相場環境に応じたポジション管理が日本株には必要

先週は10週ぶりに陽線を引いてやっと下げ止まりの兆しもみえてきたとはいえ、日経平均株価やTOPIXといった株価指数は下降トレンドが続いています。

バブル崩壊を境に右肩上がりの長期的上昇が終焉している日本株においては、いつでも強気で全力買い、というわけにはいきません。相場全般が上昇相場か下落相場かによって、とるべきポジションの大きさや投入する資金量も変えていく必要があります。

永遠に株価が下落を続けることはなく、やがて下落相場から上昇相場に転じることになるでしょうから、その過程においてのポジション管理について今回は考えてみたいと思います。

「下降→上昇」へ転換する銘柄の増加がポジション拡大のサイン

個別銘柄のトレンドは以下の4パターンに分類することができます。

  1. 上昇トレンドが継続している
  2. 上昇トレンドから下降トレンドに転換した
  3. 下降トレンドが継続している
  4. 下降トレンドから上昇トレンドに転換した

日経平均株価が上昇トレンドにあるときは、①の個別銘柄が大部分となっています。その後、日経平均株価が上昇から下落に転じると、①の銘柄は減少し、②の状態を経て③に至る銘柄が増えていきます。日経平均株価の下降トレンドが進展するにつれ、さらに①の銘柄は減少して、③の銘柄が大部分となります(これが現段階)。

しかし、下落相場終盤になると、個別銘柄の中から底打ちする銘柄、つまり④の銘柄が現れ始めます。④の銘柄や、④を経て①に至る銘柄が増加するにつれ、やがては日経平均株価も上昇トレンドに転換していきます。このような状況になれば、徐々に強気のスタンスとしていけばよいでしょう。

④の銘柄は新規買いの対象となる銘柄ですから、こうした銘柄が徐々に増えることにより自然に株式への投資資金割合も増加していくことになります。

上昇トレンド銘柄の増減に応じて株式への投資資金も変動させる

相場環境に応じて株式への投資資金を変化させていくことについては、次のような例をイメージしていただければ分かりやすいと思います。

投資対象とする銘柄を20銘柄選定したとします。万が一の事態に備え、投資可能資金の20%は常にキャッシュで保有しておくこととし、この20銘柄に投資可能資金の残り80%を4%ずつ均等に配分して投資することにします。

日本株全般が上昇相場で、上記20銘柄も全て上昇トレンドであるならば、全て買いとなるため、株式への投資割合はマックスの80%となります。

その後、日経平均株価の上昇が止まり、上記20銘柄の個別銘柄のうち5銘柄が下降トレンドに転換したら、それらは売却します。その結果株式投資割合は60%に減少します。

さらに日経平均株価の下降トレンドが続き、個別銘柄も20銘柄のうち15銘柄が下降トレンドとなれば、保有するのは残り5銘柄のみとなり、株式投資割合も20%に減少します。

やがて日経平均株価が下落から上昇へ転じ、上昇トレンドに転換した銘柄が増加して20銘柄中10銘柄となれば株式投資割合は40%に増加し、さらに15銘柄に増えれば株式投資割合も60%に増加します。

このように、上昇トレンド=買い・保有、下降トレンド=売り・非保有として、上昇トレンドにある個別銘柄の割合に応じてポジション調整していくのが大まかなイメージです。

上昇トレンドの銘柄が少ないうちはあまり無理しない

ここで注意したいのは、上記のように上昇トレンドを維持しているのが20銘柄中5銘柄に減少したとき、株式投資割合を20%ではなく60%とか80%にすべきではない、つまり下降トレンド転換により売却してキャッシュ化した資金を、上昇トレンドが維持されている残り5銘柄に集中させて投資することはあまりするべきではないという点です。

日本株全体の下落が進むと、それまで上昇トレンドを維持していた個別銘柄であっても突然急落し、下降トレンドに転じてしまうことがあります。もしそうなれば、売却・損切りの実行が必要になります。投資資金を20%に抑えているときと80%投入しているときとでは、損切りした際の実現損の金額も後者の方が大きくなってしまいます。

全体が下落相場のときは、無理にリスクを取りに行く必要はありません。上昇トレンドの銘柄を少量持つにとどめましょう。全体が上昇相場に転じるまで、キャッシュポジションを100%近くに高めておいてもよいくらいです。

あくまでも日経平均株価より個別銘柄の動きを優先

上記は、日経平均株価のトレンドと個別銘柄のトレンドが概ね一致していることを前提に説明しています。ほとんどの場合は、日経平均株価が上昇トレンドになれば個別銘柄も大部分が上昇トレンドとなり、逆に日経平均株価が下降トレンドとなれば大部分の個別銘柄も下降トレンドになるからです。

ただ、時折日経平均株価のトレンドと多くの個別銘柄のトレンドが一致しなくなることがあります。このときは個別銘柄の動きを優先させるようにし、例えば日経平均株価のトレンドは上昇トレンドのままだが個別銘柄の多くは下降トレンドに転換してきた、という場合は株式に投入する資金を減らしていき、守りの体制を整えるようにします。逆に、日経平均株価のトレンドが下降トレンドにもかかわらず多くの個別銘柄が上昇トレンドに転換してきたならば、株式投入する資金を徐々に増やし、強気に傾けていってよいでしょう。