11月15日
国内需要回復も電力銘柄にやや慎重見通し、大手設備銘柄を有望視

中国国内の電力需要は第4四半期に入って回復傾向に転じている。また、これまで低調だった火力発電プロジェクトへの投資額も9月、10月とプラス成長を確保。一時停止状態にあった原発建設プロジェクトも再開に漕ぎ着けた。BOCIは発電設備銘柄の中で、大手の上海電気集団(02727)に対して強気の見方を示している。一方、電力セクターに対しては石炭契約価格制度の見直しをややネガティブと捉え、年初からの業務統計を、もとに、華能国際電力(00902)、大唐国際発電(00991)の2012-14年利益見通しを小幅に修正した。また、利益成長ペースの減速見通しや石炭契約価格制度の見直しによるマイナス影響を考慮し、電力セクターに対する中立的な見方を継続。個別では華潤電力控股(00836)に対する強気見通しを明らかにしている。

中国では10月、火力発電部門の投資額が前年同月比13%の伸びを示し、これで2カ月連続してプラス成長を確保した。BOCIによれば、政府当局によるプロジェクト認可の加速に加え、火力発電事業者の採算性改善がここ2カ月間の投資回復に寄与した。

原発部門ではすでにG3技術を修得した東方電気(01072)と上海電気集団が、建設プロジェクト再開による恩恵を受ける見通し。この2社の中では上海電気集団のG3技術の成熟度がより高いという。また、ハルビン電気(01133)も原発設備を手掛けるが、この分野では後発組で、BOCIは「原発部門の貢献は他2銘柄を下回る」とみている。

一方、中国の電力消費量、発電量は1-10月に前年同期比4.9%増、3.9%増と伸び悩んだが、10月には電力消費が加速傾向を示し(前年同月比6.1%増)、回復局面入りを示唆した。ただ、BOCIは回復ペースが予想以上に鈍いと指摘。2012年の電力消費量、発電量伸び率に関する予測値をそれぞれ前年比5.3%、4.7%に下方修正している。

電力需要の回復傾向や洪水期が終わったという季節要因から、BOCIは火力発電セクターの設備稼働率がすでに底打ちし、今後は上向きに転じるとの見方。今年の火力、水力発電設備の稼働率がそれぞれ58.2%、36.2%になるとみている。この通年予測は1-10月実績比で、それぞれ2.4ポイント上昇、6.3ポイント低下となる。

石炭調達面においては価格決定政策の見直しが12月にも発表される見込み。BOCIによると、これに伴う電力銘柄のプラス材料は石炭取引コストの低下や供給確保面での透明性向上、動力用炭の供給過剰を受けた電力会社側の価格決定力の向上など。逆にマイナス材料は需給変動要因を無視した“契約価格一本化”の無効性や、これにより契約調達量が不足し、結果的にコスト増につながる可能性があることなど。総合的にみた場合、BOCIは電力銘柄への影響をややネガティブと受け止めている。十分な石炭供給量の確保を目指せば、契約価格が輸入価格を上回る可能性すらあり、逆に契約価格がスポット価格を大幅に下回った場合、生産者側の契約不履行につながる可能性があるとしている。