日経平均株価は2年間で10%以上の値下がり

おかげさまで、当コラムも連載100回を迎えることができました。今後とも個人投資家の皆様へ有益かつ実践的な情報提供に努めてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

さて今回は、第100回の節目ということで、連載開始時から現時点までの日本株について振り返り、そこから見えてくる今後の戦略を考えてみようと思います。

第1回連載開始日の2009年10月7日の日経平均株価の終値は9,799円60銭でした。そして、第99回掲載日の2011年9月15日の日経平均株価の終値は8,668円86銭でした。連載開始からの2年弱で、日経平均株価は1,130円74銭、率にすると11.5%下落しました。もし長期投資と称して日経平均株価を保有し続けていたとしたら、2年間で10%以上値下がりしてしまったことになります。

中期的には2年間で上げ下げを繰り返す

この2年弱の日経平均株価の動きをもう少し詳しくみてみましょう。

2009年10月7日 9,799円
 
2010年4月 (高値)11,408円17銭
(2611円72銭・22.89%下落)
2010年9月 (安値)8,796円45銭
(2095円15銭・23.82%上昇)
2011年2月 (高値)10,891円60銭
(2663円97銭・24.46%下落)
2011年3月 (安値)8,227円63銭
(1980円28銭・24.07%上昇)
2011年7月 (高値)10,207円91銭
 
2011年9月14日 (暫定の安値)8,499円34銭

長期的には下降トレンドが続いているものの、中期(数カ月単位)でとらえると、株価の上げ下げが繰り返されていることが分かります。

2010年4月から9月まで、および2011年2月から3月までの下落率の平均値約24%を用いて今回の下落の底値を推定すると、2011年7月高値10,207円91銭×(1-24%)=7,758円01銭となります。

また、底打ちをした後は、2010年9月から2011年2月まで、および2011年3月から7月までの上昇率の平均値約24%程度の反発は見込めそうです。仮に上記の7,758円01銭から反発したとすると、7,758円01銭×(1+24%)=9,619円93銭となります。

もちろん、これは仮定の話であり、実際この通りになるかは分かりません。

長期下降トレンド中は中期的なトレンドに従った売買を

さて、上記の2年弱の日経平均株価の推移をみると、確かに2年間で10%以上下落したものの、数カ月単位の中期的な株価の変動に従って売り買いをしていくことができれば、十分に利益を得ることができたことが分かります。

日経平均株価の長期的な株価のトレンド(月足チャートで判定)は依然として下降トレンドにあります。下降トレンドの間は、保有を続けるほど含み損が拡大していくため長期保有は向きません。そこで、中期的な株価のトレンド(週足チャートで判定)をとらえ、上昇トレンドの間は新規買いおよび保有、下降トレンドの間は保有株を売却して静観、というスタイルが今後も有効になると思われます。

個別銘柄も、日経平均株価と同様、大部分の銘柄が長期的に下降トレンドにありますが、長期的な上昇トレンドにある銘柄も存在します。

例えばサンリオ(8136)は、2008年10月の安値652円で底打ちし、その後は長期的な上昇トレンドに入っています。2011年8月には3575円をつけ、安値から5.5倍に上昇しました。こうした銘柄を見つけて投資すれば、長期保有であっても報われることになります。

長期上昇トレンド入りの可能性がある銘柄を安値で仕込む

では今後、具体的にどのような投資戦略を取るべきでしょうか。今は多くの銘柄が下降トレンドにありますが、株価の下落も進み、欲しい銘柄を安く買える状況にあることは確かです。しかし、底打ちして長期的に上昇トレンド入りする銘柄を事前に予測するのは非常に難しいのもまた事実です。

そこで、筆者であれば、短期トレンド(日足チャートで判定)が下降トレンドから上昇トレンドに転換した銘柄をとりあえず買っていきます。

株価が底を打つまさにその瞬間は、長期、中期、短期のいずれも下降トレンドにあります。株価の長期トレンドが上昇トレンドに移行するには、まず短期が上昇トレンドへ移行し、次いで中期、最後に長期が上昇トレンドに移行、という順序を踏まえなくてはなりません。長期トレンドが上昇トレンド入りしたことを確認できた時点で買っても良いのですが、その間に株価は底値から何倍にも上昇してしまっている可能性が高い点がネックです。

したがって、長期のトレンドが上昇トレンドへ移行するための第1ステップである「短期トレンドが上昇トレンドへ転換」した銘柄をとりあえず買っておき、その後の株価の推移をみます。

株価の反発が短期的なもので終われば、中期トレンドすら上昇トレンドに移行できずに短期トレンドが再び下降トレンドに戻ってしまいます。こうした銘柄は「まだ底打ちしていない」として、売却をしてしまいます。

短期トレンドに次いで中期トレンドが上昇トレンドに移行した銘柄は、中期トレンドが下降トレンドに転換するまで保有を続けます。

そして、長期トレンドまでもが上昇トレンドに移行した銘柄については、長期トレンドが下降トレンドに転換するまで保有を続けるのです。もちろん、適宜利食い売りを実行するのは自由です。

この方法を実践すれば、中長期的に上昇トレンド入りした銘柄をかなりの安値で買えることになるとともに、上昇トレンドに至っていない銘柄は保有しないという状態を築くことができます。