日経平均株価は調整の範囲内だが個別銘柄は?

日本株は3月27日につけた日経平均株価10,255円15銭を高値に調整が長引いています。期待された日銀金融緩和も特にポジティブサプライズなく終わり、為替相場が再び1ドル=80円割れの円高水準にまで押し戻されてしまいました。

輸出関連銘柄の多い日本の主力株は、どうしても為替相場に株価が影響されやすいため、さすがに1ドル=80円割れでは本格的な調整も止む無し、といったところでしょうか。

ところが個別銘柄に目を向けると、まさに強い銘柄と弱い銘柄にはっきりと分かれていることに気づきます。

強い銘柄は年初来高値を更新して上昇を続けている一方、弱い銘柄はダラダラと下げ続け、年初来安値をあっさり割り込んでしまうものも少なくありません。5月2日では東証1部銘柄で年初来高値を更新した銘柄が41銘柄、逆に年初来安値を更新した銘柄が66銘柄ありました。

日経平均株価だけをみると、昨年11月からの上昇幅の半値押しの水準であり、上昇相場途中の調整の範囲内といえます。しかし、日経平均株価と個別銘柄の動きが全く異なるのが今の相場。個別銘柄に投資する際には銘柄選択を誤らないようにする必要があります。

強い銘柄と弱い銘柄の特徴は?

強い銘柄と弱い銘柄の特徴を筆者なりに以下のようにまとめてみました。

上昇トレンドにある強い銘柄

決算が好調である銘柄の多くは上昇トレンド。特にジャスダックをはじめとした新興市場銘柄や、東証1部上場でも中小型株に多く見られる。信用売り(空売り)が多く入っている銘柄も踏み上げにより上昇しているものが多い。

下降トレンドにある弱い銘柄

ソニー、シャープをはじめとして決算が非常に悪かったものや、銀行・証券など主力株の多くは弱い。その他建設株などにも弱い銘柄が目立つ。おそらく信用買いが大量にぶらさがっているためと思われる。

今は「強い銘柄」から銘柄選択をするのがセオリー

このように、前期決算がよく今期予想も好調である銘柄が強く、前期決算が悪く今期も厳しそうな銘柄が弱いという、分かりやすい動きではあります。それに加えて、空売りが多い銘柄は強く、信用買いが多い銘柄は弱いというのは良くみられるパターンです。

今回の上昇相場は今のところ全面高相場とはなっておらず、「強い銘柄はさらに買われる」「弱い銘柄はさらに売られる」というまさに二極化相場の様相を呈しているのが特徴です。

したがって、現段階から買ってよいのは上昇トレンドにある強い銘柄のみです。弱い動きの銘柄に逆張りで手を出すと、さらに株価が下がってしまう可能性が大いにあります。

下降トレンドが続く弱い銘柄は日足チャートと25日移動平均線でみて上昇トレンドに転換したのを確認してから買っても遅くないと思います。もしそうした銘柄の上昇トレンド転換を待たずに底値買いを狙うなら、損切り価格をしっかり設定した上で実行してください。

すでに保有している銘柄はどうするか?

ではすでに保有している銘柄への対処法はどうでしょうか。

まず上昇トレンドにある強い銘柄については、上昇トレンドが続く限り保有を続けて問題ないでしょう。

一方、安値で買い仕込んでいるものの最近の株価が軟調で下降トレンドに陥っているという場合は、「買値を下回ったら一旦売却し、上昇トレンド復帰で買い直し」もしくは「とりあえず今売却し、上昇トレンド復帰で買い直し」のいずれかで対処するのが良いのではないでしょうか。トレンドは日足チャート+25日移動平均線の組み合わせでみればよいと思います。

今の個別銘柄の動きは日経平均株価とは異なるわけですから、日経平均株価が底打ちして新たな上昇に入っても、個別銘柄も同じように上昇するとは限りません。逆に日経平均株価が下げ続けても全く影響を受けず強い動きを続ける銘柄も少なくないでしょう。

日経平均株価の動きにはあまりとらわれず、個別銘柄ごとのトレンドを重視して銘柄選択をしていくのが今の相場で失敗しないポイントです