2月19日
中小都市部の物件供給過剰が懸念材料、「不動産税」など短期的な締め付け強化も

中国大都市部(1級都市)での住宅価格の上昇を受け、年初から不動産引き締め懸念が高まっている。実際、短期的に新たな過熱抑制措置が導入される可能性が高く、具体的には◇土地供給の拡大◇不動産税の導入◇住宅ローン引き締め(一部地域や一部の買い手が対象)――などの可能性が浮上している。BOCIのリサーチによれば、投資家は関連政策動向に着目しており、中でも不動産税の試験導入地域の拡大に対して注目度が高いという。今後の引き締め強化が需要減速や競争激化につながるとの懸念から、香港株式市場では不動産セクター全体が年初から2.8%ほど調整した。

BOCIによると、国内14都市では今年第4週-5週目(1月21日-2月3日)に軒並み住宅成約面積が急増し、最低でも前年同期比177%の伸びを記録した。前年実績の低さによる反動増が一因。大都市部では住宅成約面積、平均分譲価格ともに力強い回復傾向がみられた。一方、中堅都市(2級都市)では、地元の好景気を受けた売れ行き好調や物件在庫の縮小を背景に、江蘇省南京市、福建省アモイ市の住宅市況が相対的に好調。この2都市の事業ウエートが相対的に大きいデベロッパーに恩恵が及ぶ見通しだ。

第6週-7週目(2月4日-17日)には成約面積の伸び率が都市部全体で減速傾向を示したが、これは旧正月という季節要因によるもの。不動産市場は例年、旧正月シーズンに閑散期を迎える。ただ、旧正月期に当たった7週目の成約状況は前年旧正月週に比べて堅調で、深セン、重慶を除く12都市で成約面積が増加した。

BOCIは中国政府が短期的に、不動産税の試験エリア拡大に動く可能性が高いとみている。ただ、この措置が住宅市況に与える実質的な影響については「株価に及ぼす影響ほど顕著かどうか未知数」との見方。それ以上に中小都市部(3級都市以下)における供給過剰を懸念している。旧正月連休中の現地視察によれば、中小都市部では物件需要自体が大都市より明らかに弱い状況下で、新規の供給持続が需給バランスを悪化させており、価格競争の激化もみられたという。

中国国内の住宅成約面積は前年同期実績の低い5月まで大幅な増加ペースが続くとみられるが、その後は減速傾向に転じる見込み。前年実績が高い下期には低成長、あるいはほぼゼロ成長となる可能性もあり、これが不動産銘柄の株価のボラティリティにつながる可能性が出ている。

不動産銘柄の現在株価は2013年予想NAV(1株当たり純資産価値)比で36%のディスカウント水準まで値上がりしており、BOCIは一段の上値余地は限定的とみている。2009年には対NAVディスカウント率が20-25%まで縮小したが、現在は景気、政策環境が異なると指摘。セクター全体に対する中立的な見方を据え置き、個別では華潤置地(01109)、融創中国(01918)を2013年のトップピック銘柄としている。