週末の雇用統計が1つのポイントとなるかもしれません。

日経平均は9,800円水準で止まれば出遅れ銘柄の押し目買いも考えていましたがヨーロッパの金融不安の再燃とアメリカの経済指標の悪化からドルが売られて円高基調にあることから主力の輸出関連の銘柄が下げ日経平均の下げを大きくしました。円高が一服すれば戻りを試すことになりますが、ここでは新規の買いは止めて前回買ったものをいったんキャッシュ化する方針で考えた方がよいでしょう。ナスダックは週足では売りの形ができあがっており、戻りを試したあと大きな下落となってきますので、NYダウ、日経平均も再び大きな下げとなる可能性を考えておかなければなりません。

(指標)日経平均

6月16日(水)に10,067円で短期の買転換が出現し、ザラ場では5月27日の9,395円、6月9日の9,378円とダブル底を形成した形となりました。そのため、上値ポイントを10,200円→10,300円台としましたが、6月19日(土)の中国の「人民元の弾力性強化」声明を好感し、6月21日(月)は△242円の10,238円となって10,300円水準に一気に接近しました。

そのため、6月21日(月)の予測では、このまま10,300円~10,500円に突入していくのか、それともいったん下落となるのかは中国元の切り上げ程度と円の動きによるとしました。メッセージでは、円が1ドル=90円を切る場合と切らない場合の2つのパターンを想定し、90円を切る円高となれば9800円台(6月23日には、25日移動平均線が下値ポイントと修正)としましたが、6月25日(金)は1ドル=89円半ばとなって輸出関連銘柄中心に売られ、終値は▲190円の9,737円となって25日移動平均線(6月25日・9782円)を切って引けました。

本日6月28日(月)の日経平均は、為替が円高基調にあることや、今週アメリカで重要な経済指標が発表されることで様子見ムード強く、9,679円を安値にもみあいとなって▲43円の9,693円で引けました。今週は、為替の円高が反転するまでは弱い動きが続きそうです。週末の雇用統計がポイントになるかもしれません。

日経平均

(指標)NYダウ

6月21日(月)の分析で、先週末はNYダウ、ナスダックともに2週連続の陽線となっており、週足での売りの伏線(週足では戻り売りの形ができあがったということ)になるとしました。目先は、10,600ドルがフシとしましたが、6月21日(月)は中国の人民元の弾力性強化方針を受けて一時10,594ドルまで上昇し、一転して反落となり終値は▲8ドルの10,442ドルでした。6月22日(火)は、英・仏の銀行税提案や5月の中古住宅販売件数が大幅に予想を下回ったことで▲143ドルの10,293ドルとなりました。そして6月24日(木)は前日にFOMCが景気見通しを慎重な内容に変更したことや、金融規制法案の内容が厳しいものになるとの報道を受け▲145ドルの10,152ドルの大幅安となりました。

6月8日の9,757ドルから6月21日の10,594ドルまでの上昇幅の二分の一押しが10,176ドル水準ですので、6月24日(木)の10,152ドルは二分の一押しを少し切ったところとなります。先週末の6月25日(金)は、1-3月期のGDPが下方修正となったことで一時▲70ドルの10,081ドルまで下落しましたが、終値では▲8ドルの10,143ドルでした。さらに下げて10,000ドルを割る水準まで下げると深押しとなって、次の戻りは6月21日の10,594ドルを超えることができない確率が高くなります。

NYダウ

(指標)ドル/円

前週前半では91円台での方向感のない動きでしたが、6月17日(水)に90.97円とドルのろあ売が出現しました。そして、週末の6月19日(土)に中国人民元の弾力性の強化声明が出たことで、元の切り上げ幅によっては円が連動して買われ89円台までのドル安・円高を想定しました。結果として円高方向となりましたが、それは中国元にからむ円高ではなく、再びヨーロッパの金融不安とアメリカ経済の不透明さからドルが売られたからでした。

6月22日(火)までは、何とか90円台を維持していましたが、6月23日(水)はアメリカの新築住宅販売件数が予想を大きく下回り、さらにFOMCが景気判断を慎重な見方に変更したことでドルが売られ89.831円の終値となりました。6月25日(金)は、アメリカの1-3月期のGDPが弱い結果となったことでNYダウが反落し、ドルは92.204円まで売られ、終値は89.250円となりました。

今週は、雇用統計を週末に控え動きにくい展開が想定されますが、ドルの下値は5月20日の88.951円が目先の下値ポイントとなります。88.951円を終値で切ると88円台前半までの可能性がありますが、そうなるとそこが当面のピークとなる可能性があります。

ドル/円