外国人が買わなければ株価は上昇しない悲しい現実

ご存知のとおり、現在の日本の株式市場では、最大の投資主体は外国人であり、外国人投資家の投資行動が株価に大きな影響を与えています。外国人投資家が大きく買えば株価は上がり、買わないと株価は一向に上がらないという、まさに外国人投資家頼みのさみしい状況となっています。

もちろんこれは日本株全体をみた場合の話であり、個別銘柄に目を向けてみれば、日経平均株価やTOPIXといった株価指数が軟調であっても、外国人投資家の積極的な買いにより逆行高をみせる銘柄もあります。

一方、業績は好調、高配当で、PERやPBRでみても割安、というお宝銘柄を見つけて喜んで買ってみても、外国人投資家が積極的に買ってくれない限り株価はなかなか上がらないことが多いのも悲しい現実です。

このように、今や外国人投資家の影響が非常に高まっており、外国人投資家の動きに逆らっていては日本株で満足な成果を出すことは難しいといえます。

「外国人持ち株比率」から外国人の投資行動を推測する

そこで、あまり格好良いものではありませんが、外国人投資家の投資行動に追随することで成果を出そうという戦略が浮かび上がってきます。その1つの方法が、外国人の持ち株比率とその推移に着目するものです。

なぜなら、株価の動きと外国人持ち株比率とはほぼパラレルに動くことが多いからです。5%だった持ち株比率が40%まで上昇すればその間株価も大きく上昇しますし、逆に40%から5%に低下すれば株価も大きく下落します。この特徴をうまく活用するのです。

会社四季報をみると、直近の外国人持ち株比率が掲載されています。この数字に着目するのです。銘柄によって外国人持ち株比率は様々で、これが50%を超えて実態がまるで「外資系企業」のようになっている銘柄もあれば、0%、つまり外国人が全く保有していない銘柄も結構あります。

そして重要なのは、この外国人持株比率の「推移」をみるということです。

同じ外国人持株比率20%の2つの銘柄があっても、ゼロに近い状態から20%まで上昇して現在に至っているのか、それともピーク時には40%あったものが20%まで下がってしまったのかによって、その意味合いは大きく異なるからです。ゼロに近い状態から20%まで上昇しているものは「外国人が買い集めている銘柄」で、逆に40%から20%まで下落しているものは「外国人が見切りをつけている銘柄」です。

前者であれば、現時点での株価水準や底値からの株価上昇率とも相談の上ですが、基本は「買い」の判断となりますし、後者なら「当面は買い見送り」の判断となります(理由は後述します)。

外国人持ち株比率が少し増加したタイミングに着目

筆者が最も注目するのは、この外国人持ち株比率が5%前後で、かつ半年~1年前に比べて持ち株比率が増加している銘柄です。

こうした銘柄は外国人投資家の注目を集め始めた初期段階の可能性が高く、今後さらなる外国人投資家の買いにより株価が「大化け」する可能性も秘めているからです。

注目すべき銘柄をみつけたら、株価チャートをチェックして、上昇トレンドの初期段階であれば飛び乗ってしまいます。上昇トレンドの中期段階以降で、底値から結構上昇している場合はできるだけ押し目を待ちます。下降トレンドなら上昇トレンドに転換するのを待ってから買います。

時には業績や財務状況をみると、とても買えないという銘柄もあるかもしれません。しかし、業績や財務状況が悪い銘柄を外国人が買い進めているというのは、将来業績が急回復し、財務状況も改善することを外国人が見込んでいるからだと推測ができます。現に、業績が急回復したことを多くの投資家が知った頃には、株価がすでに安値から何倍にも上昇してしまっているものです。したがって、外国人投資家が買っているという事実を重視して、株価が上昇トレンドならば業績が悪くとも買い向かってしまうほうがよいと思います。その上で損切りルールを設定し実行すれば問題ありません。

売り時は株価チャートを用いるのが無難

では、外国人持ち株比率の変化を用いた売り時の見極めについてはどうでしょうか。結論からいうと、売り時については、外国人持ち株比率は用いない方がよいでしょう。

なぜなら、外国人持ち株比率がピークアウトし、低下に転じたことが分かった頃には、すでに株価は高値から大きく下落していることが多いためです。

したがって、売り時については株価チャートを用いるようにし、下降トレンドに転換した時点で売るようにすべきでしょう。

なお、株価が天井をつけて下落をはじめ、外国人持株比率がピークから低下に転じた場合は注意が必要です。外国人投資家は、見切りをつけた銘柄については、株価水準如何にかかわらず、すべて売り切ってしまうことも多いように思えます。そのため、一度外国人から見放された銘柄は、ここまで下がるのかというくらいの株価まで値下がりすることがよくあります。よって、株価が値下がりして値ごろ感が出てきても、外国人持株比率の低下が止まらないうちは、安易に手出ししない方がよいと思います。