マーケティング戦略の見直しを前向きに評価、収益性改善に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00762 中国聯通(香港)(チャイナ・ユニコム(ホンコン)) 10.26 HKD
(07/05現在)
 株価
 企業情報
 チャート

BOCIは携帯端末メーカー筋の情報から、チャイナ・ユニコムがより慎重なマーケティング戦略に転じたとの見方を示し、これが収益性の改善につながると前向きに評価している。複数の端末メーカーによれば、同社向けの出荷台数は低調。BOCIはこの情報を受け、収入およびマーケティング費の管理において従来より慎重な戦略に転換したと受け止めている。また、5月の3G加入純増数の低調や、3Gプリペイドサービスへの参入も、同社の戦略転換を示唆すると指摘している。

プリペイドパッケージの販売に関しては、ARPU(加入者1人当たり月額収入)の低下につながる、あるいは競争激化を招くとの警戒感も出ているが、BOCIは前向きに受け止めている。その理由は主に3点で、うち一つは3Gがもはや高所得層向けのプレミアムサービスではなくなったこと。国内の3G加入者総数は5月末時点で1億6700万人と、携帯電話加入者総数のわずか16%に過ぎないが、実際には複数のSIMカードを用いている2Gユーザーも多く、実際の3G普及率はさらに高水準にあるという。

第2の理由は、3Gプリペイドパッケージの販売を受けたARPUの低下が、利益率の改善につながるとみられること。BOCIがプリペイドプランと契約プランの料金を比較したところ、メガバイト単位のデータ通信料および音声通話料はいずれも、プリペイドのほうが高いとの結果が示された。また、プリペイドサービスは端末補助金やコミッションが低く、顧客獲得コストは明らかに契約ユーザーより割安。EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)への寄与度(年率換算)では、低価格スマートフォンの契約加入者を上回るとの結果も明らかになった。

第3の理由はプリペイドサービスが地方都市における3Gネットワークの稼働率アップにつながるとみられる点。同社のネットワークは北京や上海などの大都市で過負荷レベルにある半面、地方都市部では稼働率が低く、BOCIは同社の懸念材料の一つとして、データトラフィック需要とネットワーク処理力とのミスマッチを指摘していた。また、オンライン上での3Gプリペイドパッケージの販売が、「南部市場に弱い」というウイークポイントの改善にもつながるとみている。

BOCIは同社株価がこれまでの大幅な調整を経て、純資産価値を10%ほど下回る水準にあると指摘。リスク・リワード比が明らかに改善したとみて、同社株価の先行きに強気の見通しを示している。また、ここ1カ月間に証券6社が利益見通しを下方修正したことに触れ、2012年通期利益に関する市場予想(ブルームバーグのコンセンサス予想69億8000万元)が、自社予想(64億9000万元)にかなり接近したと指摘した。6月の3G加入純増数が引き続き低調推移する可能性に触れながらも、そのリスクはほぼ株価に織り込まれたとみている。