「絶対にデフォルトしない」「いや、もしかしたら・・・」飛び交う専門家の見解

10月第1週~第2週の日本株式は、9日までは軟調に推移したものの、10日、11日は大きく上昇しました。アメリカの政府機関閉鎖や、債務上限問題に日本株式も振り回されている印象です。

投資家の最大の関心事である債務上限問題については、「いつもの政治ショーで、またギリギリになって解決するだろう」とか、「いや、もしかしたら米国債のデフォルトが起こるかもしれない。そうなったら世界中がパニックになる」などと、色々な専門家が色々な見解を述べています。

事態がどう転んでも対処可能にしておくのが個人投資家のとるべき行動

でも、個人投資家は、そうした専門家の見解を鵜呑みにして投資行動を決定することは絶対に避けなければなりません。自分が信じた専門家の見解とは異なる結果となったとき、下手をすると致命的なダメージを受けてしまう恐れさえあるからです。

個人投資家はどのような結果になるかを決めつけるのではなく、「事態がどう転んでもよいように準備しておく」ことこそが必要です。

筆者も、債務上限問題については何らかの形でクリアするのだろうと思っています。また米国債の長期金利(大問題になるならもっと長期金利が急上昇してよいはず)や、VIX指数(大問題になるならもっと上昇してよいはず)が落ち着いた動きを見せていることから、大きな問題にはならなそうだという予測はたちます。

ですが、投資の世界に「絶対」はありません。万が一、問題がいっこうに解決しなかったり、実際にデフォルトが起きたときのことも考え、いくつかの対策をとっています。

基本はトレンドに従った売買+オプション・先物・ETFでヘッジ

基本は、どんな懸念材料があったとしても、個別銘柄ごとの株価のトレンドに応じて投資行動をすることには変わりありません。

いつものことですが、持ち株のうち下降トレンドに転じた銘柄についてはヘッジ目的でツナギ売り(空売り)をつけています。空売りができない銘柄については一旦売却します。再度上昇トレンドに転じた時点で、ツナギ売りの解消や売却銘柄の買戻しを行います。

そして、もしアメリカに万が一の事態が起こったときのリスクヘッジとして、「プットオプションの買い」および「先物売り」を実行しています。

多額の現物株を保有しているときは、基本的にプットオプションの買いも常時保有しているようにしていますが、今回は万が一の事態になったときのインパクトが大きいので、プットオプションの買いを少し多めに保有するとともに、日経平均先物売りも行っています。

さらに、今回はアメリカ発の悪材料ですので、万が一の事態が生じればアメリカ株が急落する可能性が高いと思われます。そこで、VIX短期先物指数のETFを買ってあります。

各対処法のポイントは?

これらの対処法につき、以下にポイントを挙げておきます。

トレンドに沿った売買
悪材料を懸念して株価がゆるやかに下落しているのであれば、下降トレンドに転じた銘柄からツナギ売りもしくは売却を行って順次ポジションを縮小していきます。これにより株式への投資額が抑制されるので、結果的に守りにつながります。
プットオプションの買い
突発的な悪材料が出るなどの理由で株価が急落した際に有効です。
株価が急落すると、ストップ安売り気配で売るに売れないなど、トレンドに沿った売買ができない恐れがあります。しかし、株価急落によりプットオプションの価格は逆に急上昇するので、保有株の値下がりによる損失をある程度カバーすることができます。
先物売り
大問題が生じなくても、「大問題がもしかしたら起こるかもしれない」という思惑が市場内でくすぶっていると、株価は急落こそしないもののダラダラと下げ続けることがよくあります。
プットオプションは、株価が急落するような場面では威力を発揮しますが、ダラダラとした下げにはあまり効果がありません。
そこで、日経平均先物などを空売りして、株価下落に備えることが有用です。
その際、個別銘柄の売買と同様、日経平均株価が下降トレンドに転じたら日経平均先物を空売りし、再度上昇トレンドに転じれば買い戻すようにします。
VIX短期先物指数連動型ETFの買い
このETFは、アメリカ株のボラティリティ(投資家が考える株価の将来の予想変動率)を表したVIXの短期先物指数に連動したものです。
アメリカ株が急落すると、VIX短期先物指数は急上昇するため、このETFの価格も大きく上昇します。
このETFは、VIX短期先物指数の特性上、時の経過に伴い価格が減価していくので、長期間の保有には不向きです。そのため、突発的な株価急落に備えて保有を続けることはあまりお勧めできません。しかし今回のように、問題が生じるとした場合のデッドラインがあらかじめ分かるような場合は、その間の急落に備えたリスクヘッジとして有効です。

リスクヘッジのコストは「必要経費」と割り切ること

もし、大きな問題とならないうちに政府機関閉鎖や債務上限問題が解決されれば、株価は上昇するでしょうから先物売りやプットオプションの買い、ETF買いにより損失が生じるおそれがあります。でも、これは必要経費と割り切るほかないと思います。日常生活でも、万が一に備えて生命保険、火災保険、自動車保険などに加入しますね。これと同じことです。

今回のようなことは、株式投資を続けていると何度でも起こります。私が行っている方法も参考にしていただき、「いつ何が起こっても大丈夫」な状態にしておくことを心掛けてください。

時には今回のように悪材料の存在があらかじめ投資家に分かっているケースではなく、上昇トレンドまっただ中で突然悪材料が生じることもあり得ます。

それに備える方法としては、やはりプットオプションの買いが向いているのではないかと思います。