相変わらず軟調な日本株、その原因は為替レート?

日本株は相変わらず軟調な動きを続けています。今年3月の急落は大震災と原発事故という日本独自の要因によるものでしたが、8月の下落はヨーロッパ諸国の財政問題やアメリカの景気悪化懸念などに端を発したいわば「世界同時株安」の様相をみせています。

筆者がここ数年感じるのは、アメリカ株(NYダウ)に比べて、日本株(日経平均株価)の動きが弱いという点です。世界同時株安の時は他の国より大きく下げ、その後の戻り局面では他の国より上がらない、という体たらくが続いています。これにはどうやら為替レートの水準が深く関わっているようです。

2年半でこんなにも広がった日米の株価乖離

NYダウが2009年3月につけた安値は6,469ドル95セント、日経平均株価の2009年3月安値は7,021円28銭でした。単純に数値だけを比較すると、日経平均株価がNYダウを550ポイントほど上回っていました。

ところが、2年半近く経過した現在(8/19時点)はNYダウ10,817ドル65セントに対して日経平均株価8,719円24銭と、逆にNYダウに2,100ポイントもの差をつけられてしまっています。

そして、今と5年前の株価水準を比べると、NYダウは5年前とほぼ同じ株価水準である一方、日経平均株価は5年前よりなんと40%以上も低い水準にあります。

2009年3月当時の為替レートは1ドル=98円前後、5年前は1ドル=115円前後でした。現在の為替レートは77円前後ですから、2009年3月より21%、5年前より33%も円高になっています。

こうしてみると、円高によって、日経平均株価には非常に強い株価下押し圧力がかかっていると考えることができます。

内需国日本にとって円高は必ずしもマイナスではないはずだが

日本は貿易立国といわれることもありますが、GDPの構成比でみる限り、外需(輸出)よりも内需の占める割合の方が圧倒的に高いことが分かります。内需にとっては円高の方が仕入価格の低下など有利に働くことが多いはずなのですが、円高になるとどうしても株価の動きは軟調になってしまいます。

日経平均株価の構成銘柄をみると、特に値がさハイテク株をはじめとして輸出型産業の占めるウェイトが高くなっています。輸出型産業は当然円高になると利益が圧迫され、株価の下押し要因になりますから、このあたりが「円高=日経平均株価軟調」の理由かもしれません。

円高局面では全力勝負は避けるのが無難

理由はともかくとして、為替レートが円高に振れている間は、日本株全体でみれば軟調な動きになってしまうのは事実なのですから、全力投球で日本株に投資するタイミングではないといえます。

こんな時は、個別銘柄に目を向け、円高が業績に対してマイナスの影響を及ぼさないような内需系企業で、かつ業績の伸びが確認できるものを中心に、無理のない範囲で投資するのがよいと思います。

例えば、最近のマザーズ指数の動きを見ても分かるとおり、内需関連企業がほとんどの新興市場は日経平均株価が軟調な中でも比較的強い動きを見せています。東証1部上場銘柄でも、年初来高値の更新を続ける内需関連銘柄も散見されます。

円安に転じれば日本株の大いなる上昇が期待できる

上でご説明したように、日経平均株価はここ数年間、円高の進行によりNYダウに割り負けしてしまっていました。でも、円高の流れが円安に変わったらどうでしょうか。ここ数年間の逆の状況が起こるのではないでしょうか。

過去の為替レートの値動きをみても、永続的に円高もしくは円安に一方向に動くことはありません。円高の後は円安の時期が訪れます。

NYダウが大きく下落しても日経平均株価はそれほど下がらない、NYダウが上昇すれば日経平均株価はさらに大きく上昇する、円安になればそんな光景が見られるのではないかと筆者は期待しているところです。