今回以降、いよいよ来年(平成26年)から始動するNISA(ニーサ)に関する特集コラムを不定期ですが連載します。巷ではすでにNISAに関する記事、コラムがいくつか出ていますが、本コラムをご覧いただいている読者の皆様は、主に日本株の個別銘柄に投資されている方が多いと思いますし、筆者も同様です。そこで、そうした立場から考えたNISAの活用法、注意点などを取り上げていくつもりでおります。

今回は初回ということで、導入編として来年以降に改正される証券税制の内容を、NISAも含め簡単にご紹介したいと思います。

上場株式等の譲渡益・配当金への源泉徴収税率が来年以降引き上げに

来年(平成26年)1月から、上場株式等の譲渡益および配当金にかかる源泉徴収税率が変更となります。

本年(平成25年)までは特例として10%の税率となっていましたが、来年以降は本則である20%の税率に戻ることとなります。

なお、本年以降25年間は、通常の税率の他に復興特別所得税が加算(通常の税率の2.1%)されます。そのため、本年と来年以降で、税率は以下のように変更となります。

  • 本年:10.147%(所得税・復興特別所得税7.147%+住民税3%)
  • 来年以降:20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)

NISA(ニーサ)、いよいよ来年からスタート

来年(平成26年)から、少額非課税投資制度(愛称NISA・ニーサ)がいよいよスタートとなります。このNISAは、以前よりすでに法制化されていましたが、上場株式等の譲渡益・配当金の10%軽減税率の延長に伴い先送りされていました。それが、本年で10%軽減税率が終了することに伴い、ついに始動することになったのです。

非課税口座の開設期間は平成26年1月1日から平成35年12月31日まで、非課税の対象となるのは、非課税期間(5年間)の間に非課税口座内で受け取る上場株式等の配当金や、非課税口座内の上場株式等についての譲渡益です。

非課税となる上場株式等の投資限度額は、1年につき100万円までです。非課税期間は5年間ですから、毎年限度額いっぱいまで非課税口座に上場株式等を受け入れれば、5年後の平成30年には、100万円×5年=500万円につき、非課税の恩恵を受けることができることになります。

NISAに関しては、今後のコラムにて詳しく取り上げていきますので、今回は簡単に触れるだけとさせていただきます。

公社債の課税方式が平成28年以降大きく変わる!

少し先の話ですが、平成28年1月以降、公社債の利子所得や譲渡所得に対する課税方式が大きく変更されることになります。

公社債には、国債、地方債、公募公社債、上場公社債のほか、公募公社債投資信託なども含まれます。

まずは利子所得です。現在は、公社債の利子所得は20%の税率の源泉分離課税(預金の利子と同じ)となっていますが、これが平成28年以降は、20%の税率の申告分離課税となります。その上で、申告不要制度の措置が設けられます。

つまり、上場株式や公募株式投資信託の配当所得に合わせた形に変更されるということです。

なお、平成49年までは、復興特別所得税が上乗せして課税されるので、上記の「20%」は「20.315%」となります。

次に譲渡所得です。現在は、公社債の譲渡所得は非課税となっています。公社債の売却の際、利益が出ていても税金は課税されません。一方、売却時に損失が出ていた場合は、その損失がなかったものとされます。

これが、改正後は、20%(平成49年までは20.315%)の税率の申告分離課税となります。その上で、申告不要の措置が設けられます。つまり、譲渡所得も、上場株式や公募株式投資信託と同様の取り扱いに変更されることになります。さらに、公社債の譲渡所得や利子と、上場株式等の譲渡損益や配当金とが相互に損益通算ができるようになり、譲渡損失の3年間の繰越控除も可能となります。

外貨建てMMFの為替差益にも税金が?

この改正により、譲渡損の損益通算ができるなどメリットもありますが、やはり譲渡益が非課税とならなくなる点は個人投資家にとって大きくマイナスです。例えばMMFは公社債投資信託に該当しますが、外貨建てのMMFに投資し、大幅な円安になった後に売却すると、為替差益がいくら生じていても税金がかからなかったため大変お得でした。これが平成28年以降は20%の税金がかかるわけですから、結構影響は大きいと思います。

含み益の大きい外貨建てMMFを保有している方は、平成28年になる前に一旦売却して、必要に応じて買い直すのが良いかもしれません。

最後に特定口座の取り扱いです。現在は公社債を特定口座に受け入れることはできませんが、平成28年以降は特定口座に受け入れられるようになります。

なお、ここで取り上げた証券税制は、平成25年税制改正またはそれ以前の税制改正で決まったものです。今後の税制改正等で、上記とは異なる取り扱いになる可能性がある点はご注意ください。

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