ハイエンド車種へのシフトと輸出拡大が強み、景気減速下で安定成長持続へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00175 吉利汽車(ジーリー・オートモービル) 2.77 HKD
(07/05現在)
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中国地場系のトップメーカーである吉利汽車は現時点で9工場(1シフト当たり年産台数60万台)を操業し、昨年通年の自動車販売台数は42万1611台に達した。3つのサブブランドを展開し、中価格帯および低価格帯が主力。親会社の浙江吉利控股集団(ジーリー・ホールディング・グループ)は2010年にボルボを全面買収しており、吉利汽車はこの先、ボルボとの提携効果を背景に、製品ポジションニングの向上を目指すとみられている。BOCIは販売台数の安定成長や利益率の安定推移を見込み、2011-14年の純利益が年率17.2%の伸びを示すとの見方。株価の先行きに強気の見方を示すとともに、同社のカバレッジを開始した。

中国の新車市場はここ数年でアップグレードが進み、10万元以下の低価格車種の国内シェアは2006年の47.3%から、2012年1-5月期には33.8%に低下した。一方、10万-30万元の中価格車種のシェアは、この間に41.6%から55.8%に上向いた。同社はこうした市場の変化に対応するため、2009年にEmgrand(帝豪)のブランド名でハイエンドモデルを投入。2010年、11年にはハイエンドモデルの販売好調が低価格車種の低迷を補う形となり、11年に25%だったEmgrandの販売比率は今年5月に30%まで上昇した。また、同社の輸出台数は昨年通年で3万9633台と、販売台数全体の9.4%を占めたが、今年はおよそ8万台に拡大する見込み(輸出先は52カ国)。ハイエンドモデルへのシフトや輸出の伸びが奏功し、同社は国内景気の減速局面で売り上げを伸ばし、安定的な利益率を維持している。

競争力などの面でも同社の進化は著しく、EC7モデルはすでに、欧州で実施されている自動車衝突安全テスト「ユーロNCAP」で4つ星を獲得した。また、6段階のオートマチックトランスミッション(AT)の搭載車種を拡大しており、自社で創設した大学や研究機関を通じて優秀な人材の確保を進めている。BOCIはこうしたハード、ソフト両面の強みが同社の安定成長を支えるとみている。

2012年1-5月の販売台数は前年同期比2.28%増の18万7895台。過去3年間の例をみると、同社の販売台数は7-9月期、10-12月期に段階的に増える傾向があり、BOCIは2012年通年で前年比9.11%増の46万台に達するとみている。また、今後はボルボとの提携強化を背景にマネジメント、技術、営業効率の改善が進み、売上高や利益率の向上に寄与するとの見方。同社はボルボXC90をベースに吉利ブランドの新型モデルを開発し、2014年にもハイエンドの高級車市場に参入する計画であり、これに伴うブランドイメージの一段の向上も見込まれている。

一方、BOCIは同社のリスク要因として、新型モデルの開発・販売や政府補助金関連のリスク、粗利益率の低下、自動車購入制限などの政策リスクを指摘している。