1月21日
証券会社の店頭ビジネスが始動、業界全体の長期成長に寄与
中国株式市場の主要指標「上海総合指数」は先週(1月14日週)、週間値上がり率が3.3%に達したが、うちA株証券セクターの株価指標は6.5%上昇し、全体相場をアウトパフォームした。また、香港株式市場でも中信証券(06030)、海通証券(06837)がそれぞれ6.4%、3.6%値上がりし、ハンセン指数(値上がり率1.5%)をアウトパフォームした。BOCIは証券銘柄のベータ値の高さを理由に、ハイリスク戦略において優先的な選択肢になるとみている(ベータ値は主要株価指数に対する個別銘柄の株価の感応度を示す指標。数字が大きいほど値動きが大きくなることを示す)。また、海通証券が1月14日、初めて店頭取引商品5種を正式に発売したことに着目。資産運用商品の設計、販売において、証券会社が短期的に銀行を超えることは難しいとしながらも、こうした動きが証券業界の長期発展につながるとみている。
本土A株市場は12年12月から反騰に転じており、BOCIによると、証券銘柄の12月の純利益は前月比228.2%の伸びを記録した。相場の好転に伴い売買規模も上向き、上海および深セン市場の1日当たり売買代金は先週、合計2365億元に達した。
A株市場ではエクイティファイナンスが引き続き停滞し、IPO(新規株式公開)資金調達額は2012年に前年比63.4%減少した。ただ、新株発行による資金調達が低迷する一方、起債規模の拡大が鮮明。12年には短期融資券、中期手形、企業債、公司債(社債)の発行規模がそれぞれ前年比50.2%増、38.9%増、158.4%増、98.0%増を記録した。
中国証券業協会によると、証券会社の運用資産総額は12年末に1兆8900億元。現時点でウエートが大きいチャネルビジネスは、販売規模の拡大に伴い規制リスクにさらされており、証券各社は現行ビジネスモデルの見直しやリスク管理の強化を進める必要に迫られている。一方、相場の回復に伴い、上海・深セン両市場の信用取引および空売り残高は年末に各1012億元、38億元に膨らんだ。
中国証券業協会は12年12月、海通証券、国泰君安、国信証券、申銀万国、中信証券、広発証券、興業証券の7社を対象に、店頭ビジネスの開発を認可した。1月14日には海通証券が先頭を切って、「一海通財」「海通月月財」など店頭商品5種を投入しており、BOCIは長期視点から新規業務の始動を前向きに受け止めている。
A株上場の証券銘柄は現在、13年予想PBR(株価純資産倍率)2.15倍、予想PER41.14倍の水準で取引されている。一方、H株証券銘柄の同PBR、PERは平均1.81倍、28.84倍。BOCIはROE(株主資本利益率)を基に、証券銘柄のバリュエーションが相対的に高水準にあると指摘。短中期的な投資妙味はA株相場の反騰を背景とした証券銘柄の高ベータ値にあるとし、A株、H株の両証券セクターに対して中立的な見方を明らかにしている。
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