コンプリートガチャ問題とは
ゴールデンウィーク明けの5月7日、ソーシャルゲーム関連銘柄に「コンプガチャショック」が走りました。
ニュースなどですでにご存じかと思いますが、「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」とは、ソーシャルゲーム上でアイテムをガチャガチャのような形式で購入(つまりどのアイテムが手に入るか分からない)し、さらに指定された複数のアイテムを揃える(コンプリートする)と、より強力なアイテムが手に入る、という仕組みです。消費者庁はこのコンプガチャへの違法性の恐れを指摘しました。
コンプガチャはソーシャルゲーム各社の大きな収益源になっていたことから、5月7日にはソーシャルゲーム大手のDeNA(2432)やグリー(3632)、サイバーエージェント(4751)、KLab(3656)などの株価が軒並みストップ安になりました。その後各社が相次いでコンプガチャを廃止・中止することを発表したことなどから株価の値動きは多少落ち着いたものの、未だに下値模索の動きが続いている状況です。
投資家が事前にこのリスクを知ることはできたか?
コンプガチャについての問題点を指摘していた人は以前からいたようですが、そのリスクを知っていた個人投資家は少なかったのではないでしょうか。筆者も恥ずかしながら「コンプガチャ」という言葉自体、今回の消費者庁からの発言をきっかけに初めて知りました。
筆者はグリーの平成23年6月期決算短信に書かれている、事業等のリスクに関する記載を読んでみましたが、コンプガチャが問題となるリスクをそこから読み取ることはできませんでした。
したがって、よほどこの業界に精通していたり、この業界のことを勉強していない限りは、個人投資家がコンプガチャのリスクを事前に知ることは難しかったといえそうです。
ただし、ソーシャルゲームで未成年者が多額のお金を使ってしまうという問題は以前より報道されていましたので、その点にからめてソーシャルゲーム銘柄のリスクとして大まかに認識することはできたかも知れません。
株価急落に巻き込まれたらどうするか
ではソーシャルゲーム株を保有していて今回のような急落に巻き込まれた場合、どうすればよいでしょうか。
あくまで筆者の個人的な方法ですが、筆者であれば悪材料が出た時点でとりあえず成行で売り注文を出します。その上で、この銘柄を今後も再び保有するつもりであれば、再度買い直すタイミングを見極めます。タイミングは2つあります。
1つは、株価急落後一旦株価が下げ止まった位置(例えばDeNAであれば5月8日の1,700円)を損切りラインに設定した上ですぐに買い直すという方法、もう1つは日足チャートで上昇トレンドに復帰したら買い直すという方法です。
前者の方法は安い価格で買い直すことが可能ですが、上昇トレンド転換前に買うため、リスクもやや高くなります。後者の方法は前者よりリスクは比較的低いですが上昇トレンド復帰を待ってから買うため、購入価格は多少高くなってしまいます。
もちろん、我慢して持ち続けるなど、これ以外にも方法はありますが、塩漬け株を発生させないことが株式投資でのモットーの1つである筆者であればとりあえず売って様子を見ます。
なお、一旦下げ止まった株価をその後割り込んでしまった場合は、(仮に我慢して持ち続けていたとしても)筆者なら迷わず売りと判断します。一旦の安値で悪材料を織り込んだはずなのにその株価を割り込んでしまうということは、さらなる悪材料が隠れている恐れがあるためです。
新規買いはどうすればよい?
一方、ソーシャルゲーム株を安く買えるチャンスと考えてこれから新規に買おうという個人投資家の方もいらっしゃることでしょう。
新規買いの場合は、上でご説明した、保有株を一旦売却した後の買い直しと同じように考えればOKです。1つは、直近の安値を損切り価格に設定して上昇トレンド転換を待たずに新規買いを実行する方法、もう1つは上昇トレンド復帰を待って新規買いをする方法です。
例えばDeNAの株価チャートをみると、1,700円の安値をつけた5月8日は、売買高も非常に高水準に膨らんでいます。さらにローソク足の形状をみると、長い下ヒゲを付けた形となっています。
DeNA(2432)
売買高が大きく膨らみ、かつローソク足が長い下ひげをつけている場合、底打ちの可能性が高くなります。そのため、5月8日の1,700円割れを損切りラインに設定した新規買いは、底値買いの戦略の1つです。
悪材料出現による株価急落は、時には絶好の買い場を与えてくれることもありますし、逆に早く売り逃げなければさらに株価が下がってしまうこともあります。
どちらが正しかったのかは後になってみないと分かりません。両方のケースに対応できるよう、一旦の底値を見極めた上で、損切り価格も遵守して買い直しや新規買いを実行するとよいでしょう
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