6月中間決算は予想以上の業績、魅力的な配当利回りを踏まえトップバイに推奨

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00880 澳門博彩控股有限公司黴€(エスジェイエム・ホールディングス)  15.10 HKD
(08/09現在)
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澳門博彩控股(SJM)の12年6月中間決算は、売上高が390億HKドル、EBITDAが38億HKドル、純利益が34億HKドルと、予想を上回る業績を示した。同社は0.1HKドルの中間配当を実施する方針。12年通年の配当性向は11年の76%程度を維持するとBOCIは予想し、同社の目標株価を12年予想EV/EBITDA10.7倍相当の18.60HKドルに据え置いた上で、同銘柄をマカオカジノセクターのトップバイに推奨している。

4-6月期に競合のサンズ・チャイナがコタイ地区にサンズ・コタイ・セントラル(SCC)を開業したものの、SJMの同期市場シェアは26.7%と11年下期および12年1-3月期と同水準を維持。SJMはVIP顧客、サンズは一般のファミリー層およびツアー客と、それぞれのターゲット層が異なるため、SCC開業の悪影響は予想以下に留まった。今後SCCが大規模なハイエンドゲームフロアをオープンしない限り、SJMのシェアに大きな変化は生じないとみて、BOCIは向こう12カ月間のシェア下落リスクは少ないと指摘している。

VIP部門の成長が減速する中、同社は旗艦施設グランド・リスボアに新たなVIPルームの開設を計画中。利益率を上げるため、傘下のサテライトカジノから42のVIPテーブルと200人の従業員をグランド・リスボアの9-10階部分に移設する。グランド・リスボアのVIPテーブル当たりのローリング金額は、周辺のサテライトカジノの1.9倍(12年上期)。VIP客に対するジャンケット(仲介業者)の貸付金額は減少傾向にあるが、ジャンケットの手元資金は豊富なため、VIPルームの増設でジャンケットの取引量拡大を狙う。

一方、直営の「オケアノス」にメンバー専用フロアを新設。レストラン部門の強化や人気テーブルゲームおよびスロットマシーンのプロモーションを通じて一般客の呼び寄せにも注力している。また、子会社のポンテ16が12年4月に19億HKドルおよび4億元を銀行融資により調達。資金はカジノとホテルを併設する複合施設の第3期建設に充当される。施設の完工は2014年の予定。さらに、コタイ地区に計画中のSJMコタイは、土地取得交渉がうまくいけば13年上期にも建設が開始される見通し。新規施設の建設期間は3年から3年半、総工費は200億HKドルとBOCIは予想している。

BOCIはリスク要因としてSJMの市場シェア下落が挙げている。VIP客および一般観光客がマカオ半島のカジノからコタイ地区へ流れており、特にサテライトカジノにおけるVIPおよび一般カジノ収入の減少が懸念材料。