13年中間期に42%減益も「最悪期」脱却、海外部門の年内採算化を予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01070 TCL多媒体科技控股有限公司(ティーシーエル・マルチメディア・テクノロジー・ホールディングス) 4.41 HKD
(08/16現在)
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TCL多媒体科技の2013年6月中間決算は、売上高が前年同期比22.4%増の180億7700万HKドルに達する一方、純利益が同41.7%減の2億5400万HKドルにとどまった。うち4-6月期の純利益はわずか5871万HKドル。中国国内での補助金制度の終了に伴う6月の出荷台数の落ち込みや、小型テレビの販売比率の上昇に伴う粗利益率の悪化が響く形となった。また、円安を受け、輸出部門は中間期に1億1300万HKドルの赤字に転落した(前年同期は1億600万HKドルの黒字)。ただ、液晶テレビ出荷は7月から回復傾向を示し、国内出荷の落ち込みに歯止めがかかりつつある。BOCIは4-6月期の業績悪化や子会社Tonly(通力電子控股)のスピンオフを理由に、13-14年の予想純利益を下方修正しながらも、「すでに最悪期を脱した」との見方。欧州および新興国向けの輸出見通しを楽観視し、株価の先行きに対して強気の見方を継続している。

6月中間期には前年同期比42%の減益となり、同期の粗利益率は前年同期を2ポイント下回る15.7%。営業利益率も2.4ポイント低下して1.8%だった。4-6月期の売上高は同20%増の86億9300万HKドルで、純利益は同52.9%減の5871万HKドル。粗利益率、営業利益率は1.7ポイント、2ポイント後退し、純利益率は前年同期の1.7%から0.7%に悪化した。6月中間期の出荷台数は、液晶テレビが前年同期比18.5%増、CRT(ブラウン管)テレビが45.9%減となり、液晶が全体の92%を占めた。また、スマートテレビ、3Dテレビの出荷台数はそれぞれ220.6%、97.2%の伸びを記録した。

国内向け出荷台数は補助金終了による影響で、6月に前年同月比36%減少したが、7月には同20%減と下げ幅が縮小した。経営陣は「9月にはプラス成長を回復する」とみている。また、国内向けの平均販売価格は13年上期に前年同期比4.4%上昇しており、BOCIは下期にさらに上向くと予想。小型テレビ(主に32インチなど)の販売比率の低下もあり、平均価格、粗利益率ともに大きく改善する見通しを示している。なお、競合のスカイワース(00751)は補助金終了によるダメージから早々に立ち直り、7月の出荷台数がプラス成長を回復した。BOCIはTCL多媒体科技の出荷状況の回復が相対的に遅れている理由として「小型テレビの比重の大きさ」を指摘しながらも、補助金終了による同社へのマイナス影響は2-3カ月にとどまるとみている。

13年上期には欧州向け出荷台数の22%をスマートテレビが占めた。また、4-6月期には新興国向けにアンドロイド対応のスマートテレビを投入。円安によるマイナス影響が段階的に和らぐ見通しや、ブランド構築、販路構築の進行などを理由に、BOCIは輸出部門の下期の業績改善を予想。13年末までには再び採算ラインに乗せると予想。ハイエンド機種の普及率が高い欧州市場が、今後の利益成長エンジンとなる見通しという。