新聞の株価欄にある「白抜き数字」は何を表す?

日本経済新聞の株価欄を見ると、株価が白抜き表示になっている銘柄があることに気づきます。これはその日の株価が「年初来高値」もしくは「年初来安値」を更新したことを示しています。

「年初来高値を更新」とは、当日につけた株価の高値が、前日以前の本年中につけた高値を超えたことを意味します。逆に、当日の株価の安値が、前日以前の本年中につけた安値を下回れば「年初来安値更新」となります。

例えば、2011年1月1日~10月13日までの高値が250円である銘柄が10月14日に255円の高値をつけた場合、10月14日に年初来高値を更新したことになります。2011年1月1日~10月13日までの安値が150円である銘柄が10月14日に145円の安値をつけたなら、10月14日に年初来安値を更新したことになります。

新聞の株価欄は「始値」「高値」「安値」「終値」の4つの株価が記載されています。このうち「高値」欄が白抜きになっている場合は年初来高値更新を、「安値」欄が白抜きになっている場合は年初来安値更新を表します。

株価のトレンドを如実に表す「年初来高値」「年初来安値」

年初来高値・年初来安値はなぜ重要か、それは株価のトレンドを如実に示しているからです。

筆者は本コラムや書籍などを通じて、「株価のトレンドを認識することの重要性」を繰り返しお伝えしてきました。

いくら好業績の銘柄でも、株価が下降トレンドにあるときには、新規買いしてもさらに株価が下がってしまうことが多いものです。逆に、業績が振るわないようにみえる銘柄であっても、株価が上昇トレンドにあるならばさらに株価が上昇する可能性が高いため、安易な売りは禁物なのです。

「年初来高値」を更新した銘柄は、直近の高値を超えて上昇を続けていることを表していますから紛れもなく上昇トレンドにあります。一方「年初来安値」を更新した銘柄は直近の安値を下回って下落し続けている状態ですから下降トレンド真っ只中です。従って、年初来高値を更新している銘柄は買いの候補となりますが、年初来安値を更新した銘柄は買い候補にはならないと考えられます。年初来安値更新銘柄を新規買いすることはトレンドに反したリスクの高い投資行動であり、特に初心者、初級者の方にはお勧めできるものではないと思います。

要注意・3月までは「昨年来」、4月以降は「年初来」

実は「年初来高値」「年初来安値」の対象期間は、時期によって異なります。4月から12月までは、本年中につけた高値ないしは安値を更新した場合に「年初来高値更新」「年初来安値更新」となります。一方、1月から3月までは、前年の1月以降の高値ないしは安値を更新した場合に「昨年来高値更新」「昨年来安値更新」となります。4~12月と1~3月とで、呼び名が若干異なっていることにも要注目です。

例えば、2011年9月30日であれば、2011年1月1日~2011年9月29日までの高値・安値を更新した場合に「年初来高値(安値)更新」となります。また、2011年3月31日であれば、2010年1月1日~2011年3月30日までの高値・安値を更新した場合に「昨年来高値(安値)更新」となります。

ただし、1月~3月については、実態は昨年来高値・安値を表していても、便宜上「年初来高値」「年初来安値」という言葉が用いられることがありますので注意してください。本コラムでも「年初来高値」「年初来安値」という言葉に統一しますが、1~3月に関しては昨年来高値・安値を意味しているものと理解してください。

年初来高値・年初来安値の活用方法

年初来高値・年初来安値更新銘柄は様々な活用方法があります。例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 年初来高値・安値を更新した銘柄にはどのようなものがあるかをみる(個別銘柄のトレンド把握)
  • 年初来高値銘柄および年初来安値銘柄の数およびその推移をみる(市場全体のトレンド把握)
  • 年初来高値および年初来安値を更新した銘柄をリストアップする(それらの銘柄に何かしらの特徴・傾向が表れていないかを探り銘柄選びのヒントとする)

これらにつき、詳しくは別の回にてご説明します。