13年6月中間期に黒字転換、7-9月期の一段の業績回復を予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00338 中国石化上海石油化工(シノペック・シャンハイ・ペトロケミカル) 2.77 HKD
(09/03現在)
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中国石化上海石油化工は2013年6月中間期に純利益4億7300万元を計上し、前年同期の11億5200万元の赤字から黒字化を果たした(国際会計基準)。同期利益はBOCIの通期予想の55%相当。より柔軟な「石油製品の価格決定メカニズム」の運用に伴う石油精製部門の業績改善が大幅な収益回復を支えた。また、第6期プロジェクトの完成に伴う収益力の向上も一因。BOCIは7-9月期に一段の業績改善を見込み、同社株価の先行きに対する強気見通しを継続している。なお、同社はA株の非流通株改革(非流通株の流通化)に絡み、その対価としてA株株主に対して10株当たり5株を交付する予定。また、全株主を対象に0.05元の中間配当を実施する方針を明らかにしている。

石油製品(精製)部門の上期の営業損益は前年同期の10億7400万元の赤字から、6億1200万元の黒字に転換した。これは価格メカニズムの運用効果のほかに、12年後半の第6期プロジェクトの完工が一因。これにより、コスト削減を目的とした低品質の原油(低価格)加工が可能となり、原油調達コストは前年同期比11%減の1トン当たり平均4853元に低下した(この間のブレント原油価格の下落率は6%)。また、同社は金利コスト削減に向けて人民元融資を米ドル建て融資に借り換え、その結果、3億1500元の為替差益を計上した。人民元の対米ドル為替相場の上昇率は上期に約1%だった。

4-6月期の純利益は前四半期比53%増の2億6500万元(中国会計基準)。主に為替差益の計上が寄与した。粗利益率は1-3月期の3.9%から3.7%へやや低下したが、同社によれば、4-5月の石油製品および石油化学製品の利益率悪化が響いたという。

BOCIは精製部門の業績改善見通しを理由に、7-9月期に前期比での利益成長加速を見込んでいる。政府当局が3月後半、石油製品の価格決定メカニズムの見直しを実施し、これまで「22営業日」としてきた国内価格の調整サイクルを「10営業日」に短縮したことが背景。また、国際原油相場はエジプト情勢の緊迫化を受けて7月初めに高騰したが、輸入原油を発注してから手元に届くまでには2カ月かかり、7-9月期はこのタイムラグが利益率改善につながる見通しという。

一方、上海では9月初め、ガソリンの品質基準が「4」から「5」レベルに引き上げられ、硫黄含量に関する要求がより厳しくなる半面、オクタン基準が緩やかになった。BOCIは◇オクタン基準の低下によるコスト軽減、◇硫黄基準の厳格化に伴うガソリン値上げ観測――という2つの点から同社の追い風になるとみている。

BOCIは13年の利益見通しを20%上方修正する半面、為替差益が見込めないとの理由から14-15年の予想を1-7%下方修正した。それでも14年のコア利益伸び率が前年比50%弱に達するとの見方。13年予想PBRで1.25倍をあてはめた上で目標株価を据え置き、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。