先週は、要注意の週だがNYダウの動きにも注目としました。結局、NYダウは当局者の相次ぐFRBの超低金利政策の長期間維持を確認する発言が相次ぎ、経済指標も予想を上回ることで、さらに高値を目指す形となりました。3月23日(火)は△102ドルの10,888ドルと1年ぶりの高値となり、3月24日(水)はポルトガルの格下げを嫌気して▲52ドルの10,836ドルとなりました。3月25日(木)はバーナンキ議長の超低金利政策のあらためての表明を受けて10,955ドルまで上昇しましたが、引けにかけて売られ△5ドルの10,841ドルとなり、週末も10,909ドルまで上昇するものの、△9ドルの10,850ドルと小反発で終わりました。NYダウ、ナスダックともに上昇の仕方を細かくみると売りの形がいくつかでているのですが、金余りという相場状況の中で強気が支配して上値を試そうとしています。しかし、ここはどうしても注意が必要と思われます。

日本市場も日銀の追加の金融緩和政策以降強気相場となっており、外国人の買いも続いていることから、テクニカル的な過熱感を無視して上昇してきています。騰落レシオも130%前後の過熱状態ですが、この騰落レシオとピークは必ずしも一致しません。相場が強い時には数週間過熱状態が続くこともありますが、これらは指標は何らかの悪材料がでるとそれをきっかけに下落する確率が高いことを知らせているようなものだと考えればよいでしょう。但し、今回はアメリカ株式の下げがきっかけに調整しても上昇基調の中の下げとなって格好の押し目となる可能性があります。

今回、調整があったとしても深押しはない可能性-その背景は

アメリカ、ヨーロッパの株価とアジアの株価をみてみると、ヨーロッパ、アメリカは高値更新中であり、日本は遅ればせながら先週末高値更新してきました。しかし、上海、香港、韓国などは高値更新にいたっていません。そういう意味では日本の株価はアメリカ、ヨーロッパとアジアの中間に位置付けらます。そうすると日本株式はアメリカ、ヨーロッパに対して出遅れとして買われていることになり、そのため外国人の寄り前注文が先週末で16日連続で買い越しとなっていることが納得できます。日本株式が出遅れ修正としてさらに買われてきたのは3月17日(水)の日銀の追加の金融緩和策があります。又、先週は3月24日(水)のポルトガルの格下げをきっかけにドルの全面高となり、アメリカの経済指標も予想を上回るものが多いことからドル買い・円売りが進み90円台から一気に92円台後半の円安となって為替のチャートは昨年8月7日の97.759円からの三角保ち合いを上にぬいて1月8日の93.778円を試す形となってきています。いったん円高になったとしても当面は円安基調が続く可能性がでてきました。であればテクニカル的な過熱があるため何らかのきっかけ(多分NYダウ)で下落しても深押しはせず25日移動平均線(現在10,500円台)で止まるかもしれません。

日足の上カベは、日経平均の上昇が続けばそれに伴って上昇していきます。現時点では11,100円台になっており、このまま一気にこの水準まで上昇すれば目先のピークとなりやすいといえます。いったんの調整を入れて時間をかけるとさらに上を試す形となってきます。主力株が当面の日足の抵抗ラインに達するまでは、日経平均も上昇が続くことになります。東京エレクトロンの日足の上値を6,000円~6,200円としていましたが、この上値ラインが上昇していますので、この水準を少しこえることになります。ところが野村證券、みずほ、三菱UFJなどの主力株は完全に出遅れていますので、次の調整があって円安が一服していれば出遅れとして見直し買いがはいることになります。

以上の相場環境の変化を考えると日経平均の値幅でいうと昨年7月13日の9,050円から8月31日の10,767円までの約1,700円の上昇、11月27日の9,076円から今年1月15日の10,982円までの2,000円近い上昇考えると今回の2月9日の9,867円からの上昇はまだ1,100円ほどなので上値を出し尽くしていないとみることもできます。そのため、調整となっても1月15日の10,982円から2月9日の9,867円までのような大きな調整ではなく、あくまでも上昇基調の中の調整と考えると25日移動平均線(現在10,500円台)がひとつの下値メドとなるかもしれません。次の下げでは出遅れ銘柄を狙うことになります。本日(3月29日)の騰落レシオは139.5%となっています。

