下落相場での長期保有が含み損の増大につながる

バブル崩壊から20年以上たちましたが、日本株の長期的な下落はまだ終わる気配をみせていません。高値掴みした株が塩漬けになっていたり、高値からの下落途中で「そろそろ買い時」とナンピン買いしたものの、さらなる下落で手も足も出なくなっている個人投資家も非常に多いことでしょう。

至極当然のことですが、日本株は長期的な下落相場にあるのですから、いわゆる「バイ・アンド・ホールド」の長期保有、長期投資をしていては含み損が増える一方です。

しかし、いつかは長期的な下落相場も終わり、上昇相場へ転じることでしょう。その時に含み損を抱えた塩漬け株を持ち続けることがどれだけ不利になってしまうかを、株価の「下落率」「上昇率」という切り口から考えてみたいと思います。

下落率が大きいほど株価の回復は難しくなる

実は、ひとたび大きく下落した株価が元の水準に戻るためには、下落時をはるかに超えるパワーが必要になるのです。これは、下落と上昇を「率」で表してみるとよく分かります。

例えば、1,000円で買った株の株価が500円になると、下落率は50%です。しかし、500円まで下落した株価がもとの1,000円に戻るためには、100%の上昇率が必要となります。下落率と同じ50%の上昇率では、750円までしか戻ることができません。

そして、下落した株価が元の株価へ戻るために必要な上昇率は、下落率が大きければ大きいほど加速度的に大きくなります。

買値1,000円の株価が20%下落して800円になった後、再び1,000円に戻るためには25%の上昇率が必要です。でも、買値1,000円の株価が90%下落して100円になってしまったなら、これが再び1,000円に戻るためにはなんと1000%の上昇率が必要となるのです。株価が10倍にならないと損益がトントンにすら達しない、と考えるだけで目まいがしてしまいそうです。

1,000円で買った銘柄の下落が800円程度で収まれば救われますが、下落が止まらず100円まで下がってしまうと、買値まで戻ることは非常に大変であることがわかります。

そして重要なのは、ひとたび下落が始まると、800円で止まるか、100円まで下げ続けてしまうかは誰にも分からない、ということです。

大幅下落銘柄も「損切り→買い直し」でリカバリー可能

しかし、1,000円から株価が10分の1の100円に下がっても、そこから2倍程度の上昇(上昇率100%)ならそんなに難しいことではありません。

早めに損切りを実行し、下降トレンドが止まるまで静観を続けていれば、その後の3カ月程度の短期間の上昇局面を狙うだけでも、十分にリカバリーが可能です。

1,000円で1,000株買った株を910円で損切りし、その後100円で底打ちした後の130円で7,000株買い直せば、底値から2倍の200円に上昇しただけで、当初の投資資金100万円が140万円に増加します。でも、損切りせず持ち続けていたならば、いまだに含み損が80万円残った状態です。

もしも130円で買い直し後に株価が1,000円まで戻ったとしたら、投資資金は7倍の700万円になるのです。でも、持ち続けていればやっとプラスマイナスゼロになるに過ぎません。

図表をご覧ください。株価が買値から値下がりしたとき、「持ち続けるか」「一旦損切りして買い直すか」という選択の違いによって、株価底打ち後の投資成果にこんなにも差が出るのです。

図表

(当初投資金額100万円) 株価200円まで回復 株価1,000円まで回復
910円で損切り→130円で買い直し +40万円 +600万円
そのまま保有 △80万円 ±0
差額 120万円 600万円

買値から値下がりした株を損切りせずに持ち続けることがいかに不合理であるか、よくお分かりいただけるのではないでしょうか。

2つのルールを実行することが勝ち組の条件

バブル崩壊から20年以上下げ続けた日本株ですが、しっかりと利益をあげてきた個人投資家も決して少なくありません。失敗と成功、それを左右するのは「下降トレンドの時は株を保有しない」「早めの損切りを徹底する」という2つのルールを実行できるかどうかです。

「買値を下回っている限りは売ると損をしてしまうので売らない」、これには一理あるようにも思えますが、実は下落終了時の底値からの反発のことまで含めて考えると、逆に損をしてしまう可能性が高いのです。

もちろん、この20年以上に及ぶ下げ相場であっても、株価が大きく上昇する銘柄もありました。そうした銘柄を選んで投資すれば「バイ・アンド・ホールド」の長期投資も有効ですが、そのような銘柄を事前に察知するのは非常に難しいのが現実です。銘柄選びももちろん大事ですが、それ以上に2つのルールの重要性を理解し、実行することが大事です。

やり方さえ間違わなければ、長期的な下落相場でもしっかりと利益を出すことができる、これが筆者から皆様にお伝えしたいメッセージです。

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