2月6日 
スケールメリットと価格競争力で国有大手が有利、業界の高い成長を享受

中国政府は人口の90%に安価な医療サービスを提供することを目的に、2009年初めに3カ年の医療セクター改革を発表。同改革により業界のダイナミクスは大きくシフトし、あらゆる階層で提携や統合が進み、高い自律的成長が期待される一方、値下げ圧力による利益率の圧迫が課題となっている。

こうした状況下、医薬品販売セクターではスケールメリットのある国有大手が価格交渉力を発揮。川上の医薬品製造および川下の競合に対して優位な立場にある。さらに、同セクターは医療業界内でも特に統合再編が進んでいるため、業界平均を超える成長が期待される。また国有大手企業を中心とした統合には政府の後押しもみられる。

政府の医療業界改革は需要サイドのダイナミクスにも変化をもたらした。今後は地方の等級の低い病院(1-2級)が成長の中心となるため、医薬品販売セクターでは1-2級病院へのネットワークの浸透が長期的な成功の鍵を握る。

一方で、これら潜在性の高い市場は利幅が薄く、ネットワーク拡大による利益率の圧迫が課題となる。これまでとは違い、製品構成や地域構成による利益率の改善余地は縮小傾向にあるため、営業レバレッジによる価格競争力の維持が重要。

医薬品販売は構造的に運転資金がかかる業界。現金の回収に時間がかかるため、成長持続のためには豊富な手元現金が必要とされる。このため、借り入れ、株式発行、ファクタリングを駆使した資金調達が求められる。

中国医療業界の急速な成長と限定的な政策リスクを背景に、BOCIは業界内でも特に医薬品販売セクターを長期的に注目。1)スケールメリット、2)販売ネットワーク、3)潜在市場への浸透、4)営業レバレッジと価格競争力、5)手元現金と資金調達力、といった要件から判断し、セクター内では国有大手の国薬控股ツꀀ(シノファーム・グループ、01099)が長期的に強さを発揮するとみている。ただ、株価は同社の優位性をすでに反映しており、現時点の上値余地は少ない。このため短期的にはシノファームに比べて割安な上海復星医薬(集団)を選好している。