上昇相場では売った値段より高く買い直すことも

歴史的なスケールになりつつある今回のアベノミクス上昇相場、この半年で資産を大きく増やすことに成功した個人投資家の方もいることでしょう。一方、株価が大きく上昇する前の段階で持ち株を売ってしまい、その後の大幅上昇を悔しい思いで眺めている方も多いことと思います。

そこで今回と次回とで、上昇相場における、すでに売ってしまった株の買い直しのタイミングについて考えてみたいと思います。

昨年11月中旬までは、株価は下落基調を続けていましたので、株価が少し上昇したら売却して利益確定し、その後株価が値下がりしたら買い直す、という戦略は有効でした。

しかし、中長期的な上昇相場では、株価は上昇を続けますので、売却した時点より株価が下がるのを待っていては、待てど暮らせど買い直す機会は巡ってきません。

したがって、「売った値段より安くならなければ買い直さない」というスタンスは見直さなければなりません。上昇相場では、売った値段より高くても、チャンスと思えば果敢に買って出る必要があるのです。

適切な買い直しのタイミングとは?

買い直しのタイミングですが、株価が上昇トレンドであればいつ買い直してもよい、というのが原則論です。ただし、高値掴みを避けたり、損切りが容易に行えるようにするため、適切なタイミングというものもあります。

詳しくは、次回のコラムで株価チャートも添付して解説する予定ですが、筆者が実践しているのは以下のようなタイミングです(キ.を除き、日足チャートでみて上昇トレンドであることが前提です)。

ア. 株価の25日移動平均線からの乖離が20%以内であれば飛び乗って買ってしまう

イ. 短期的な押し目を狙って買う

ウ. 直近高値超えを待って買う

エ. 株価上昇後の調整が進み、25日移動平均線が株価に追いつくのを待って買う

オ. 株価が25日移動平均線を割った後、再度移動平均線を超えてくるのを待って買う

カ. 好決算が発表された場合、株価が大きく上に跳ねないのであれば飛び乗って買う

キ. 決算が悪く売られた場合、(下降トレンドであっても)一旦の底打ちを待って買う

売ったタイミングが適切だったかを振り返ってみることも大事

そもそも、今までを振り返ってみて、売ったタイミングが果たして適切であったかを検証してみるのも大事です。売った後で株価が大きく上昇してしまった、というのは、売るべきではないタイミングで売っている可能性が高いからです。

筆者が持ち株を売却するタイミングとしてとらえているのは以下のようなときです。

(1) 基本は、株価が25日移動平均線を割り込んだ場合に売却(銘柄によっては13週移動平均線を割り込むまで様子見の場合あり)

(2) 株価が短期間で急騰して、25日移動平均線からの乖離が大きくなった場合は一部利食い

(3) 株式市場全体が調整局面に入りそうなときは、持ち高を減らして株価下落に備えるため、株価が買値近辺にある銘柄を損益トントンで売却する

(1)の場合は、再び25日移動平均線を株価が上回ったら買い直しの対象とします。(2)の場合は、株価が調整し、25日移動平均線に接近してきたら買い直しを検討します。(3)は、調整局面が終わった、もしくは調整局面にまだ入らなそうだと判断した時点で上昇トレンドかつ25日移動平均線からの乖離が大きくなければ買い直しの対象とします。

上昇トレンドが終了した可能性が生じたら売却するようにしておけば、買い直しのタイミングも自ずと決まってきますし、売った後でさらに株価が大きく上昇して後悔する、ということも少なくなります。

もちろん、株価がどこで天井をつけるかは誰にも分かりませんから、上昇トレンド途中であっても大きく上昇した銘柄の一部利食いは賛成です。でも、巡航速度で右肩上がりに上昇を続けている銘柄を、上昇トレンド真っ只中で売却するのはやはりタイミングとしてはよくありません。

売った後で株価が急騰しても無理に追いかけない

よくあるのが、売った後に株価が急騰して何倍にも跳ね上がった、というケースです。しかし、悔しいと感じてこのような銘柄を高値で追いかけるのはあまりお勧めしません。下手をすると、高値掴みになってしまい、適切な時期に損切りができないと大きな含み損を抱えることになりかねないからです。

株価が急上昇しても、しばらくたてば調整局面というものは訪れます。買い直すにしてもそれを待ってから買うようにしましょう。銘柄によってはまともな調整局面すらろくに来ないこともありますが、そうなったらスッパリと諦めて他の銘柄を探すことです。最近の筆者の例を挙げると、売ってからわずか4カ月で、株価が10倍以上になった銘柄もあります。さすがにこの銘柄を追いかけて買い直すことは諦めました。

株式投資を続けていればこんなことは何度も遭遇します。上場銘柄は3,500銘柄もあるのですから、気持ちを切り替えて、他のお宝銘柄を発掘するようにしましょう。