バイオ株への投資法(1) デイトレードでリスク軽減

今回は前回の続きとして、現在の状況を鑑みて、筆者が考えるバイオ関連株への投資法をご紹介したいと思います。

バイオ関連株への投資法として、筆者が頭に浮かぶのは「デイトレード中心の短期売買」、「夢を信じて長期保有」、そして「株価のトレンドに従った売買」です。

いくらバイオ関連株には夢があるといっても、やはり株価の上昇に足元の業績が伴っていない事実からは、「多少バブル気味である」という認識を持った方が良いと思います。

相場が過熱してくると、1月29日のように、1日で20%、30%の急落ということも起こりかねません。

また、信用取引をしている個人投資家が多いため、一度大きく下げると、翌日以降も急落が続くことも多く、あるいは引け後に悪材料(株式の希薄化を伴った資金調達など)が発表されて翌日以降売るに売れない、ということもありえます。したがって、オーバーナイト(持ち株をその日のうちに売却せずに翌日以降に持ち越すこと)にもそれなりのリスクがあります。そのため、バイオ株関連にはデイトレードが最もリスクが少ないといえます。

ただし、企業から開示されるIR情報は、ほとんどが引け後に発表され、その内容によっては翌日以降ストップ高買い気配連発で買うに買えない、という場合もあります。よって、デイトレードをしている限り、好材料発表により持ち株の株価が大きく上昇する、という恩恵をうけることはできません。

デイトレードは、バイオ関連株への投資で夢を追うというよりは、現実的にコツコツと利益を積み重ねていく方法といえます。

バイオ株への投資法(2) 夢を信じて長期保有

バイオ関連株には夢があります。もし画期的な新薬の開発に成功すれば、企業業績は様変わり、株価も何十倍、何百倍にまで上昇するかもしれません。

その一方、バイオ関連株は玉石混交なのも事実です。そのため、目先の株価に一喜一憂することなく長期保有するためには、各企業がどのような研究開発を行っていて、現状はどの程度まで進展し、画期的な開発に結び付く可能性がどの程度あるのかを自分自身でよく調べ上げ、納得したうえで投資する必要があります。

実は、バイオ関連株の長期保有を始めるのに最も適していたのは、脚光を浴びる前の、株価が低迷している時期だったのです。

現在は、銘柄にもよりますが、安値からすでに10倍以上、中には100倍以上にまで上昇しているものもあります。もちろん、これは将来企業業績が劇的に変わるかもしれないということが株価に相当程度織り込まれた結果です。

ですから、株価が安値から大きく上昇した現時点から、長期保有一辺倒でバイオ関連株に向かうのは、相当リスクの高い行為なのではないかと筆者は考えます。その点を踏まえた上で実行されるのが良いと思います。

バイオ株への投資法(3) 基本は株価のトレンドに従った売買

そこで筆者がバイオ関連株への投資の際に用いているのが、本コラムでいつもおなじみの「株価のトレンドに従った売買」です。

長期的にみて非常に有望だ、と思っていても、やはり将来どうなるかは不明確なのですから、そのリスクも十分に考慮すべきだと思います。その点については、トレンドに従った売買を組み合わせることで、かなりリスクを軽減できるはずです。

筆者は、バイオ関連株の場合は、値動きが非常に荒いので、基本的には日足チャート+25日移動平均線の組み合わせでトレンドを把握するようにしています。

その上で、トレンドが転換したと思われた場合は、できるだけ早く売買を実行します。もし、突然急上昇してしまった場合は、無理に追いかけないようにしますし、売り時を逃して損失が不用意に膨らんだり塩漬けになってしまうことを避けるために、損切り価格を逆指値にした売り注文を入れるようにしています。

なお、この方法には欠点があります。下降トレンドの状態にある銘柄に、突然好材料が出現すると、ストップ高の連続となって買うに買えなくなってしまうことがあるという点です。

しかし、やはり筆者が株式投資で最も重視しているのは「大きく負けないようにすること」なので、ある程度は仕方ないと割り切るようにしています。

あるいは、ひとまずトレンドに従った売買をしておいて、例えば株価が順調に上昇して買値の2倍に達した時点で持ち株の半分を売却して投資資金は確保した上で、残りは夢を信じて長期保有に回す、という方法も悪くないと思います。

リスクを軽減するための銘柄選びのポイント

このように、業績が様変わりする可能性のあるバイオ関連株には夢があります。一方で、足元の現実にも目を向ける必要があります。

いたずらに夢を追い求めるだけでなく、ある程度のリスク軽減も図りたい、という方は以下のポイントに注目して銘柄選びをするとよいと思いますので参考にしてください。

  • 足元の業績が黒字の銘柄を選ぶ(何年も連続して黒字ならなお良い)
  • キャッシュが潤沢にある銘柄を選ぶ(資金不足による破たんリスク小)
  • 継続企業の前提の注記や重要事象の記載がある銘柄は避ける(破たんリスク大)
  • 研究開発等の必要資金を拠出する製薬会社等のスポンサーがしっかりしている銘柄を選ぶ