(指標)日経平均

先週の予測では、先々週末(3月19日)に日経平均は△80円の10,824円となり、騰落レシオも130%台の過熱ゾーンにはいってきていることから上昇基調が続いて週末が高ければ要注意としました。結局、NYダウが高値更新し、3月24日(水)にはポルトガルの格下げをきっかけにドルの全面高となって円も一気に90円前後から92円台後半の急激な円安となりました。そのため主力の輸出関連企業が買われて3月26日(金)は△167円の10,996円となって終値で1月15日の10,982円を上に抜けました。アメリカ株式はNYダウ、ナスダックの先物に売りの形がでており近いうちにいったん調整の可能性が高いと思われますが、日経平均はチャート上は上値の抵抗ライン(今日の時点で11,000円台)以外、柴田罫線でも売りの形はでていません。高値圏で大きく上下動しないとなかなかでてこないのが普通です。ただ、テクニカルな過熱感からはいつ下落してもおかしくありませんから、アメリカ株式待ちとなります。調整しても為替の当面のトレンドが円安基調になりましたので、大きな調整というより、25日移動平均線(現在10,500円台)が1つ目の下値のフシとなります。

日経平均

(指標)NYダウ

これまで、1月19日の10,729ドルに対するダブル天井を想定してきましたが、3月23日(火)は2月の中古住宅販売件数が予想を上回り、シカゴ地区連銀エバンス総裁の「FRBは超低金利政策を続ける」との発言、又、イエレン米SF総裁の「雇用市場は転機を迎えつつある」との発言で△102ドルの10,888ドルとなりました。3月24日(水)はポルトガルの格下げを嫌気して▲52ドルの10,836ドルと反落しましたが3月25日(木)は新規失業保険申請件数の改善やバーナンキ議長が超低金利政策の長期間維持をあらためて表明したことで、一時10,955ドルまで上昇しましたが後場には反落して△5ドルの10,841ドルとなりました。週末も10,909ドルまで上昇するものの後場は行って来いの形となって△9ドルの10,850ドルでした。3月24日(水)の分析で11,000ドル前後が目先ピークの水準の可能性としていますが、リーマンショック前の心理的フシ目が10,900ドル台ですので一気に抜けでるのは難しい状況です。とにかく現在の上昇は回復期待に支えられて超低金利政策の強調を受けての金余り相場ですので、様子見が基本となります。NYダウ先物とナスダック先物には売りの形がみられますので注意しておくところです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測としては、89円~91円のボックスの中で、円高基調としましたが3月24日(水)にポルトガルの格下げからユーロ売り・ドル買いとなってドルが急騰(円急落)となって、92.40円まで買われ終値は92.272円でした。3月25日(木)はEU首脳会議でのギリシャ支援の合意への期待とアメリカの好調な経済指標からドルは92.949円まで買われました。週末(3月26日)も92円台後半の動きとなって終値は92.518円でした。チャートをみると3月24日に92.272円でろあ買が出現して昨年8月7日の97.759円と今年1月8日の93.778円を結ぶ下降ラインを突破して3月25日に92.949円と93円に接近しました。1年間の中期分析でみると、昨年4月6日の101.43円と8月7日の97.759円を結ぶ三角保ち合い(A)とその中に8月7日の97.759円と今年1月8日の93.778円を結ぶ小さな三角保ち合い(B)ができており、先週はこの小さな三角保ち合い(B)を上に突破し大きな三角保ち合いの上値斜線に接近しています。当面のトレンドとしてはいったん円高方向に動きても1月8日の93.778円を抜けると95円を目指す形となります。

ドル/円