株主優待とはなにか

株式投資の楽しみの1つに「株主優待」を挙げる個人投資家は多いようです。そこで今回は株主優待についての基本的な話と、最低限注意しておきたい点を取り上げます。

株主に対する代表的な還元方法として「配当金」がありますが、上場企業の一部では、この配当金にとどまらず、企業独自に株主へプレゼントをしています。それが「株主優待」です。

株主優待を実施している企業は約1,000社、これは全上場企業のおよそ4社に1社の割合です。

株主優待の内容は様々ですが、自社商品や、自社店舗で使える優待券・割引券を配るケースが多いようです。しかし、中には企業の事業内容と全く関係ないものを配るケースもあります。業種別では食品・外食産業・サービス業は株主優待を実施している割合が高く、逆に製造業などでは実施率は低くなっています。

各企業の株主優待の内容は会社四季報の末尾に掲載されています。また証券会社のホームページでも特集ページが組まれていることが多いのでそちらも参考にしてください。

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株主優待のメリット

個人投資家にとって株主優待のメリットは、株主優待を金銭的価値に引き直して「利回り」という観点から評価すると分かりやすいかもしれません。

配当利回り(現在の株価で投資した場合投資金額に対して年間何%の配当金を受け取れるかを表したもの)に株主優待の金銭的価値を加えた「実質利回り」では、年間あたりの利回りが10%を超える銘柄がごろごろしています。超低金利の今、これはかなりお得感が高いといえましょう(実質利回りランキングも会社四季報末尾に掲載されています)。

例えば現在の株価100円で、毎年1株当たり2円の配当金の他、自社店舗で使える優待券(優待額合計8,000円)の株主優待を行っている銘柄に1,000株投資したなら、実質利回りは10%((2円×1,000株+8,000円)÷(100円×1,000株))となり、10年で投資金額の元がとれることになります。

また企業によっては株主限定の品を配っていることもあり、この場合はプレミアとしての評価も加わることから単純に金銭的評価には置き換えられない価値があるかもしれません。

株主優待はあくまでもオマケととらえる

株主優待の魅力に水を差してしまうようですが、実は株式投資では株主優待を重視しすぎると、株主優待で得られる金銭的価値の何倍、何十倍もの損失や含み損を被ってしまう恐れがあるので十分注意が必要です。

実質利回りが十分に高く、例え株価が大きく下落しても投資元本を回収できるまで持ち続ける覚悟があるなら話は別ですが、右肩上がりの上昇が見込めない日本株においては、株主優待の内容がどんなに魅力的であっても、長期的に下降トレンドが続く銘柄を持ち続けることは決してお勧めできません。

筆者個人的には銘柄選びの基準はあくまでも企業業績や、企業実態に比べて株価が割安かどうか、といった視点からであり、株主優待の有無は考慮に入れていません。選んだ銘柄が株主優待を実施していたらラッキー、ととらえる程度です。

あくまでも業績や割安度で銘柄を選び、株価のトレンドが上昇トレンドの時のみ保有し、下降トレンドに転じたら売却する、これが筆者が考える株式投資の原則です。株価が下降トレンドに転じた時、「株主優待がもらえるから売らずに保有しよう」という考え方は株式投資の本質から外れた行動です。株主優待はあくまでも「オマケ」と考えていた方が良い投資成果が残せるはずです。

どんなに魅力的な株主優待がある銘柄でも、やはり下降トレンド途中での買いはお勧めできません。また損切りもしっかりと実行する必要があります。

その点では株主優待があろうがなかろうが、株式投資における鉄則は変わらないということです。

低リスクで株主優待を受けられる方法がある?

株主優待は各企業の決算日における株主が対象となるケースが一般的(例えば3月決算なら3月31日時点の株主を対象)です。また企業によっては、決算日以外にも基準日を設け(3月31日と9月30日など)、それぞれの時点での株主を株主優待の対象としていることもあります。

いずれにしろ、決算日ないし基準日の時点で株主である必要があります。

しかし、上記で述べたように株主優待が欲しいからといって下降トレンドの銘柄を持ち続けることは危険ですし、かといって決算日の直前に買って直後に売ろうとすると、決算日直後に権利落ち(配当金や株主優待を受け取る権利がなくなること)により株価が大きく下がることが多いため株主優待の金銭的価値を超える損失が生じてしまう可能性が高まります。

そこで、できるだけ低リスクで株主優待の権利を得る方法として信用取引の売りを活用する方法があります。リスクゼロとはいきませんが、株主優待欲しさに下降トレンドにある現物株を持ち続けるよりははるかに低いリスクで済みます。これについては以前のコラムで詳しく説明しておりますのでそちらをご覧ください。

信用売り(空売り)を使った株価変動リスクゼロの株主優待獲得法とは