本年(2014年)からスタートしたNISA(ニーサ)。すでにNISAの非課税枠を使って株式やETF等の買い付けを行った個人投資家も多いようです。

そこで今回は、NISA関連のランキングを参考にしながら、NISAをより有効に活用するための対策を考えてみたいと思います。

高配当利回り銘柄や高成長期待銘柄が上位にランクイン

楽天証券では、下記のURLにて、NISA口座での買付代金ランキングや口座保有残高ランキングを発表しています。

https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/ranking/nisa/

NISA口座内での国内株式の買付代金や保有残高のランキングをみると、武田薬品(4502)三菱商事(8058)、大手銀行株といった「高配当利回り銘柄」がランクインしています。それ以外にもキヤノン(7751)トヨタ自動車(7203)NTTドコモ(9437)など日本の代表する大企業が目立ちます。(2014年2月12日のランキングより)

やはり、特に初心者にとっては、すでに日本の代表的企業として名の通っている銘柄へ投資するのが安心なのかも知れません。

また、最新のランキングでは圏外となっていましたが、1月24日~1月30日分のランキングではソフトバンク(9984)楽天(4755)コロプラ(3668)といった、今後の高成長が期待できる銘柄がランクインしていました。

こうしてみると、NISAの買付対象として、個人投資家は無難な選択をしているように感じました。

日本マイクロニクス株のランクインから感じる「個人投資家のセンス」

こうした「高配当株」や「高成長株」が軒並みランキング上位を占める中、異色の存在といえるのが日本マイクロニクス(6871)です。1月24日~1月30日のランキングでは、買付代金、口座保有残高とも10位となっています(ランキングは毎週更新されるため、最新のものはこれとは異なっています)。

日本マイクロニクス株は、他の銘柄よりも知名度、企業規模(時価総額)の点ではるかに劣っているはずです。それなのになぜランクインを果たしているのでしょうか?

日本マイクロニクスがランクインしていることにつき、専門家は「直近の株価の急速な上昇につられて買った投資家が多かっただけで、長期保有が前提のNISAでの投資対象として疑問」と考えているようですが、筆者は決してそうは思いません。

確かに日本マイクロニクスは短期間に株価が急騰したため、さらなる短期的な株価上昇を期待してNISA口座にて買い付けた個人投資家も中にはいるでしょう。しかし、おそらく多くの個人投資家は、日本マイクロニクス株の「将来性に賭けた」のだと思います。

日本マイクロニクスは昨年11月下旬のプレスリリースにて「量子電池」という画期的な新電池を開発したことを発表しました。これが実用化して世に広まれば、エネルギー革命を起こすほどの大材料といわれています。これが日本マイクロニクス株の「将来性」です。

もちろん、目論見どおりに行かず、実用化にこぎつけることができなければ日本マイクロニクス株の株価は下落し、含み損を抱える結果になるでしょう。しかし、日本マイクロニクス株に投資した個人投資家は、「損しても最大100万円。逆に量子電池が世に大きく広まれば100万円が1000万円、1億円になるかもしれない」と考えているはずです。

「譲渡益がどんなに膨らんでも非課税」というNISAのメリットを最大限に生かす、という点からみれば、日本マイクロニクス株を選んだ個人投資家は、センスがあると筆者は思います。

ETFの傾向と対策は?

国内ETF/ETNのNISA口座でのランキングもみてみましょう。ランキング上位には、日経平均株価やTOPIX、そして新しい指数であるJPX日経インデックス400に連動するタイプのETFが並んでいます。REITのETFもランクインしています。

そんな中で注目は、いわゆる「レバレッジ型」のETFです。NF日経レバレッジETF(1570)TOPIXブル2倍投信(1568)日経平均ブル2倍(1579)が該当します。

ご存知の通り、NISAの非課税枠は、1年当たり100万円が限度です。しかし、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数に連動するETFは、個別銘柄に比べてそれほど値動きが大きくありません。したがって、個別銘柄よりも値下がりのリスクは小さくなる一方、非課税によるメリットもそれほど大きくは望めません。

でも、レバレッジ型のETFであれば、日経平均株価やTOPIXの約2倍の値動きをしますから、首尾よく日経平均株価やTOPIXが大きく上昇した場合、より高いリターンを得られることになり、ひいては非課税のメリットもより享受できることになります。レバレッジ型のETFに100万円投資すれば、通常のETFに200万円投資するのに近い効果が得られるのです。

リスクを承知で、成功したときのリターンをより高く目指すのであれば、こうしたレバレッジ型のETFで「大きく取りに行く」のも悪くないでしょう。

NISAでまだ買い付けをしていない方へ~今後考えうる選択肢は?

NISAの非課税枠を使った買付をまだ行っていない、という個人投資家の方も多いと思います。そこで、上記以外(高配当利回り銘柄、高成長銘柄、将来性に期待できる銘柄、レバレッジ型ETFなど)に加え、今後考えうる選択肢をあげてみたいと思います。

1.株価が低い銘柄への分散投資

いわゆる「ボロ株投資」と呼ばれる手法です。株価が低位に放置されている銘柄を何銘柄か組み合わせて投資します。相場全体の上昇や個別銘柄の業績向上により、その中の一部の銘柄だけでも大きく上昇すれば、投資元本を大きく上回る投資成果が期待できます。

2.株価が大きく下がったときに投資

よほど強い上昇相場でない限り、1年のうち1~2回は、株価が大きく下落する場面が訪れます。そのような場面では、信用評価損益率がマイナス20%に近づいたり、25日騰落レシオが60%割れになったりします。

また、リーマンショックや東日本大震災など、突発的な出来事が起きると、短期間に株価が急落し、優良株も含めて株価が投げ売り状態になります。

NISAは損失が生じても切り捨てになってしまいますから、「できるだけ安く買う」に越したことはありません。そこで、株価が大きく下がった場面を待って買い付けるのです。

上記であげた方法や1.の方法と2.の方法を組み合わせることができれば、より有利な価格で買い付けをすることができるはずです。

<参考>筆者の今年のNISA投資

ちなみに、筆者は今年の非課税枠はほぼ使い切りました。銘柄は申し上げられませんが、「将来の夢」を買いました。投資した銘柄の業績が様変わりして、100万円が100倍の1億円になったら、約2000万円も非課税の恩恵が受けられるなあ…などと想像を膨らませて楽しんでいます。無論、そこまでうまく行く可能性は低いですが、宝くじで大当たりするよりはるかに可能性は高いと思っています。

普段は株価が値下がりしたら損切りを徹底するのが筆者の投資スタンスですが、アベノミクス相場で利益も出たことですし、100万円くらいは「夢を見る」ために使ってもいいかな、と考えたのです。

本当は、上記2.のような、株価が急落したタイミングで買い付ければよいのかもしれませんが、それまでに逆に株価が大きく上昇してしまうリスクを考え、年明け早々に買い付けを済ませてしまいました。

NISAの活用法は人それぞれです。損失に対する救済が全くされないのがNISAのデメリットですから、非課税枠を使った買い付け後に株価が多少下がったとしても後悔しないような銘柄選択をするようにしてください。